「子供の将来の夢にYoutuberがランクイン」「安定志向に」とかあんなんウソウソ
最近、ネットニュース等で「子供の将来の夢ランキングにYoutuberがランクイン」だとか、「夢がスポーツ選手などの”憧れ”から公務員やエンジニアなどの”安定”志向に」などという言説がありますが、
Youtuberは安定ではなく憧れでしょうしそもそも矛盾しているし、実態を調べてみました。
ランキング調査
まずはこちら。
2016年の日本FP協会の小学生の「将来なりたい職業」集計結果
出典:日本FP協会『将来なりたい職業』ランキングより
男子・女子ともにYoutuberは入ってませんね。
また、男子ではサッカー選手・野球選手など”憧れ”の職業がランクインしています。
Youtuberや公務員はランキングに入っていません。
どうしてでしょうか。
それは、調査方法に理由があると思います。
※第10回「小学生『夢をかなえる』作文コンクール」応募作品を集計
応募期間:2016年5月2日~10月31日
作文からランキングを作成してるんですね。
子供だってバカじゃないので、入賞するためや親・先生に気に入られるために作文用の夢を用意すると思います。
また、やる気のないやつは「習い事でサッカーやってるしサッカー選手でえっか」とか「ゲーム好きやしゲーム作る人でえっか」ととにかく作文用紙を埋めるために適当にでっち上げることもあると思います。
僕は小学生の時、「女医と結婚してバチバチ働かせる」ことが夢でした。だって働きたくないっすもん。でも、作文にそんなことを書くと呼び出されることは読めていたし、卒業文集にそんな作文を残したくなかったので、「将来の夢は医者です」と書いていました。
次は問題の、「Youtuber」がランクインしてるランキング。
ソニー生命調べ
これは中学生の調査結果ですが、男女ともにYoutuberがランクインしていますね。
これの調査方法を抜粋すると、
調査概要
調査対象
ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする全国の中高生調査方法
インターネット調査有効回答数
1,000サンプル(有効回答から中学生200s、高校生800sになるように抽出)(内訳)サンプル数の内訳は以下のとおり
中学生200s(男子100s・女子100s)
ネットエイジアという会社のインターネットリサーチに登録している中学生100人が対象ということです。
どこでこのアンケートが実施されたかわかりませんが、「アンケートに回答するとxポイント贈呈!」みたいなポイントサイトなどで行われたのではないでしょうか。
そんなところに登録している中学生がまずまともな中学生のはずがありません。
まずインターネットをヘビーユースしていないとこんなアンケートのモニターにならないのではないでしょうか。
サンプルバイアスが大きそうです。
したがって、Youtuberがランクインするのも仕方のないことだと思います。
そもそも、母数が100人なので、Youtuberになりたいと答えたのは100人中17人ということになります。
この17人のせいで「Youtuberになりたいなんて最近の中学生は現実が見えていない」などと言うのはおかしな話です。
今と昔の比較
第一生命の作文による調査
27年前と比較しても、ほとんど登場する仕事に変わりはありませんね。
ニュースで見かけるような、「子供の将来の夢が○○に変化」という言説は調査方法の違う2つの調査を恣意的に抜粋してるんじゃないでしょうか。
これは同じ方法で調査されていますから、信頼のおける結果です。
もうちょっと前の調査結果を見てみましょう。
朝日新聞1970.11.02朝刊19面の『現代っ子の「なりたい職業」は・・・』の記事によると以下の通り。
男の子のベストテン
①エンジニア ②プロ野球選手 ③サラリーマン ④パイロット ⑤電気技師 ⑥医者 ⑦自家営業 ⑧科学者 ⑨建築設計士 ⑩マンガ家女の子のベストテン
①スチュワーデス ②デザイナー ③先生 ④看護婦 ⑤タレント ⑥ジャーナリスト ⑦マンガ家 ⑧小説家 ⑨婦人警官 ⑩美容師
調査方法などはわかりませんが、1970年の結果です。
今からだいたい50年前ですね。
1970年に小学生ということは今は50代か60代のじいさんばあさんの子供の将来の夢ということになります。
男子を見てみると、エンジニア・サラリーマン・電気技師・医者など、”安定”の職業がランクインしています。
というか、サラリーマンなんて職業はないぞ。
公務員こそランクインしていないものの、50年前から将来の夢に安定志向はあったようです。
特に最近のトレンドというわけではなさそうです。
まとめ
子供の将来の夢というのは、昔からほとんど変わっておらず、
「子供の将来の夢が変化!」みたいなニュースは作為的に調査を選んでいる、節操のない媒体です。
また、作文はわりと嘘つくからあんまりアテにならなさそう。
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