ただいま、カンボジアはお正月真っ只中です。
街じゅうが浮かれています。
とうとう、5回目のカンボジア正月を迎えました。
そして、Lux(ロイ)とHaru Heang(ヘアン)が誕生日を迎えました。
もし、ちょっと前からこのブログを読んでくださっている方は「あれ」と思うかもしれませんが
昨年の12月、私たちはロイの誕生日を大々的に祝っているのです。
しかし、また「誕生日だ」と言っているのです。
カンボジア人は、自分の誕生日を覚えていない人も多いので
どうせロイも誕生日を勘違いしているんだろうと
「ロイ、こないだ誕生日お祝いしたばっかじゃない」
とロイを非難していたところ、ヘアンが言いにくそうにこう言った。
「あのね、レナ・・・ロイの誕生日は4月12日が正解なのよ」
「え、でも、ロイのパスポートには12月4日って書いてあったよ」
「言いにくいんだけど・・・それ、逆だから」
「えっ・・・」
ごめん、ロイ
来年は、正しい日に祝うね
日本からカンボジアに戻ってきて
“一人一人とよーく話す”ことにして
4月13日、ヘアンの誕生日、
私たちスタッフはPOLARIXCREW(ポラリックスクルー)に個人面談を行いました。
誕生日が1日違いのヘアンとロイは、お互いまだまだおバカなんだけど
一生懸命に頑張っています。
ただし、二人には共通の悩みがあります。
「家族」です。
サクッと説明すると、家族を支えるために自分を犠牲にしているのが、ヘアンとロイ
家族のせいでさんざん苦しんでいるのに、苦労しているのに
二人は口を揃えてこう言うのです。
「お母さんは誰より優しい人なんだ」
そして・・・ヘアンとロイの家族問題を「どうしたもんか」と考えている矢先
面談・三番手にTata(タタ)がやってきました。
実は最近、タタは私たちに無断で新しく英語の学校に通い始めてしまい
練習に来られる時間が減ってしまいました。
私たちは、それを問い詰めるつもりでした。
タタはただでさえ出遅れているのに、さらに遅れをとってしまう
それを解っているのか?
そして、日本滞在中の私にタタはこんなメールもよこしてきました。
「レナが帰ってきたら、話したいことがある」と
「どうして、私たちに相談する前に、新しい学校に行く時間を決めてしまったの?」
「わたし・・・英語をもっと勉強したくて。もっとたくさん、英語を学びたい」
その答えを聞いたとき、私は言葉に詰まりました。
詰まった矢先に私の口から出てきた言葉は
「あなたは、CSAを辞めるべきだと思う」
あっさり、自分の口から出てきたその言葉にビックリしているうちに
タタが泣き始めた
「レナが帰って来たら話たかったことは、それだったの」
タタは、少し前から悩んでいたそうです。
でも、迷っているうちに、あれよあれよとテレビデビューし
日に日に忙しくなり
「英語をもっと勉強したい」
と言うチャンスを失ってしまっていたそうです。
ソヒャップが離脱した日
私はみんなにこう言った。
「もし皆が CSA以外の場所に自分の本当の夢を見つけたら、本当にやりたい事だと思ったら
いつだってCSAを離れて良いんだよ」
タタが英語をやりたい、それが本当にやりたい事なら
これは、止めても意味が無い
私はもちろんこの時泣いていたのですが、心のどこかに冷たい自分がいて
仕方ないのだと、心の整理をつけようとしていました。
タタの次の面接はJuvie Lin(リン)でした。
立派な男に成長したリン
頼れるリンを目の前に、今度はカミナリ親父が涙を止められない
リンにタタが辞めることを話すと、リンは哀しく笑ってこう言いました。
「俺に、悩んでることとか、心配ごとなんか無いけど
ただ・・・みんなと一緒にずっとやりたかった」
私も涙が止まらない
「ハグしてもいい?」
泣き崩れるおじさんとおばさんに、突然、リンはそう言いました。
私とカミナリ親父は、リンと初めてのハグをしました。
ノリは、タタと幼なじみ。
実は、私とカミナリ親父、いつかはタタとノリが「くっつく」ことを望んでいました。
