もしも、もしも私はあのまま日本にいたら
ずっと会社で働いていたら
きっとそれはそれで、楽しい毎日だったかな
私の場合はすごく簡単で
同僚と上司の悪口をちょっと言い合えば
ストレスなんかあっという間に吹き飛んで
心のどこかに「これで良いんだろうか」と思いながらも
家族や友達に恵まれて
幸せに暮らしていたかな
こんなに泣かなくたって、よかったかな
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一昨日の午後
なかなか咳が止まらないKong(コン)と
またもアレルギーが再発してしまったSofall(ソヒャップ)を
二人で病院に行かせました。
もうすぐ大事なショーも控えているので
二人にはどうしても元気になって欲しかった。
現在、エースのJuvie Lin(リン)の肝臓が弱っているので
せめて二人にはなんとか元気になって欲しかった。
しばらくして、コンだけが帰って来ました。
「あれ、ソヒャップは?」
「お兄さんの家に寄ってから帰って来るってー」
「あ、そうなんだ」
しばらくしても、ソヒャップは帰って来なくて
私は心配で何度も電話しました。
でも、ソヒャップは電話に出ない
どうしたんだろう、何かあったんだろうか
日も暮れるころ
ミッキーが切羽詰まった表情でCSAにやって来ました。
私は、肝臓が弱っていて休憩中のリンと、お喋りをしていました。
「レナ、ソヒャップはどこ?」
「えっ?まだ帰って来てないけど・・・」
ミッキーは、私にメッセージを見せました。
“私は今、CSAを離れます。
もう POLARIXCREW(ポラリックスクルー)メンバーとは、やっていけない”
ソヒャップからのメッセージでした。
私は、ものすごく動揺して
文字通り、頭が真っ白に
ミッキーは、そんな私の肩をガッシリつかんで
「とにかく、ケンに伝えよう」
と言いました。
リンも、顔面蒼白
練習を終えたVan Norith(ノリ)も「レナ、どうしたの」
Haru Heang(ヘアン)が、ソヒャップの部屋から置き手紙を持って来ました。
「しばらく、実家に帰る。心配しないで」
ヘアンは、わかってるかのように私を抱きしめてくれました。
既に私は涙が止まらず、身体のどこにも力が入らず
ヘアンの胸で泣き崩れてしまった
ヘアンも、もう泣いていました。
ソヒャップが、突然、家出した
メッセージには、家出の理由が書いてあって
ソヒャップのミュージックビデオ撮影を、カミナリ親父がなかなか始めてくれないこと
リーダー・コンの口調が強いことへの不満が書いてありました。
みんなの笑顔は、「偽物」だ
お互いに優しく出来ないチームメイトと一緒にやっていけない
なかなか私のミュージックビデオ撮影を始めてくれないケンちゃんに、本当にガッカリしている・・・と
いつだって
笑顔ではしゃいでいたソヒャップからは想像できなかったソヒャップの不満
まさかの突然の家出
みんなにも意見を聞きました
コンは振り付けなどを教える際に口調が強くなることがあった
でも、他メンバーにとっては、たいしたこと無いくらいの口調だった
家族の中で悪口を言い合うような、その程度の
時にソヒャップは周りのアドバイスに耳を貸さないこともあって
それに対してコンが苛立つこともあった
コンだけでなく、周りも
それに
ソヒャップは自分のミュージックビデオに期待しすぎていて、
ミュージックビデオにどれだけ時間と労力がかかるかを理解してなかった
タイミング、他の仕事との兼ね合い
ソヒャップの曲は本当にセンセーショナルなもので
誰もがすごく期待をしていて
完璧な作品を作るには
ダンス講師の美幸先生はじめ、たくさんの人の技術が必要だということ
それをソヒャップは理解していなかった
ミッキーはじめ、他メンバーはそう教えてくれました。
その後もソヒャップからメッセージが来て
ソヒャップは、ただただ、私に要求した
アタシのミュージックビデオをすぐ撮って
コンをリーダーから降ろして
私をPOLARIXCREW(ポラリックスクルー)メンバーとしてではなく、ソロシンガーとしてデビューさせて
ソヒャップ
わたし、本当にソヒャップのこと家族だと思ってた
だって一緒に住んでいたし
ソヒャップはCSAでは一番の古株メンバーで
誰より頑張ってて、誰より信頼しあえてるって
そう思ってた
ソヒャップのことを尊敬してもいた
でもそれは違ったのかな
今まで一緒にたくさん笑ってきたこと
一緒に泣いたこと
一緒にたくさんの試練を乗り越えてきたこと
ぜんぶ・・・忘れちゃった?
