ぼけぼー

こんにちは、シオリです。
私たちが生きたことがない時代を知っていて、私たちの何倍もの時間を過ごしているおじいちゃん、おばあちゃん。時に、その手から生まれるもののパワーに驚かされることがあります。今日は、そんなおばあちゃんが作りだす不思議な魅力を持った動物のマスコット「ぼけぼー」をご紹介したいと思います。

おばあちゃんが“ボケ防止”に作り始めたマスコット「ぼけぼー」

ぼけぼー
「ぼけぼー」は、静岡県沼津市に住む90歳のきよゑおばあちゃんが作るフェルトのマスコット。何の動物か分からないものがあったり、鼻があったり無かったりするような独特の可愛さに心掴まれて、目が離せなくなってしまいます!そんなユニークなマスコットたちの魅力を、東京に住むお孫さんが広報として発信。関東エリアで展示を開催したり、様々なイベントへ出店したりすることで、ぼけぼーの存在をたくさんの方に伝えているんです。

今回、中野のウナカメラリベラで展示を開催すると聞きつけ、足を運んでみることに。孫&広報担当の志賀春香さんに、ぼけぼーが生まれた時のお話や、ぼけぼーの魅力などを伺ってきました!

ぼけぼーが誕生した時のお話

ぼけぼー

(お話を聞かせてくれた、孫&広報担当の志賀春香さん。)

箱庭:ぼけぼーはどのように生まれたのでしょうか?当時のお話を教えて下さい。

志賀春香さん(以下、春香さん):今から5年前、おばあちゃんが85歳の時に初めてぼけぼーの展示をしました。もともとおばあちゃんは、ボケ防止のために折り紙を作っていたんですが、ある時近所のおばあちゃんがフェルトで作るキャラクター(たれぱんだやディズニー)の手芸キットを持ってきて、「私は作れないから作ってみな。」と言われたそうなんです。それを実際作ってみたら周りの反応が良くて、折り紙からフェルトに切り替えたという感じです。

そうして作られるようになったマスコットが、ある時私が実家に帰ったときに、大きめの煎餅の缶にたくさん入っていて!なんというか、動物なんだろうけど、何の動物だかわからないものというか。とにかくすごいものがたくさん缶から出て来たということで、衝撃でした(笑)。今や、ちょっと“モテ系”の上手く出来たものもあるんですけど、当時のものは本当にすごかったんです!

ぼけぼー

(特別に見せて頂いた、初期の作品たち。)

箱庭:確かにすごいユニークな魅力があります。でも、おばあちゃんが作っているものをお孫さんが展示に繋げているということも、すごいですよね!

春香さん:今も変わらないところなんですけど、このギョロギョロ動く目が付いているからか、なんか不思議な雰囲気があって。こうして飾ってみると可愛くて。この面白さをみんなに共有したい!と思ったんです。

ここ(展示開催中の中野・ウナカメラリベラ)は、その日によってお店をやる人が替わる“日替わりのカフェ”なんですが、ぼけぼーが生まれた当時も私がここでカフェをやっていました。それで、ここで展示をしてみようと思い立ったんです。自由にこの空間を使うことが出来たという環境があったのが、大きかったかもしれないですね。

まだ最初、「ぼけぼー」という名前も決まってなかったのでカフェオーナーに相談して、フランス語っぽく「boket boushi」がいいかな?という話もあったんですが(笑)、結局「ぼけぼーでいいんじゃない?」ということになりました。

それから、ここウナカメラリベラでの展示は毎年やっていて、その他にも川口のsenkiyaさんの縁日日和というイベントに出展させて頂くようになったり、ファンタニマという海外の有名な人形作家さんが集まるイベントでも展示・販売させて頂いたりしています。その他、2013年にはアパレルブランド『Ne-net』とご縁があって、代官山店でぼけぼー展を開催したこともありました。

ぼけぼー

(10/9まで開催中の展示の様子)

試行錯誤の過程も面白い!チャレンジ精神旺盛なきよゑおばあちゃん

箱庭:Ne-netとのコラボまで!すごいです!今、ぼけぼーはたくさんの種類がありますが、どのように作られているんでしょうか?

春香さん:特に私から希望を出すことはなくて、おばあちゃんに任せています。もともと手芸キットから作り始めたので、キットにあったパンダ等は初期からあるのですが、実家に帰る度に新しいものが出来ています。例えば、これは羊なんですが、私の妹が『ひつじのショーン』を見ていたら作ろうと思ったみたいで。アニメに出てくるキャラの前髪部分だけ反映されて、こうなったみたいなんです(笑)。

他にも、カエルはもともと作っていたんですが、親戚のおばちゃんが『ど根性ガエル』を見本にしたら?とオススメしたことがあって。その後に作られたカエルが、別の新しい良く分からないものになってしまった、ということもありました。全部フリーハンドなのもあって、おばあちゃんなりに試行錯誤しながら作っているので、その過程が分かるのが面白いですね。

ぼけぼー

(真ん中のピンクのマスコットが羊モチーフ)

最初、平面だけだったのが、今は立体になって自立するバージョンもあるんですが、その平面から立体への過程も面白くて。顔が立体なんだけど、体が平面で足が2本しかない、とか(笑)。そういう、新しいことをやろうとするときに生まれる不思議なものは、ぼけぼーマニアにはたまらないですね。でも“過程”でしかないので、欲しいと思っても出てこない、レアなものです。

ぼけぼー

(途中から作られるようになった立体のぼけぼー。ちょっとずつ首を傾げている様子がかわいい。)

箱庭:その時の失敗のような、過程が面白いって、いいですね!そして、きよゑおばあちゃんのチャレンジ精神も素敵です。最近の作品はどんなものがあるのでしょうか?