二人は、いつもお互い憎まれ口をたたいているけど、大の仲良し。
タタの離脱を伝えると、ノリは言葉に詰まりました。
でもノリは最後にこう言った。
「俺がこの道を選んだんだ。どんなに大変でも、俺が自分で選んだ道だ。
家族だって、俺をもう止められない。俺はずっとここで頑張る。」
最初にノリとした面談と、真逆の答えだ
その次はKong Jubi(コン)が来ました。
最初からCSAにいたメンバーは、これで、コンとキンだけになっちゃった
涙が止まらない私たちと一緒に、コンは泣きました。
「みんなと一緒に・・・俺は最後までやりたかったんだ」
コン、何度もこうして辞めていくメンバーを見てきたね
コン自身が辞退に追い込むこともあって、辛かったよね
本当は、本当は、みんなで最後までやりたかったよね
続いて、King(キン)が来ました。
初めて面談をした日と同じように、キンはドアを開けてからコンコン、とノックした
へんな髪型で、思わず笑ってしまった
こうして悲しい気持ちを何度あんたに救われてきたか
キンも、タタと大の仲良しでした
キンは、タタ離脱に関して何も言わなかった、細い目を一瞬見開いただけでした
でもわかるよ
「なんでだろう?」って考えるのに、キンは時間が要るんだよね
最後にT(ティー)がきました。
実はこの日の面談、「辞めてしまうかも」と覚悟していたのはティーでした。
今日は「2人」POLARIXCREW(ポラリックスクルー)を失うかもと恐れながら
ティーの最近のワガママを厳しく叱りました。
最近のティーは彼のワガママで皆の和を乱したり
何度も何度も同じ失敗を繰り返す
イライラや心配ごとを、周りにぶつけるな
何度も同じ失敗を繰り返すな
100%の力でやれ
元気に挨拶をしろ
カミナリ親父と話したあと・・・・
ティーは泣きながらこう言いました。
「ありがとう、何度も俺の過ちを怒ってくれて
何度ミスしても見捨てないていてくれて
本当にありがとう・・・・」
タタを失うけれど
その代わり、私たちには得るものがたくさんありました。
家族の問題に負けず、がむしゃらに頑張るヘアンとロイ
リンのハグ
温かいコン
生まれ変わったノリ
変わらないキン
ティーの涙
そして・・・・たくさん泣いた次の日
POLARIXCREW(ポラリックスクルー)のみんなには
かつて無いような、鳥肌が立つような、ステージが待っていました
そして、もう一つのPOLARIX“北極星”が生まれた
それはまた、次回のブログで
面談の後
部屋の掃除をしているとタタがやって来ました。
「レナ、一緒にケンのところに来て」
カミナリ親父の作業部屋へ一緒に行くとタタはこう話し始めました。
「ケン・・・本当にごめんなさい。迷惑をかけて・・・
でも、私は今でもケンが大好き。
ずっとケンが大好きだよ。
私のこと、忘れないで。お願い。」
カミナリ親父は、タタをそっと抱きしめました。
タタはカミナリ親父の胸で、大声をあげて泣きました。
あのね、タタ
べつに、「なんで辞めるんだ」なんて思ってないの
本当はね、本当は
もう台所に「レナ、今日の夕飯は何?」ってあなたが来ないことや
何かやらかした時に「レナ、一緒にケンのところに来てよ」とあなたが甘えないことや
私の作ったデザートをあなたがムシャムシャ食べないことや
一緒に映画を観て泣けないことや
あなたの音痴な歌をもう聞けないことや
ショータイムの写真にもうあなたの可愛い笑顔が映らないこと
あなたにバカにされながらもう英語を教えてもらえないこと
そういうことが、哀しくて寂しくて、たまらないだけだよ
だって、あなたが14歳の頃から一緒に過ごしてきたからね
私のカンボジア生活の多くはあなたと共にあったからね
本当に・・・寂しいよ
でも、応援してる
カミナリ親父のご両親が、カミナリ親父のやりたい事に一度も
「それはダメ」
と言わなかったように、あなたのことを見守ってるよ
タタは22日のショータイムを最後に、旅立ちます。
Rena