キャタピラー(CAT)は世界最強の建設、鉱業機械メーカー
キャタピラー社は建設、鉱業機械において北米市場を中心に圧倒的なシェアを持ちます。それは1925年の創業からであり、以来世界1位の座を守り続けている驚異的な企業です。
世界シェア一覧です。2位のコマツ(日本)、4位の日立建機(日本)はアジアにおいて特に強みを持ちます。3位のVolvoはクルマのボルボです。農業機械に強い、バフェット銘柄だったDeereもランクインしていますね。※2016年末、売却済
シェアトップのキャタピラー社は世界190か国で事業展開しており、文字通りの多国籍企業です。現在では軍需産業や航空宇宙業界にも進出しています。
祖業はベンジャミン・ホルト氏が19世紀後半に農業機械を作ったことに始まります。ベンジャミンホルト氏は従来の車輪を使った農業トラクターから無限軌道(キャタピラ:英語で芋虫)を使った農業トラクターを開発します。
そのキャタピラ技術は1928年にブルドーザに転用され、フーバーダムなど大きな公共土木工事で採用されるようになります。また、第一次世界大戦の塹壕戦において大きな力を発揮した戦車においても同社のキャタピラは影響を与えました。
また、第二次大戦においては進駐先での飛行場造成や各種土木工事において無類の強さを発揮し、技術力を高めていきます。
2度の大戦を経て、その後1950年にイングランドを皮切りに世界進出を始めます。世界各地の大規模土木工事にはキャタピラー社の建機が使われ、世界の鉱業生産の現場でもキャタピラー社のダンプカーやショベルカーが見られました。
1970年には世界での売り上げが母国アメリカの売り上げを超え、その後も全世界で売り上げを伸ばしました。
※写真はキャタピラー米国のホームページから
その地位とブランド力は確固たるものであり、アメリカを象徴する企業の1つと言って良いでしょう。
日本においては1960年より三菱重工と合弁で「キャタピラー三菱」を立ち上げ、展開してきました。しかし、2012年に三菱重工分の株式はすべてキャタピラー社の取得するところになり、キャタピラージャパンになっています。
キャタピラー(CAT)の配当とチャート
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2006年6月 株価70ドル 配当0.3ドル
2016年4月 株価77ドル 配当0.77ドル
2017年9月 株価126ドル配当0.78ドル
建機は景気循環株の一面があります。2011年ごろは世界経済が不調でも中国の成長でカバーできましたが、2016年前後は中国が減速していたので売り上げも停滞しました。
公益や電気通信、生活必需品と言ったディフェンシブと違い、景気の影響を受けやすい株ということが言えます。逆に言うと、キャタピラー社の株価が上がり始める時が世界経済が上向く時とも捉えられます。
上げ下げが大きい分、市場が反発し始めたら大きな利益を得られる、そんな銘柄です。2016年初頭のチャイナショックから1年半で2倍になっています。ボーイングと同じく、大型株でありながら大きく株価を伸ばしています。
景気動向に影響を受けますので、業績は右肩上がりというタイプではありません。そのため、逆張り投資家にとっても魅力な株と言えるでしょう。
キャタピラー(CAT)の基礎データ
ティッカー:CAT
本社:アメリカ
来期予想PER:23.3倍
PBR:5.6倍
ROE:-0.5%
ROA:-0.06%
EPS:3.7ドル
配当:3.12ドル
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)
※ROEとROAに関しては2016年実績
キャタピラー(CAT)の配当と配当性向
キャタピラーの配当と配当性向です。見ての通り、急激な配当性向の上昇をしています。実に300%です。これは後述しますが、利益の大幅な減少に伴うものです。
キャタピラー(CAT)のBPSとEPS
2014年あたりまではリーマンショックを乗り越え、建機需要も活発でした。特に中国での需要は大きく、それは日本の小松製作所などもそうでした。チャイナショックを機に急速にしぼみ始めます。
キャタピラーも資本の圧縮を進めています。EPSは2016年にマイナスに転じています。
キャタピラー(CAT)の売り上げと利益
もともと建機製造ということで、コストがかかりやすい業態です。そのため営業利益が10%を超えるときはよほど活況のときということになります。リーマン時、チャイナショック時は世界的な景気動向の影響を受けて極端に業績を落としています。
特に営業利益率の低下は注目されてよいでしょう。
キャタピラー(CAT)のキャッシュフロー
2013年の営業CFが突出しています。前年に大きく投資CFを増やしたのが功を奏した形です。しかし、その後はパッとしません。ただ、それでもフリーキャッシュフローを確保しているのはさすがというべきでしょう。
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