実りの秋ッ! 栗の季節がやってきました。
栗っておいしいんだけど、皮をむくのが面倒くさいですよね。あの硬い「鬼皮」(っていうらしいですよ)も、中の「渋皮」も…。
皮さえなければ…
特に栗ご飯などを作るため生栗をむこうとして、包丁で危うく指をザックリいきかけたことが何度もあります。
ホント、怖いですよね
さらに、すんごく時間もかかります。
1個むくのに約3分30秒! …ボクの手際の問題という気もしますが
この調子で栗ご飯を作ろうとしたら、栗をむくだけで1時間コースですよ…。お母さん、今まで苦労を知らなかったけど、ありがとう!
こんなボクでも、簡単にサクサクと栗の皮をむけるグッズがあるらしいので、紹介したいと思います。
栗くり坊主II!
パッと見、ちょっと変わった形をしたキッチンバサミといった感じですが…コレで本当に栗の皮をむくことができるんでしょうか?
おおおっ!?
思ってた以上に簡単にむける!
片方がギザギザの刃、もう片方が普通の刃になっていて、ギザギザのほうで栗を押さえ、普通の刃で皮をむくという仕組み。
ハサミで切るように、簡単に皮をむくことができます。
指にザックリいっちゃうんじゃ…という不安もなく、安心感がハンパない!
だいたい1分ちょっとでむくことができました。包丁の約3倍のスピード…シャアだ!
こんなナイスな道具を開発した会社の人なら、もっと手際よく、素早く皮をむくことができるんじゃないか…ということで、「栗くり坊主II」の発売元・諏訪田製作所さんにやってきました!
今回の趣旨とはまったく関係ありませんが、工場には廃材で作ったカッチョイイオブジェがいろいろと飾られていてコーフンします
カッコいい!
諏訪田製作所の榎並さん
――もともと釘切りや爪切りを作られていた会社だそうですけど、どういう経緯で「栗くり坊主」を開発したんですか?
「今の社長が3代目なんですが、先代の社長がアイデアマンで、そのときに開発した商品です。近くの栗園の方から、栗の皮をむくのが大変で困っていると相談されたのがきっかけだそうです」
――ああー、栗のプロともいえる栗園の人も皮むきには苦労していたんですね。
「それから開発を始めたんですが、栗って保管が難しくてすぐに腐ってしまうので、栗のシーズン以外は試作ができないんです…。だから開発に5年かかって、平成元年に発売されました」
――5年! やっぱり新たな道具を作り出すのって苦労するんですね。
「栗の専門家でもないですし、試行錯誤の連続だったようです。最終的に、ハサミのように握るだけでギザギザの刃で栗を押さえ、カンナのような刃で皮をけずるようにむくという形になりました。刃の角度も調整して、鬼皮と渋皮を一度にむけるようになっているんですよ」
しゃべりながらもサクサクむいていく。さすがに手際がいい!
――ほかの会社からも似たような商品が出ていますけど、特許って取らなかったんですか?
「意匠登録と実用新案を取っていたんですが、既に存続期間が過ぎてしまったので…。それでも、最初に発売した会社ということでネームバリューもありますし、使い勝手はやはり一番だと思っています」
――発売した当初の反響はすごかったんじゃないですか?
「商品化される前に『ズームイン!!朝!』で紹介されたら、問い合わせの電話がジャンジャン鳴りっぱなしで大変でした」
――みんな栗の皮むきに、それだけ苦労していたということですね。
「個人の方の購入も多いですし、栗園で栗と一緒に販売されることも多いようです」
――「甘栗むいちゃいました」が出たときには驚異を感じたんじゃないですか?
「いや、この商品は生栗をむく道具なので、影響はありませんでしたね。それよりも、数年前に栗が品種改良されて、鬼皮も渋皮も手でむけるような品種ができたとかで、そっちのほうが驚異ですね。まだ市場には出回っていないようですが」
――ちなみに…作っている会社の人なら、メチャクチャ早くむけるんじゃないかと思ってて…見せてもらいたいんですけど。
「いやー、この商品は早くむくというよりは、安全にむくための道具なので、落ち着いて安全に使ってもらいたいです」
――そ…そうですよね。
安全かつ、手早くむくコツを教えてもらいました!
アドバイスを参考にボクも栗をむいてみたんですが…ホントに楽々!
栗ご飯、おいしゅうございました!
この秋、栗を食べる予定のある方には本当におすすめです!
藤子・F・不二雄先生に憧れすぎているライター&イラストレーター。「デイリーポータルZ」「サイゾー」「エキサイトレビュー」他で連載中。