
Narcosをお勧めする理由
NETFLIXで公開されている海外ドラマ「Narcos(ナルコス)」を見た私は衝撃を受けた。
これは今までテレビで見てきたドラマとは全くの別物であり、ネットを中心としたドラマ新時代の新たな価値観を提示した野心作だ。
具体的なポイントは3つ
- テレビでは放送出来ない凄惨な描写
- 番組のスポンサーなどを気にしない、迫真のストーリーテリング
- 国外のマーケットを狙った製作体制
これはNETFLIXが自ら製作しているから可能なのであり、現在の日本のテレビ局ではまず実現不可能だろう。
軽い気持ちでこの作品を見始めると、あまりにもハードな内容にショックを受ける可能性は高い。
ここからは上に挙げた3つのポイントを詳しく解説していこう。
テレビでは放送出来ない凄惨な描写

このドラマは、かつて実在したコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルを中心に、彼がドラッグをバラ撒き、のし上がっていった1980年代の様子を描いていく。
パブロはコロンビア産のコカインをアメリカのマイアミへ組織的に密輸し莫大な富を築く。
ただ、当然ドラッグのあるところには悪意ある思惑が渦巻き、そこから暴力が生まれる。
そしてアメリカのDEA(麻薬取締局)との衝突もあり、このドラマでは冒頭から数えきれないほどの人間が無残に殺されていく。
銃弾が飛び交い、鮮血が画面を染め、無数の死体が転がる。
その凄惨な演出は、たとえアメリカのTV局であっても、おいそれとは放送できないレベルだろう。
しかし、あまりにもリアルでショッキングな映像に視聴者は息を呑みながらも目を離すことが出来ない。
また、パブロは恐ろしく頭がよく商才に優れ、邪魔者はためらわず排除する典型的なサイコパス気質の人物として描かれている。
それはまるで「羊たちの沈黙」のレクター博士のようなダークヒーローとして、見る者たちは畏敬の念を抱かざるをえないのだ。
番組のスポンサーを気にしない、迫真のストーリーテリング

このドラマは最初から「視聴者全員に楽しんでもらおう」とは考えていない。
NETFLIXという定額動画配信サービスのコンテンツとして製作されているので「嫌なら見なければいいだろ?」「好きなやつだけ見ればいい」というスタンスで、物語は進んでいく。
これがスポンサー企業からの広告費でまかなわれているテレビドラマだったら、ここまで尖った作品は世に出ることすら叶わなかったはずだ。
ドラマ製作者の意図が視聴者へダイレクトに届けることが出来る。
これが、この作品の新しさだ。
スポンサーや放送倫理といった雑音が途中に入ることがないので、純度の高いエンターテイメントを私たちは受け取ることが出来る。
国外のマーケットを狙った製作体制

このドラマの中心にいるのはコロンビア人のパブロなので、当然セリフの大半はスペイン語。
これは日常的に英語を使うアメリカ国民だけでなく、中南米の国々もマーケットとして取り込む前提で製作されているのだろう。
これも、ストレスなく映像のネット配信が可能になったことによる恩恵であり、このような多言語作品が今後増えていくことは間違いない。
TV局がドラマを作れない時代はもうすぐそこ?
現在、日本の民放各局はドラマの視聴率で苦戦を強いられている。
確かに、この「Narcos」のようなクオリティの高い作品が、月額650円で何時でも好きな時に見ることができれば、わざわざテレビを付けてCMにイライラしながら番組を見ようと思わなくなるのも致し方ないことだ。
日本のドラマに物足りなさを感じているような方は、この「Narcos」でセンセーショナルな映像体験をしてみてはいかがだろうか。
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