ソヒャップ
偽物だったのは、みんなの笑顔じゃない
ソヒャップの、笑顔
でも私も、みんなも、疑ったことなんか無かった
私は、このおよそ2年のソヒャップとの思い出が頭を駆け巡るのを、止められなかった
涙を止められなかった
部屋で涙にくれる私とヘアンの周りで、
カミナリ親父とPOLARIXCREW(ポラリックスクルー)の男子メンバーが呆然としていました。
最終的に、ソヒャップからこのようなメッセージが
「私は、もうCSAには戻らない。もう、スーパースターにはなりたくない。」
「わかった。もうCSAに戻る必要はないよ。
今までありがとう。私たちは、あなたの幸せを願ってる」
しかし、一夜明けて
ソヒャップからこんなメッセージが返ってきました。
「レナさん!私、やっぱりCSAに戻りたい!もう私のことを切るの!?早すぎる」
ソヒャップ
あなたが先に、もう戻りたくないと言ったんだよ・・・
そう、ソヒャップの計画では
「ごめんねソヒャップ、あなたのミュージックビデオを急いで撮るよ、
コンじゃなくて違う人をリーダーにするよ」
となるはずだったのです。
まさか「もう戻る必要はない」と言われるとは、予想していなかったのです。
でも・・・
ソヒャップはもう戻れない
CSAのルール
それに、もしここでソヒャップが簡単に元に戻れてしまったら
きっとソヒャップはこの先、また同じ過ちをしてしまう
ソヒャップはもう子供じゃない
自分の言葉に責任を持って
周りの人のことを考えて
行動しなきゃいけないんだよ・・・・
ソヒャップの今回の騒動で
どれだけ仕事に影響して、どれだけ人の努力を無駄にしてしまったか
わからないといけないんだよ
他メンバーにも、その旨を伝えました。
ソヒャップを、簡単に元どおりに戻す訳にはいかないことを
みんなは、解っていました。
そして、迷ってケンカもしたけれど、カミナリ親父と相談して決めた
私たちの気持ちも説明しました。
「あのね
もし皆が CSA以外の場所に自分の本当の夢を見つけたら、本当にやりたい事だと思ったら
いつだってCSAを離れて良いんだよ。
みんなは私たちのモノじゃない。ただ今は、同じ夢があるから一緒に頑張っているだけなんだから。
みんなが他の道を選んでも、私たちは応援するよ。
ただ
急にいなくなるのは・・・やめて欲しい。悲し過ぎる」
私は涙が止まらず
ヘアンとリンも泣いていて
他のみんなもうなだれていました。
夜、リンからメッセージが来ました。
「レナ、CSAの愛は、この世界で他の何とも比べられないよ。オレはCSAを離れないよ。」
肝臓弱ってるくせに、何言ってんのよ、早く寝なよ
今朝、ソヒャップはCSAに戻って来ました。
そして・・・
もう解っていました。
きっと、ヘアンが話してくれたんだ
ソヒャップは、家の鍵を私に返して、
POLARIXCREW(ポラリックスクルー)のFacebookアカウントも消して
次のオーディションが開催されるまで、CSAを去らなくてはならないことを解っていました。
そして、膝間づいて両手を合わせ、涙ながらにこう言いました。
「本当にごめんなさい。私は悪い夢を見ているようだった。
今までの2年間、たくさんの愛をありがとう。
タイの遠征、毎日のごはん、私の部屋、私の服
これまで出会ったダンスの先生、Reiさん、曲を作ってくれたKoujiさん、それにSeiya
本当に・・・・私が悪かった。
どうか私の謝罪を受け入れて欲しい」
私は、私は・・・・涙をどう止めていいかわからない
ソヒャップ、どうして
ばかやろー
ソヒャップは、CSAを去る準備を始めました
するとCSAの犬・サソリが、狂ったようにソヒャップの部屋へ走っていきました。
そして・・・ソヒャップの胸に飛び込みました。
サソリとソヒャップは、オカマどうし
大の仲良しだった
「サソリ・・・ごめんね」
