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【国際】

カズオ・イシグロ氏にノーベル文学賞 長崎生まれの英国人

5日、ロンドンで、ノーベル文学賞の受賞が決まり、取材に応じるカズオ・イシグロ氏=ロイター・共同

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 【ストックホルム=共同】スウェーデン・アカデミーは五日、二〇一七年のノーベル文学賞を、長崎市生まれの英国人小説家カズオ・イシグロ氏(62)に授与すると発表した。代表作「日の名残り」や「わたしを離さないで」などで知られる。日本出身の作家としては一九六八年の川端康成(かわばたやすなり)、九四年の大江健三郎(おおえけんざぶろう)氏に次ぎ三人目、二十三年ぶりの受賞となる。同アカデミーは授賞理由について「偉大な感性を持った小説によって、世界とつながっているという幻想に潜んだ深淵(しんえん)を明らかにした」とした。 =世界観、日本が影響<2>歓喜の声相次ぐ<27>面

 イシグロ氏は五日「予想していなかったニュースだ。世界の価値観が揺らぐ中、少しでも平和に貢献できればうれしい」とのコメントを発表した。ロンドンの自宅敷地内で行った記者会見では「私の世界観には日本が影響している。私の一部は、いつも日本人と思っていた」とも述べた。

 五四年、日本人の両親の間に生まれた。海洋学者だった父の仕事の関係により五歳で渡英、八〇年代前半に英国籍を取得した。英語で執筆し、人間の意思疎通の難しさや記憶の不確かさをテーマとした一連の作品は情景描写の巧みさなどで高い評価を受けている。

 アカデミーのダニウス事務局長は「完成度の高い作家。(英作家)ジェーン・オースティンと(チェコの作家)カフカの要素を併せ持っている」と評価した。授賞式は十二月十日にストックホルムで行われる。

 イースト・アングリア大大学院で学んだ。八一年の短編小説を皮切りに、八二年、英国に在住する長崎出身の女性の回想を描いた長編小説「遠い山なみの光」で王立文学協会賞、八六年には「浮世の画家」でウイットブレッド賞を受賞。文壇で有力作家として地位を固めた。

 八九年には「日の名残り」で、英国で最も権威がある文学賞、ブッカー賞に選ばれた。同作品は九三年、アンソニー・ホプキンスさん主演で映画化された。二〇〇五年に発表した「わたしを離さないで」は世界的なベストセラーになり、後にキャリー・マリガンさんらの出演で映画化された。漢字表記は石黒一雄。日本語はほとんど話せないという。著作は四十以上の言語に翻訳された。

 ノーベル文学賞の賞金は九百万クローナ(約一億二千五百万円)。授賞式は十二月十日にストックホルムで行われる。これまでにノーベル賞を受賞した日本人と日本出身者は計二十五人で、イシグロ氏を加えると二十六人となる。

 

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