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DUCATIの中古バイクってどうなの?故障する?デスモドロミックが気になる!

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ジョージマンです。

 

DUCATI(ドゥカティ)のバイクってカッコイイですよね。

でも、やっぱり高級バイクメーカーであるDUCATIの新車を買おうと思ってもホイホイだせるような金額ではありません。

 

ちなみに2017年夏に発表されて話題の

『Supebike 1299 Panigale R Final Edition』

メーカー希望小売価格は¥4,550,000(税込)

DUCATI 1299 MMD MODEL:らば式Littorio 「艦これ」ファンアートモデル

◆ MMD MODEL:らば式Littorio 「艦これ」ファンアートモデル

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基本的にDUCATIはレースマシン

DUCATIのバイクは高いです。

『Supebike1299 Panigale R Final Edition』は特別に高いとしても、

市販車バイクレースの最高峰スーパーバイク世界選手権(SBK)で勝利する為に作られたSUPER BIKEシリーズは

エントリーグレード『Superbike 959 Panigale』

メーカー希望小売価格¥2,089,000(税込)

通常モデルの最上位グレード『Superbike Panigale R 』

メーカー希望小売価格¥3,999,000(税込)

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By andy carter from EnglandCC BY 2.0 via Wikimedia Commons

 

DUCATIの代表的なネイキッドモデルであるMonsterシリーズは

エントリーグレード『Monster 797』

メーカー希望小売価格¥1,119,000(税込)

最上位グレード『Monster 1200 R』

 メーカー希望小売価格¥2,259,000(税込)

※価格は全て2017年10月現在のものです 

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By Decio CC BY-SA 2.0 via Wikimedia Commons

 

金銭感覚がマヒしちゃいますよねw

 

なんでこんなに車体価格が高いのかって言われると、理由は同じ国イタリアの自動車メーカーであるフェラーリと似ています。つまりは、

レース用のバイクを公道でも乗れるように売られているのがDUCATIのバイクなのです。

コストは度外視です。良い物を作るにはお金がかかるという事です。

 

とはいえ、フェラーリ同様レーシーなラインナップだけでは経営が難しいようです。

倒産や度重なる経営難(DUCATIは2012年に自動車メーカーAUDIの傘下になっています。)の経験からここ最近は『Diavel』『Multistrada』『Scrambler』といった扱いやすいツーリングモデル、ストリートモデルなどのバリエーションも増やすようになってきました。

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▲Diavel

 

中古のDUCATIって大丈夫?

私もDUCATIのバイクは一度は乗ってみたいなと考えています。

Z1000を購入したのはDUCATIストリートファイターのデザインに目をひかれたのがきっかけでした。

何年か経ってDUCATIストリートファイターの中古が出回りはじめ、値段を見てみると手が届くレベルになっていて「乗り換えようか」と考えたこともありましたが、

みんなそこで考えることは同じです。

中古のDUCATIって壊れやすいんじゃないか?

という事です。また、

車検の度にエンジンのオーバーホールが必要

という噂も聞くのでどうしてもビビっちゃいますよね?

というワケでそのあたりの真相を調べてみました。

 

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DUCATI最大の特徴はデスモドロミック

DUCATIの名前を聞くと、ほとんど人が90度バンクL型ツインエンジンとトラス状に組まれた赤いパイプフレームを思い浮かべると思います。

しかし、DUCATIの特徴はL型ツインエンジンでもパイプフレームでもありません。

90度バンクL型ツインエンジンはスズキTL1000やSVシリーズが採用しており、トラス状パイプフレームはヤマハTRX850やホンダVTRが採用しています。

また、DUCATIであってもMotoGPに参戦するためのレースマシン『デスモセディチ』は4気筒エンジンです。(ちなみに2007年に1500台限定で発売された公道用デスモセディチRRの当時価格は¥8,662,500(税込)

2017年現在、二輪・四輪メーカーとして、唯一DUCATIだけが採用する技術というのが

『デスモドロミック』です。

ギリシャ語の"DESMOS"(繋がり)"DROMOS"(走行、工程)が語源となるこの技術は、エンジンヘッド内に収めらているバルブ開閉機構の技術のことです。

 

4サイクルエンジンの場合、エンジン内に空気とガソリンの混合気を吸い込んだ後、圧縮して点火させる為、燃焼室を開閉させるバルブ(弁)がついています。

一般的なエンジンの場合、バルブを開く時にはカムシャフトについた凸でロッカーアームというシーソー式の部品を押してバルブを開き、閉じる時にはバルブスプリングというバネの力を利用しています。

youtu.be

 

これに対してデスモドロミックというのはバルブスプリングを使わないでカムシャフトとロッカーアームでバルブを開閉させるシステムです。

www.youtube.com

 

このデスモドロミック自体はドゥカティが開発したわけではなく、20世紀初頭にイギリス人が発明したもので、フィアットやメルセデスがレースカーに採用しています。

1950年代シルバー・アローと呼ばれたメルセデスのフォーミュラ―カーW196に採用されたデスモトロミックについて、フェラーリの創始者エンツォ・フェラーリドゥカティの重役兼主任設計者ファビオ・タリオーニとかなり話し合ったそうです。

おそらくドゥカティのデスモトロニックの構想が生まれたのはこの時だったのではないかと言われています。

 

