最近のプノンペンは、雨季の終わりの猛烈な豪雨が1日に数回あります。
CSAつまり我々の家の1階は、冠水。
家の前も、プノンペンの街中も、ちょっとした川みたいになります。
東京からプノンペンに戻って来ると、ホントーに退屈で
自由気ままに何処へでも歩いて行ける東京・日本が恋しいです。
これまでに何度も書いてきましたが、日本は決して窮屈な国じゃない
自由な国です
たぶん、何処の国でも、その国なりの自由はある
さて・・・気を取り直して
最近、ポラリックスのメンバーたちはInstagramに力を入れています!
Instagramのために、ササッと振り付けを作り、ササッと撮影。
それでも、カッコイイやつが撮れるようになりました!
ぜひぜひ、フォローしてください😊
https://www.instagram.com/polarixcrew/
CSAは最近、ひとつの変わり目を迎えました。
実は、ほんの少し前にキンが「CSAを辞めたいかも」と漏らしたのです。
私やカミナリ親父に直接そう言ったのではなく
ミッキーやノリがこっそり、教えてくれたのです。
それとなくキンに聞いてみると
「今は、家族の手伝いをすべきか、CSAを続けるべきか
両方やりたくて、自分の気持ちがわからなくなっている」
とのこと。
私とカミナリ親父は、キンがいなくなる日のことを想像すると涙が止まらず
二人で泣きながらキンの話を聞きました。
でも、嬉しい気持ちもあって
それは、キンがもう立派な青年に育ったのだということ
ちょっと前まで何も考えてないゴリラみたいだったのに
今では自分の将来に迷ったりする、一人前の「人間の」男の子になったんだなぁと思いました。
私とカミナリ親父は、キンの心が決まったら教えて欲しいと
どんな答えでも、正直に話してくれたら、キンのことを一生応援すると伝えました。
「キン、今まで君がやった仕事、覚えてる?
ダンサー・カメラマン・お笑い芸人・・・今までやってきた仕事で何が一番好き?」
カミナリ親父が涙ながらにキンにそう聞くと、キンはこう答えた
「チリエン(←クメール語で“歌”)」
親父「ん?チリエン?」
ボリャ「私の通訳聞いてたでしょ!ダンスかカメラかコメディアンのどれかっつってんの」
キン「俺は、チリエンが一番好きだ」
ボリャ「・・・・ケンちゃん、レナさん、キンはチリエンが一番好きと言っています」
私とカミナリ親父とボリャに広がる動揺、あっという間に引き下がる涙
キン「俺は、毎朝欠かさず歌の練習をしているんだ、俺は歌手になりたい」
えーっと、練習ってのは、あの毎朝聞こえる、音痴な歌のことかな?
親父「キン・・・歌手になりたいんだって」
ボリャ「ケンちゃん、どうする」
わたし「わからないよ、どうすればあの音痴を直せるのか、わかんない」
ボリャ「ケン、レナ、どうする」
親父「と、とりあえず君の気持ちはわかった、チリエンについては、また考えよう」
わたし「とにかく、キンの気持ちをいつでも正直に話してね、応援するから、チリエンは別にして」
その後、キンは「お腹が張ってオナラが出まくる」とボヤきながら元気に頑張り続けています。
カミナリ親父がCSAを始めて、3年。
創業メンバーで残っているのは、実は歌手志望のキン、そしてコンです。
しかし2017年9月をもって、CSAのひとつの時代が終わりを迎えました。
コンがCSAを離れることになりました。
少し前、CSAではこんな事がありました↓
あれからコンは
朝、寝坊して起きられない事が何度もあり
夜、遊びに出掛けては朝帰りの事が何度もあり
みんなのルールを守れない事が何度もあり
宿題をサボることが何度もあり
誰かが頑張っている仕事に割って入って邪魔してしまったり
自分が怠けたいときに誰かを巻き込んだり
コンがそんな調子の中、周りのメンバーはどんどん成長して
リンはダンスも何でもナンバーワン。誰もが認める頑張り屋
ノリは音楽のナンバーワン。貯金してパソコン買って、音楽ソフトを使いこなす
キンはカメラのナンバーワン。もの凄い集中力でカメラをまわす
ティーはモノづくりナンバーワン。レコーディングスタジオを作り続けてる
ロイは使いっ走りナンバーワン。誰かのお手伝いを一生懸命いつもしてる
K.A.は自主練ナンバーワン。ずーっとダンス踊ってる
コンには、ナンバーワンが何もなくなってしまった
そう、ダンスバトルにも出られませんでした。
そして数日前
またもコンは朝帰りをし、起きられず、それを謝ることも出来ませんでした。
何食わぬ顔で、練習に途中参加していました。
私とカミナリ親父は、コンに対してやはり感謝の気持ちが大きく
何度も叱って、道を模索してきたけれど
他メンバーもコンと同様に大切だし、一生懸命頑張る他メンバーのことも考え
思い切って話すことにしました。
さらに、お昼どき
私はコンに、こう言われました。
「レナさん、砂糖がないんだけど」
「あら、そうなんだ。ニタに頼んだら?」
しばらくして、コンが怒りながら
