「糖質制限」論争に幕?一流医学誌に衝撃論文

「炭水化物は危険、脂質は安全」の波紋

「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」という論文が発表され、話題を呼んでいます(写真 : dorry / PIXTA)
『ランセット』といえば、医学界では知らない人のいない権威ある医学雑誌である。そのオンライン版に掲載された論文が話題を呼んでいる。
要点をいうと、「炭水化物の摂取量が多いほど死亡リスクが高まり、脂質の摂取が多いほど死亡率が低下する」という内容。「脂質をなるべく減らしましょう」という日本の従来の健康常識を真っ向から覆す研究報告であり、波紋を呼んでいるのだ。
この論文の内容と意義などについて、『江部康二の糖質制限革命』の著者・江部康二氏に解説してもらった。

糖質を取り過ぎると死亡リスクが高まる

『江部康二の糖質制限革命』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」という論文が、『ランセット』のオンライン版(2017年8月29日)に掲載され、医学界で話題を呼んでいます。ちなみに『ランセット』というのは、世界で最も権威ある医学雑誌の一つです。ここに掲載されることは、医学界ではかなりインパクトが大きいことなのです。

なお、炭水化物は「糖質+食物繊維」ですから、「糖質の摂取増加で死亡リスク上昇」と言い換えてももいいでしょう。

このことは一般の人には衝撃的かもしれませんが、糖質制限食を推進してきた私からしますと、「日頃の主張がとうとう証明された」という印象です。

やはりわれわれの仲間で湿潤療法の創始者として有名な夏井睦医師が2013年に『炭水化物が人類を滅ぼす』(光文社新書)という本を出しベストセラーになりましたが、まさに正鵠を射ていたといえます。

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  • NO NAME4a0cb5222f2b
    米に限らずパンでも肉でもなんでも死亡率は100%である。人間いつかは死ぬ(ヮ

    置いといて、戦後まで日本の死亡率というより平均寿命は60歳台でした。
    しかし、豊かになるにつれ「糖質」も「タンパク質」も「脂質」も大量に得られるようになり平均寿命も女性で87歳、男性で80歳ちょいです。

    しかしながら少子高齢化によって少々暴論かもしれないが「これ以上健康になってこれ以上長生きしてどうするんだ?」というのが喫緊の課題である以上はむしろ、精神的な満足の為にも「食べたいものは好きに食べるべきである」と思う。
    up181
    down27
    2017/10/3 09:26
  • NO NAME345c50cfc9d5
    元の論文の無料で読める部分を読んでみましたが、糖質を取り”過ぎる”と死亡率が高くなるとしか読めませんでした。
    これって、塩を取り”過ぎる”と健康に悪いとか、酒を飲み”過ぎる”と中毒するとかと一緒じゃないの。
    放射線を浴びるのも、どんなに少なくても害はあるという論がずっと有力紙されていたけれど、今では一定量以下なら健康状態に影響は無いが大勢の意見になっていますし、単に「過ぎたるは及ばざるがごとし」ではないと言うのなら、そこを明確に論じて欲しいですね。
    up115
    down22
    2017/10/3 09:21
  • NO NAME020769a64c4a
    炭水化物って、収量が多くて保存できて安いから発展途上国でよく食べられるよね。低所得者にはほとんど炭水化物だけで生きてる人もいるし。
    逆に脂質って高いから先進国で食べられるよね。

    医療水準、平均寿命を考えれば当たり前の話だったりする。
    up70
    down9
    2017/10/3 09:53
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