春香さん:最近は、妹がヤモリを買い始めたことで爬虫類に興味が出たらしく、トカゲやカメが新作になりました。あとは、『シン・ゴジラ』の影響なのか、恐竜のようなものも最近出来たものです。その他、今回の展示からは顔だけのマスコットが出てきたり、今まで必ずついていた紐が付いていないものなどが新登場していたりでしょうか。そしてほんとの最新作はパンダの親子で、これからイベントがあるときに披露したいと思っています。

ぼけぼー

(ゴジラっぽいぼけぼー。口の中は赤いフェルトになっています。)

おばあちゃんは作るもののネタが無いようなことを良く言うのですが、テレビで見たものや、周りの置物などを見てヒントを得ているようです。アリクイや、ハムスターなんかもあります。そんな感じで、常に新しいものにチャレンジしていますね。

ぼけぼー

(今回の展示のNEW ITEM)

箱庭:今回の展示でもすごい数がありますが、どれくらいのペースで作られているのでしょうか?

春香さん:85歳の時から5年くらい経ちますが、今や在庫がすごいことになってます。気が向いた時に作っているようですが、1日5個くらい、いっきに作るときもあるみたいで。昔から、おばあちゃん達はバザーで作ったものを売る文化があるからか、何か作ることが好きだし、作るとなるとほんとに飽きずにたくさん作るんですよね。ぼけぼー作りを始める前のおばあちゃんは、毎日ご飯食べたら寝落ちしちゃうこともあるくらいだったのに、今は暇があれば作るようになって。みなさんの反応が嬉しくて、作り続けているみたいです。

以前、こんなこともありました。おそらく、先ほど言ったように平面から立体にするときのように、新しい作り方を考えていたときだと思うのですが、おばあちゃんが夢で作り方のアイデアが思いついて飛び起きた、というんです!飛び起きるほど頑張らなくても良いのに!と心配にもなったのですが、でも、それくらい楽しんでやっているんでいるうちは、孫として応援したいなと思いました。

ぼけぼーがたくさんの方に愛されることで、きよゑおばあちゃんの励みに。

ぼけぼー

箱庭:これからのぼけぼーの活動に関して、何か考えていることはありますか?

春香さん:出来る限り展示をやって、多くの人にぼけぼーを知って貰えたらいいなと思います。ぼけぼーの面白さをみんなで共有出来たら良いですね。きよゑおばあちゃんも、ぼけぼーの活躍を伝えると喜んでくれるので。そして、またおばあちゃんが新しいぼけぼー作りに励んでくれたら嬉しいですね。私も孫として、出来る限り応援したいと思っています。

senkiyaさんのイベントは、もう5年くらいやらせてもらっているので、子供たちが毎年大きくなって、これまでに買ったぼけぼーを持って遊びに来てくれるんです。それを見ると、ぼけぼーってすごいなと思います。このことをもっと上手くおばあちゃんに伝えられたら良いんですけど、なかなか難しくて。なので、展示の時に置くポストに、きよゑおばあちゃんへ手紙を書いて頂けるとすごく嬉しいですね。ぼけぼーは1つ300円で販売してますけど、無料で配るのもおかしいのでそういう形になっているだけで、おばあちゃんへの手紙をみなさんに書いて頂いて、それをおばあちゃんに届けることが一番なんです。

ぼけぼー

(ぼけぼー展では、ぼけぼーと一緒にポストが置かれている)

箱庭:子供たちが毎年買ってくれるというのは、心が温まりますね。ぼけぼーはそんな出会いも生み出してくれていて、すごいですね。

春香さん:そうですね。あとは、気付くと知らない人が持っていることも面白いですね。全く知らない方がTwitterやインスタでぼけぼーをアップしてくれていたりすると、こんなところにも!と嬉しくなります。たまに、ぼけぼーの類似品のようなものも見かけることもあるんです。でも、それも真似されるくらいになったのがすごいなと思います。むしろ、いろんなおじいちゃんおばあちゃんが、自分の“ぼけぼー”をボケ防止として作ってくれたら面白いだろうな、と思っているくらいなんです。

きよゑおばあちゃんのぼけぼーのように、家にあるとちょっと困るくらいのものが、そこから羽ばたいて人に喜んでもらえるようなものになったら、すごいですよね。もっといろんな家の、いろんな“ぼけぼー”を知れたらいいなと思います。

きよゑおばあちゃんの孫で、ぼけぼー広報の春香さん、ありがとうございました!

ほけぼー展は、10/9(祝月)まで東京・中野の日替わりカフェ ウナカメラリベラで開催中。みなさんも、ぜひ遊びに行ってみてくださいね。そして、お気に入りのぼけぼーを見つけてみてね!

    ぼけぼーthanks90展

    期間:9/12(火)〜10/9(祝月)
    ※イベント期間の制限がありリンクでは26日までになっていますが9日まで開催しています!!
    営業時間:12:00〜20:00
    場所:日替わりカフェ ウナカメラリベラ
    住所:中野区中野2-12-5-101
    TEL:03-5340-8292
    ※カフェのため1オーダーお願いいたします
    https://www.facebook.com/events/123097568350863/