ソヒャップはサソリを抱きしめて泣きました。
ソヒャップは、POLARIXCREW(ポラリックスクルー)メンバーと一人一人
別れを告げました。
みんなが、泣いていました。
ミッキーが、荷物をまとめたソヒャップをバイクに乗せて送っていくことになりました。
ミッキーも泣いていました。
ソヒャップが走り去って・・・・・
ソヒャップを見送るカミナリ親父の背中を、リンが抱きしめました。
そして、それを見たノリがギューと力いっぱい私の手を握りました。
ヘアンは私の胸で泣きじゃくって
私もヘアンを抱きしめて死ぬほど泣きました。
でも
ヘアンはさんざん泣いた後、涙を振り切って
笑顔で私にこう言いました。
「ソヒャップは、きっとまた戻ってくる、そうだよね」
「そうだね」
ヘアンは顔を洗って、ダンススタジオへ戻って行きました。
ダンススタジオには、たくさんの子供たち。
今、POLARIXCREW(ポラリックスクルー)は子供にダンスを教える仕事をしています。
スタジオからは、ヘアン先生の元気な声。
「1、2、3、4 !! そうそう、上手だよー!」
リンも涙を拭いて
今日、初めてワークショップの先生をやるKing(キン)とT(ティー)にアドバイスを始めました。
みんなが、大事な仲間を失った痛みを抱えて、それでも前に進もうとしているんだね
私の家には、たくさんのソヒャップと過ごした痕跡
もう2階のお風呂からソヒャップのイカれた歌声は聞こえない
朝、ソヒャップの歌声で起きることはない
ソヒャップの作ってくれたトムヤムクン、チャーハン、チキンの味
ヘアンと部屋ではしゃぐ声
もうソヒャップは、いない
なんて悲しくて、辛いんだろう
私とカミナリ親父は、街から外れた場所にある美しい蓮畑を眺めながら、お昼ごはんを食べました。
一番の古株だったソヒャップ。
大事な存在だったソヒャップ。
一緒に住んでいたソヒャップ。
蓮畑にも、ソヒャップの思い出。
でも、私たちは前に進まないと
きっと、ソヒャップは帰ってくる
次のオーディションで、最初に出会った時のような異彩を放って、戻って来る
そう信じたい
もし、もう会えなくても、信じていたい
ノリが、メッセージをくれました。
「レナ。オレ、今まで言わなかったけど・・・・オレはいつか日本に行ってみたい。
(ノリは、今まで「日本には興味ない、ドバイかシンガポールに行きたい」と言っていた)
いつかオレが有名になったら・・・
レナのホームタウン・Yokohamaでデートしよう、おばあちゃん」
この私が涙にくれた三日間、ノリは仕事の後にもたくさんのメッセージをくれて
ずっと励ましてくれました。
そうだね、デートしよう、孫!
そして・・・もう一人、私を救ってくれたのが
最年少Tata(タタ)のメッセージ
“レナ、もう泣かないで。
あのね、レナ
私、今でもわからないの、自分の夢が何なのか
でも私はCSAを選んだ
だって、CSAには自分の夢を一生懸命に追ってる皆がいるでしょ
ケンとか、リンとか、ヘアンとか・・・みんなのことだよ
私ね、「自分の夢」がわかってる人のことを尊敬してる
だからCSAを選んだの
両親は、プノンペンの大学に行くことを望んでたってわかってる
でも、私はCSAを選んだ
自分の夢をわかってる、皆みたいになりたいの
私の彼氏の佐藤健(タタ、日本のイケメンが大好き。現在、佐藤健に夢中)が言ってたんだ
彼も、最初は自分の夢がわからなかったんだって。
でも、好きな「演技」をやり続けていたら、それが5年後には「自分の夢」になってたんだって
私も、CSAを続けていたらそうなれるかもしれない”
ソヒャップ
本当に、大好きだったよ
たくさんの人が、ソヒャップのことを愛してるよ
ありがとう
លាល្អ
Rena
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