ライブ配信「SHOWROOM」は世界を獲れるか

AKB48も参加、前田社長が語る勝算

2017年10月3日(火)

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 「今の若い人たちって、『昭和回帰』というか、極めてアナログなものに強い関心を持つようになっていると思うんです」。9月11日号の日経ビジネスの特集「若者消費のウソ」に関する取材で、若者の消費をこう表現する経営者に出会う機会があった。前田裕二氏(30)。ディー・エヌ・エー(DeNA)傘下のSHOWROOM(ショールーム、東京都渋谷区)を立ち上げた、インターネット業界で注目を集める若手経営者である。

 特集でも取り上げたSHOWROOMが手掛けるのは、同名のライブ配信サービス「SHOWROOM」。ライブ配信とは、あらかじめ撮影、編集された動画ではなく、テレビの生中継のように、ライブでの映像をネット上で配信する仕組みやサービスのことを指す。SHOWROOMはDeNAの一事業として、2013年秋にサービスを開始。15年夏には事業会社として設立され、ソニー・ミュージックエンタテインメントからも出資を受けている。

 このSHOWROOMが、現在多くの若者を引きつけている。SHOWROOMではAKB48グループやももいろクローバーZといったアイドルのほか、一般の女子中高生らが自分でチャンネルを開設し、日々ライブ配信を行なっている。歌を歌ったり自分の趣味を紹介したりとパフォーマンスは様々だが、視聴者は気に入った配信者の生配信を見ることができる。

 そして、配信者を視聴者が「応援」するための課金が、SHOWROOMの主な収入源だ。ファンは動画にコメントを投稿するほか、花束や東京タワーなどの形をした有料アイテムを購入して、それを贈る「ギフティング」と呼ばれる仕組みで配信者を応援する。有料アイテムの収益の一部は配信者に分配され、多くのギフトをもらえる配信者は、SHOWROOMでの存在感も高まり、さらに活躍できる構図が作られている。

 米アプリ調査会社のアップアニーが9月中旬にまとめたレポートでは、動画配信の各サービスのランキングにおいて、SHOWROOMは収益性の部門でネットフリックスなどを抑え、日本国内でトップを獲得した。ギフティングの課金自体は1円単位から可能だが、配信者とファンの交流を促進することで安定的・継続的に収益を上げられる強みが確立されつつあるといえる。

 記者はこのサービスを立ち上げ、いずれは「世界ナンバーワンを目指す」と豪語する前田社長にインタビュー。冒頭の「若者はアナログが好き」という消費意識の分析理由や、ライブ動画の可能性について聞いた。

前田裕二(まえだ・ゆうじ)氏 1987年、東京都生まれ。2010年に早稲田大学を卒業、外資系大手投資銀行に入社。北米でエクイティセールス業務などに従事後、13年にDeNA入社。同年にライブサービス「SHOWROOM」を立ち上げ、15年8月にSHOWROOMを設立(左写真:竹井俊晴)

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「ライブ配信「SHOWROOM」は世界を獲れるか」の著者

河野 祥平

河野 祥平(こうの・しょうへい)

日経ビジネス編集記者

2006年日本経済新聞社入社。社会部、消費産業部などで警視庁、ネット業界などを担当。直近では企業報道部でビール・清涼飲料業界を取材。2015年4月から日経ビジネス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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