(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年10月3日付)

カタルーニャ独立宣言、早ければ週内にも 州首相が示唆

スペイン・カタルーニャ自治州の州都バルセロナで記者会見を行うカルレス・プチデモン州首相(2017年10月2日撮影)。(c)AFP/LLUIS GENE〔AFPBB News

 10月1日日曜日の朝、カタルーニャ州のカルレス・プチデモン州首相は走り回っていた。スペインからの独立を問う住民投票で自分が投票する予定だった投票所が武装したスペイン警察の急襲を受け、ドアが壊され、投票箱などの選挙の道具が押収されてしまったからだ。

 プチデモン氏はスペイン当局に察知されずに投票する別の場所を見つける必要があった。計略に通じた人々によれば、同氏は自分を追跡するヘリコプターの目をかいくぐるために典型的なスパイのノウハウを駆使し、橋の下で駐車し、車を何台も乗り換えたという。その後、無事に別の投票所に向かった。

 よく「偶発的な」カタルーニャ州首相と冷笑され、批判的な向きからは、たまたま権力が転がり込んできた田舎町の市長と馬鹿にされる人物にしては、滑らかな対応だった。このエピソードは、元ジャーナリストで54歳のプチデモン氏がカタルーニャの独立闘争で本領を発揮した様子を浮き彫りにしている。

 同氏は1日、スペインからの分離独立を問う住民投票の陣頭指揮を執った。今回の投票は、スペインの裁判所では違法と判断され、スペイン政府からは憲法に反する失敗と呼ばれたものの、カタルーニャ州内の多くの人からは勝利と見なされている。当日は230万人が投票所に足を運び、そのうち9割が独立に賛成した。

 スペインの国家警察からの激しい圧力と、住民投票に関与した市長や議員、ボランティアに対する法的措置の脅しにもかかわらず、プチデモン氏の率いるカタルーニャ州政府は投票日に、大多数の投票所(州政府の発表では96%)を1日中開けておくことに成功した。ほかのことはともかく、これはスペイン国家に対する反抗だった。

 プチデモン氏が今後数日、数週間かけて、スペインからの独立を一方的に宣言すべきかどうか検討する中で、さらに抵抗が起きる可能性もある。