デスモドロミックをDUCATIが現在も採用しているのはもちろんレースの為、高出力化の為です。(1974年を最後に一般的なヘッド生産をやめてしまったので今さら工場ラインを変更してまでデスモヘッド以外を生産できないという事情もある。)

スプリングを利用した普通のバルブでは、エンジンの回転速度が速くなるとバルブが完全に閉じることができなくなる現象が発生したり、急速に開閉させようとしていくとスプリングを押し込もうとしても弾かれる現象が発生することがあります。

バルブが正常な動きが出来ないという事はシリンダー内の混合気圧縮がうまくいかなくなるため、エンジンの回転速度やバルブの開閉速度には限界が生まれます。

その点、デスモドロミックであればスプリングがありませんから、スプリングゆえに発生するこれらの現象は起きません。

高回転化やバルブ開閉の高効率化が出来て、さらにバルブ開閉のタイミング制御も高精度でコントロールしやすいこともあって高出力化が難しいと言われている二気筒エンジンで207PS / 11,000rpm(1299 Panigale R Final Edition)という驚異的なパワーを生み出しています。

 

DUCATI最大の弱点もデスモドロミック

と、メリットを並べていくと良いことだらけのように見えるデスモドロミックですが、他のメーカーが採用しないということは、それなりの欠点があります。

まずはコスト高。普通はスプリング1本で解決できることをロッカーアームなどの追加によって部品点数は増え、小型化への工夫が必要になってきます。

組み立ても複雑になるのでオートメーション化が難しいでしょう。その分車体価格として反映されてしまうのです。

 

次に整備性の悪さ。構造が複雑な上に綿密なバルブタイミングが設定されている為、ロッカーアームやバルブシムの摩耗によるバルブクリアランスやタイミングのずれがエンジンの不調につながります。

スプリングであればテンションを強めたり弱めたりするだけでバルブクリアランスを調整可能ですが、DUCATIのデスモドロミックの場合シムの厚みでこれを調整します。

クリアランスを測ってはシム交換、測ってはシム交換・・・

 

で、文頭に上げた

車検の度にエンジンのオーバーホールが必要

という噂はこのバルブタイミング調整作業の事のようです。

最近のDUCATIのカタログスペックには『バルブクリアランス点検』という項目があって24,000Kmとか30,000Kmとか書いてあります。
(ハイパワー車の方が距離が短いようです。)

技術や素材が向上して最新のDUCATIだからこそ、この距離をユーザーに目安として出せるようなったみたいですが、古いDUCATIの場合、20,000Kmバルブクリアランス点検を1度もやっていない様なエンジンはいつ壊れてもおかしくない状態にあるようです。

また点検した結果、バルブクリアランスの調整が必要となると、

バルブまわりをバラバラにしないと調整できません。

なので、車検の度にオーバーホールが必要というのは正確にいうと、走行距離に応じてオーバーホールなみの点検と調整作業が必要になってくるという事で、近からず遠からずのようです。

 

そうなってくると、中古DUCATIが壊れやすいと言われる理由も見えてきますよね。

バルブクリアランス点検、調整履歴のわからない中古DUCATIではお店が売る前に点検整備の一環としてバルブクリアランス点検、調整をしないといけないという事になります。しかも、それには専門的な知識や工具が必要な様です。

なので、DUCATIの新車や中古車を扱っている様なお店で購入しておかないと壊れやすいだけではなく、壊れてからも修理依頼する事すらできないような状況になってしまう事もあります。

中古のDUCATIは少々車体価格が高くても専門店や整備の実績があるお店で購入するようにしましょう。

 

まとめ

DUCATIのバイクは元々がレース用に作られたレースマシンなので、その耐久性というのは定期的な点検や部品交換といったメンテナンスによって成り立つものです。

レース用バイクが走る度に消耗品を交換していることを考えれば、それでも耐久性は高いのかもしれません。

 

今回ご紹介したデスモドロミック調整以外にも専用テスターによるインジェクションの調整、消耗の早い乾式クラッチ(最新は湿式になりました)のオーバーホールなど購入後の費用が想像以上にかかることになります。

なので、中古で価格の下がったDUCATIを手に入れたとしても自分でエンジンをバラバラにしてバルブのシム調整ができる人以外は、その後の点検費用や部品交換費用に余裕を持っておかないとDUCATIに乗り続けることは出来ません。

この辺りも考慮して購入するようにしましょう。

 

また、DUCATIでよくあるのが振動による部品の脱落。

私の友人はステアリングダンパーやマフラーがツーリング中に外れたことがありました・・・

定期的な増し締めをきちんと行いましょう。

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▲友人のMonster S4 

 

どうやらDUCATIは中古であってもお金持ちの乗り物の様ですね。

私が欲しいと思うのはSuperbikeシリーズや同じエンジンのストリートファイターだからやっぱり点検頻度は高そうです。

 

うーん、でも中古DUCATI気になるな~w

 

余談:メーカーとしてデスモドロミックを採用しているのはDUCATIだけですが、アフターパーツメーカーとしてはTAKEGAWAが製造、販売しています。

Superbike1299 Panigale R Final Editionの1/10ぐらいの価格でモンキーやゴリラなどをデスモドロミックエンジンに出来ちゃいますよw

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