Pixel Budsは、外観だけで言えばやや大きめのBluetoothイヤホンで、左右ユニットを結ぶケーブルが首の後にまわるやや古いタイプの製品に見えました。そしてGoogle Assistantに対応するのも予想どおり。
しかしながら、スマートフォンのGoogle PixelかPixel 2シリーズと組み合わせることで、40か国語のリアルタイム翻訳機能が使えるという点が、大きなインパクトを伴って注目されるところとなっています。
「Google Translate on Pixel」と名づけられた翻訳機能は、たとえば英語を母国語とする人が日本に来た場合、Pixel Budsを装着して「Help me, Speak Japanese」と言えば日本語翻訳モードがオンになります。この状態で近くにいる人々に宿泊場所や渋谷、秋葉原といった観光スポットまでの道順をたずねたり、レストランでメニューを注文したり、改札で電車の乗り方を教えてもらうことができるわけです。
自分の音声を翻訳するには、Pixel Buds右イヤーピースのボタンを押しながら話します。そして、手を離せば自動的に音声を相手の言語に変換し、手にしているPixel/Pixel 2スマートフォンのスピーカーから相手にその内容を伝えられます。そして、相手がしゃべった言葉は自動的に自分の言語に変換され、Pixel Budsから聞こえてきます。翻訳というよりも、通訳をしてくれるといったほうが的確かもしれません。
振り返れば、Windows 95の時代から翻訳ソフトはあったものの、その精度はお世辞にも実用レベルとは言い難いものでした。その後20年の間も翻訳ソフトのレベルはじわじわと向上していましたが、進歩が急速になったのはサービスのクラウド化やAI技術が発達してきたここ数年のことです。たとえば2015年にはSkypeが音声/テキスト翻訳機能を搭載しはじめました(日本語対応は2017年)が、当時はまだ会話のスピードに対してラグが大きい場合があるとされました。
10月4日のGoogleのPixel 2発表イベントで行われたPixel Budsのデモンストレーションでは、音声翻訳のタイムラグはほとんどなく、またテキストも必要とせず、人間の通訳を介しているのと変わらない速度で会話ができているように見えました。これは実用性の面でも、いよいよ「ほんやくコンニャク」のある世界が現実化してきたと感じさせるものでした。
ただ、会場の通信環境が実際の利用シーンに対して良かった可能性もあり、騒がしい場所や多くの人が話している場所でどれほど正確に会話ができるかは、今後確認すべきところと言えそうです。
とはいえ、日本語を含む40か国語のコミュニケーションにおいて言葉の壁が少しでも低くなれば、世界との意思疎通がよりスムーズになるはずです。こうした技術の発展によって各国が互いに理解を深められれば、世界がいまよりもっと平和になるかもしれません。
あとはPixel 2スマートフォンとともに、早く日本でも発売してほしいところです。