「ねぇ、レナさん!砂糖が無いんだってば」
「えっ、だから、ニタに買ってきてもらえば」
そう言うと、コンは「ちぇっ」と舌打ちをしました。
近くにいたキンが慌てて「俺が自分で買いに行く」と
そこまで器の大きい人間じゃない私は、コンの態度に頭にきてしまいました。
それと同時に
今は、コンと私たちは一緒にいるべきではないのかもと感じました。
シェムリアップ時代から私たちと一緒に住んでいたコン。
いつの間にか、コンは「当たり前」になってしまったんだ。
なんでも私たちがやってくれる。
“有難う”の意味を、忘れちゃった
きっとそれは、私のせいでもある
このままじゃ、コンは「本当の」スーパースターにはなれない
「どうして今のコンは、そうなんだ?」
カミナリ親父の問いに対し、コンはこう答えました
「家族のことが心配だから」
やはり、前と同じ言い訳をしてしまうコン・・・
カミナリ親父と私は腹をくくって、コンと話しました。
「家族のことが心配なのと、寝坊するのは、関係あるの」
「家族のことが心配なのに、夜は遊びに行けるの」
コンは、問われるうちに自分でも逃れられない事に気づき始めました。
全ての質問に、怒ったように
「わからない」「知らない」
と答え始めました。
前回と同じ言い訳をし、それが何の言い訳にもならない
ただただ、自分の弱さを露呈するだけなのだと
「たった一言、仲間にごめんなさいが言えたらいいんだよ」
前に言ったこと、覚えているだろうか
コンは怒りながら、こう言いました
「もう話すことなんかない。CSAをやめて、家族の元に帰る」
ヘアンがCSAを辞めたとき
私とカミナリ親父が今でも凄く凄く後悔していることがあります。
それは、ヘアンに「契約書」を求めたことです。
契約書といっても、内容はヘアンがリリースした曲についての簡単な決まりごとでしたが
それが、あのような悲しい別れの原因の一旦になったことは間違いないです。
カミナリ親父も私も、心の何処かで「ヘアンと自分たちの間に契約書は不要」と思いながら
「日本の芸能界ではこうする」というアドバイスに心が縛られてしまっていました。
ここはカンボジアで、相手は、家族として信頼していたヘアンだったのに
契約書なんて、本当はただの紙切れで、何の意味もない
そういえば、日本にいた時だって
私は会社員だったから契約書の元に働いていたけど
契約書のことを思い出すのなんて年に1回(更新のタイミング)
ろくに内容も読まず、ハンコをおして上司に渡してた
給与欄だけ見て「あー給料ちょっとしか上がってない、ちぇっ」って、それだけ(笑)
契約書があったって辞めちゃう子だって何人もいた
大事なのは、働く仲間と、自分がいないと迷惑かける仕事だった
もちろん仕事だから、取引先があって、その決まりごとは守らなくちゃいけないけど
家族の未来のためにそこを何とかするのが、私たちの役目
もう二度と、それを忘れない
ヘアンとの別れを経験して、私とカミナリ親父はポラリックスと契約書を交わさないことにしました
契約書で繋がる家族や友達なんて、この世にいない
私たちは、コンの意思に沿うことにしました。
無期限でポラリックスを離れ、家族と過ごす。
いつか、コンにはポラリックスのサポーターとして、一緒にダンスをしてもらおう
コンは、他メンバーの前でお別れの挨拶をする時、やっと素直になれました
泣きながら
「本当にごめんなさい、3年もここでやってきたのに・・・」
そして、シェムリアップからキンと二人乗りして引っ越してきたバイクに
今度は一人で乗って、シェムリアップへと帰って行きました。
「君が成功している時は普通なのに、君が全てを失った時、人は君を見下すんだ」
そんな内容を、コンがFacebookに投稿していました。
コン、違うよ
君が成功している時・・・つまり、君が頑張っていた時
誰もが君を目指してた
カミナリ親父だってね、いつもリンやノリに言ってたよ
「お前ら、コンを見習え。」って
ダンスだって撮影だって、いつも君がセンターにいた
いつの間にかその時代が過ぎて、君がどう頑張ればいいか分からなくなってからも
リンはいつもこう言ってたはず
「コンは一生、俺にとってのリーダーだよ」
もしコンが「有難う」の意味に気づけたら
いつだって、チームメイトは君のことを受け入れてくれるよ
私はたまたま、コンが去った日から3日間高熱を出し
家のみんなは「またレナは心の病気になって寝込んでるんじゃないか」ってすごく心配してくれたけど
今は、大丈夫
長い人生の中で、コンともこういう時期が必要だったのだと思うし
今回は自分たちの心の声にちゃんと従えたから、何も後悔していない
ポラリックスたちも、次の大仕事に向けて毎日、元気いっぱいに過ごしています!
コン、今まで本当に有難う
またね
応援してくださっている皆さん、これからもコンのことをよろしくお願い致します。
そして、コンがCSAを去った日、新しい仲間がやってきました
次回、紹介させてください😊