国王は「何百万もの人々を無視」 カタルーニャ自治州首相が批判

プッチダモン州首相は国王フェリペ6世の演説を批判した Image copyright Reuters
Image caption プッチダモン州首相(写真左)は国王フェリペ6世(同右)の演説を批判した

スペインからの独立を問う住民投票を今月1日に実施した北東部カタルーニャ自治州のカルレス・プッチダモン首相は4日、国王フェリペ6世が「何百万ものカタルーニャ人を意図的に無視している」と強く非難した。

テレビ演説を行ったプッチダモン州首相は、フェリペ6世が中央政府に同調していると非難。カタルーニャの独立を来週宣言すると表明している同首相は、「仲裁が必要な時点に来ている」と語った。

フェリペ6世は3日夜にテレビ演説し、住民投票が違法で非民主主義的だと述べた。

国王演説の24時間後、プッチダモン氏はフェリペ6世がスペイン憲法から付与された仲裁者としての役割を放棄したと主張した。

一方、中央政府は「脅迫」は受け入れられないとし、声明で、交渉開始の前提としてプッチダモン氏が法律に基づく行動に戻る必要があると述べた。さらに、プッチダモン氏による国王批判は、同氏の「現実からの乖離(かいり)」を示したと付け加えた。

プッチダモン首相は3日のBBCとのインタビューで、「今週末もしくは来週初めにも」独立を宣言すると語った。

カタルーニャ自治州政府は、来週9日に州議会が臨時会議を開き、議論が戦わされている住民投票の結果について話し合うと明らかにした。

カタルーニャ自治州の当局者は独立支持が90%近くに上ったとしているが、最終的な結果は発表されていない。投票率は推計42%だった。

4日夜のプッチダモン首相の演説では、独立宣言のさらなる詳細については触れられなかった。カタルーニャ語で演説していたプッチダモン首相は、スペイン語に言葉を切り替え、カタルーニャとの連帯を表明したスペイン市民に感謝すると語った。

1日の投票では、裁判所の命令を受けた警察が投票を阻止しようとし、900人近くのけが人が出た。スペイン政府は投票を違法だとしている。

一部の警官がゴム弾を発砲し、投票所を襲撃したり、女性たちの髪の毛を引っ張って連行したりする姿が見られた。地元医療当局者によると、一連の衝突で警官33人も負傷した。

警官による乱暴に衝撃を受けた多くのカタルーニャ住民が3日、街頭に出て抗議デモを行った。また、投票の際に「権利と自由の重大な違反」が見られたとして、ストライキが呼びかけられた。


「ジョン・スノみたいな王様が必要」――パトリック・ジャクソン記者、BBCニュース(スペイン・ジローナ)

スペイン・ジローナのバーで(4日)
Image caption スペイン・ジローナのバーで(4日)

公の場では稀なスペイン国王に対する批判だった。しかし、国の統合の象徴とされるフェリペ6世が自身がテレビで国民向けに演説するのも珍しく、プッチダモン州首相は対応を迫られていた。

プッチダモン氏の地元にあるバーでは、演説の終了後、客たちは自分たちの指導者に満足し、仲裁の呼びかけを歓迎して礼儀正しく拍手した。話題はその後、人気ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」にひっかけた冗談に移った。

ある女性は笑いながら、「ジョン・スノウみたいな、国の統合を守ろうと頑張って人民と共にいる王様が必要なんだよ」と語った。

マリアノ・ラホイ首相はドラマの「ナイト・キング」だというのが、一座の一致した見解だった。カタルーニャに永遠の冬をもたらそうとする悪役だと。

女性は真顔になり、「すべての文化を大切にするスペインになってほしい」と話した。「どうして、すべての文化を愛してはいけないのか。フェリペ6世の演説は理解できない」。

(英語記事 Puigdemont: Spanish king ignored millions of Catalans

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