設立当初から高品質を維持するマイクロミル
濃厚さと繊細さを兼ね備えた上品なフレンチ
コスタリカのコーヒー生産地域として有名なチリポから素晴らしいコーヒーがまた入ってきました。今回ご紹介するのはコスタリカ サン・ホセ州の東端、先日販売を開始した【ロス・クレストネス】エル・ボスケ と同じ地域にある【コラソン・デ・ヘスス】マイクロミルです。辺りは山と森に囲まれ、首都サンホセのある都心部に比べると自然豊かな土地です。コスタリカ最高峰のチリポ山もそびえています。10区画に分けて管理されている農地「エル・サリトレ」は標高が高く区画の一部は2.000mを超える高地にあります。今回販売するロットはそのなかでも比較的ウェットミルに近い2つの区画で収穫されたコーヒーです。
ミルを管理するのはジョニー・アルバラート・アバルカさん。コーヒーチェリーの買い取り価格の安さに悩むなか、自信でパーチメントまで仕上げて品質で勝負すると決意して2014年に兄のホセさんと共に【インペリオ・ロホ】というマイクロミルを立ち上げました。その後、独立して自身のマイクロミル【コラソン・デ・ヘスス】を設立しました。独立した理由は性格の不一致だそうです。慎重な性格である兄と違い、せっかちで行動が早く神経質な面も持つジョニーさん。ミル設立初年度のクロップにも関わらずしっかりときれいに仕上がったコーヒーからは、その性格が丁寧かつ正確な仕事につながっていることがうかがえます。今後も、増々期待していきたいマイクロミルの一つです。
フレンチローストで仕上げることで濃縮感を増した酸にはかすかにオレンジジャムのニュアンスが感じられます。どっしりとしたボディにカラメルを思わせる甘みが重なり、口当たりに感じる飲みごたえはしっかりある一方で、スッと引いていく余韻は心地よく、深煎りながら良い意味で重たくなりすぎない印象をも兼ね備えています。なかなか出会うことの出来ない稀有なフレンチ。深煎り好きの方には特に飲んでいただきたいコーヒーです。
<ロースター小林のコメント>
エル・サリトレは酸・コク・甘みのバランスに優れたコーヒーですが、なかでもヘーゼルナッツを思わせる甘い香りは特筆すべき魅力のひとつだと思います。フレンチローストにするとこの甘い香りはより厚みを増し、またしっかりしたコク・苦みと相まってビターチョコレートのニュアンスも強く感じられるようになります。この甘苦さは定番ブレンド#7BITTERSWEET&FULL-BODIEDにも重宝するもので、現在ブレンドのアクセントとしても使用しています。
地域:サン・ホセ州ペレス・セレドン市リバス、ピエドラ
標高:1,700m~1,760m
品種:カトゥアイ
精製:機械的にミューシレージを除去するウォッシュト
サン・ホセ州を俯瞰した地図。奥の首都サン・ホセに比べ、農園のある手前のチリポ山付近(赤丸で囲まれた地域)は森と谷に囲まれた地域です。
今回販売する区画「エル・ジャノ」と「エル・アグアカテ」の位置関係。ミルを挟むような形で両斜面に農地が広がっています。
農地「エル・サリトレ」の様子。10区画に分けられ、高い区画では標高2,000mを超えます。「BIENVENIDOS」はスペイン語で「ようこそ」という意味です。
ここからはマイクロミルの様子をご紹介します。「コラソン・デ・ヘスス」とはスペイン語で「イエスのハート」という意味。インパクトがあって覚えやすいですね。
ウェットミルの設備。スタッフ若林が今年の2月に訪れた際には、設立当初のもの(上)から新調(下)されていました。
ここにチェリーを投入して精製が始まります。
果肉除去機(パルパー)でチェリーの果肉を取り除いたのち、クリバと呼ばれる遠心力を利用した選別機にて不純物を除去します。その後豆の表面に付着しているミューシレージを機械的に除去し、乾燥にかけられるという流れで進みます。
ビニールシートカバー付のドライベッド。棚はそれぞれ番号を振って管理されています。乾燥は12日から15日間行われます。
乾燥後はグレインプロと呼ばれる袋に詰められ倉庫にて保管され、豆の水分値を安定化させます。グレインプロは麻袋に比べ温度や湿気に強く、酸素や水分の侵入も防ぎやすくなっています。遮光効果もあり、そしてかなり丈夫です。
管理者のジョニー・アルバラード・アバルカさんとご家族。せっかちな性格ですが、その割には神経質な面もあるとか。品質向上に熱心で、当社のスタッフが訪れた際には、乾燥場の改良のために他の産地で優れたものはなかったか?と知識の吸収にも貪欲でした。
ここではマイクロミルの様子を写真付きでご紹介しましたが、同時期に販売している同農地のシティローストのページでは農地の様子を掲載していますので、そちらもぜひご確認ください。