土木学会の地震工学委員会のWEBサイト『熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について』というお知らせが27日に掲載された。

熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について、匿名の方から地震工学委員長宛に情報提供があった。大変重要な内容と認識すると共に、この情報を深刻に受け止め、公的な対応を検討中である、という。

熊本地震における臨時観測点は下図に示すとおり(論文では、M-1,M-2,S-3ではなく、TMP1,TMP2,TMP3と呼称されている)。この観測点で得られた記録は、アメリカ地震学会で公表された(こちらのエントリー参照)。
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下図は地震工学委員会で公開されたものの一つで、KMMH16(KiK-net益城)と臨時観測点TMP3(上の図のS-3)のフーリエスペクトル(上段の図)、およびフーリエスペクトルの比率(下段の左)と位相差(下段の右)を示している。
TMP1とKMMH16のスペクトル
フーリエスペクトル比と位相差は、KMMH16と比べられている。いずれもNS成分(赤線)とEW成分(青線)が描かれているが、スペクトル比はNS方向とEW方向がほぼ完全に一致し、位相差もない。これはTMP1とTMP2でも同じ結果である。

「かなり大きなレベルの地震動が対象であり、表層地盤はそれなりに非線形化していることを想定すると、各地点の方向別に相関分析をした結果が一致するというのは、極めて特徴的と考えられる」としている。かなり不自然な観測記録ということか。

この臨時観測点で得られた記録を使った分析や研究が進められており、検討結果が早急に公表されることを望みたい。