<iframe src="//nspt.unitag.jp/f8fa0c7841881b53_3309.php" width="0" height="0" frameborder="0"></iframe>
.

最新記事

シリア

シリアが直面する「アサド頼み」の現実

No Choise But Assad

2017年10月3日(火)16時15分
アンチャル・ボーラ(ジャーナリスト)

アサドが約束した安定がほぼ実現している地域でも、政府への恐怖と憤りは時折顔を出す。アレッポ西部の政府側の拠点、モカンボ地区。カフェやアウトレットモールは上流中産階級の人々でにぎわう。東部に比べれば反政府派の砲撃による被害ははるかに小さく、カネを払えば電気も使える。ただし内戦勃発前は1カ月40ドルだった電気代が今では1週間で400ドルだ。

「昨年半ばまでは客なんていなかったが今は繁盛している」と菓子店を営むラミは言う。「人手が足りないくらいだ」。ライフラインの復旧の遅れについては「こんなときに文句は言えないだろう」と苦々しげに答えた。

アレッポ市内のスポーツクラブでは若い女性がプールの順番待ちをしていた。内戦勃発後はレバノンで暮らしていたという。内戦の責任は誰にあるかと尋ねると、「政府については何も話したくない」と言われた。バスケットボールのコーチからも、政治の話は断られた。「僕はスポーツマンだ。今の質問はスポーツとは関係ない。悪いが政府の話はできない」

シリア国民が政権批判を避けたがる理由は明らかだ。アサド一族の支配はシリア情報機関によって維持されてきた。国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルの8月の報告によれば、11年の内戦勃発以降7万5000人以上が「消えた」。11年9月~15年12月にはダマスカス郊外のセドナヤ刑務所だけで最大1万3000人が処刑されたとみられる。

新たな戦争以外なら何が起きても我慢しよう、と多くの国民が思うのも無理はない。アサドの復活は国民の支持ではなく、厭戦ムードや反政府派に対する軽蔑のおかげ。恒久的な平和とは別物だ。

From Foreign Policy Magazine

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

[2017年10月 3日号掲載]

ニュース速報

ビジネス

アングル:気候変動が促す新戦略、産地変更や予測高度

ビジネス

アングル:トランプ大統領の税制改革案、財政赤字がネ

ビジネス

日本生命、マスミューチュアル生命の買収に向け交渉=

ワールド

サウジ中銀総裁、マイナス成長の国内経済を楽観視

MAGAZINE

特集:日本人が知らないマインドフルネス

2017-10・10号(10/ 3発売)

世界の企業や医療現場で導入が進む「癒やしの瞑想」 マインドフルネスの知られざる効果とは

グローバル人材を目指す
.

人気ランキング

  • 1

    北朝鮮はなぜ日本を狙い始めたのか

  • 2

    ダイエットは「お休み」が大事! 単なるカロリー制限よりも効果的な減量法とは

  • 3

    米史上最悪ラスベガス銃乱射から逃げまどう人々

  • 4

    北朝鮮がロシアの助けでネット接続強化、サイバー攻…

  • 5

    キャサリン妃第3子懐妊で、英王位継承順位はこう変わ…

  • 6

    中国が北朝鮮を攻撃する可能性が再び----米中の「北…

  • 7

    米朝戦争の落とし穴----誘導兵器不足で必要以上の死…

  • 8

    ラスベガス銃乱射犯の同居女性は何者か

  • 9

    カタルーニャ「独立」は第2のスペイン内戦を呼ぶか

  • 10

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 1

    「北朝鮮はテロリストだ」 北で拘束された息子は異様な姿で帰国し死んだ

  • 2

    トランプの挑発が、戦いたくない金正恩を先制攻撃に追い詰める

  • 3

    米朝戦争が起きたら犠牲者は何人になるのか

  • 4

    中国が北朝鮮を攻撃する可能性が再び----米中の「北…

  • 5

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 6

    北朝鮮はなぜ日本を狙い始めたのか

  • 7

    習近平は北朝鮮の金正恩を10月に見限るのか?

  • 8

    ダイエットは「お休み」が大事! 単なるカロリー制限…

  • 9

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 10

    米史上最悪ラスベガス銃乱射から逃げまどう人々

  • 1

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 2

    「北朝鮮はテロリストだ」 北で拘束された息子は異様な姿で帰国し死んだ

  • 3

    トランプの挑発が、戦いたくない金正恩を先制攻撃に追い詰める

  • 4

    ビンラディンの「AVコレクション」が騒がれる理由

  • 5

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 6

    北朝鮮問題、アメリカに勝ち目はない

  • 7

    米朝戦争が起きたら犠牲者は何人になるのか

  • 8

    中国が北朝鮮を攻撃する可能性が再び----米中の「北…

  • 9

    強気の北朝鮮 メディアが報じなかった金正恩の秘密…

  • 10

    iPhoneX(テン)購入を戸惑わせる4つの欠点

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
ニューズウィーク試写会「ザ・サークル」
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年10月
  • 2017年9月
  • 2017年8月
  • 2017年7月
  • 2017年6月
  • 2017年5月