見知らぬおじさんにお金を貸したことがありますか?
どうも千日です。千日はパチンコ屋の前で帰りの電車賃が無くなったという小汚いおっさんに「100円でエエから」と言われて、小銭が無かったので千円貸したことがあります。
我ながら、何の意味も無い行為だったと思いますけど、その時はループ世界に迷い込んだような気がして、そうしたんですよね。
つまり、
そのオッサンは未来の、又は平行世界を生きる私で、現在のこの世界の私と会った。
なーんて、また(笑)。しかし、そのオジサンが背負っている「何か」がこの邂逅によって私とシェアされてしまうんじゃないか…というような得体のしれない怖さがありました。
彼のリクエストは100円でしたが、その10倍の金を棄てることで、彼から私に流れ込もうとしている「負の何か」を防ごうとしたんです。
基本的に私は利己的な人間です。
ただ、わりと千日は、道に迷った人などから声を掛けられやすい人です。人畜無害でものを頼みやすそうなオーラが出ているのでしょう。
なので、今回もそんな感じで声を掛けられたんですよね。たぶん。
第一声は道を聞く風で声をかけてきた
すいません、これから京都まで帰らなアカンのですけど…
第一声は、こんな感じだったように思います。土砂降りの雨のなか、薄いカーキ色の作業着の上着を羽織りビニール傘を刺した50半ばくらいの男が声をかけてきました。
駅の場所が分からないのかな?と思って立ち止まりました。
『ああ、駅だったらこの道を…』
その私の言葉にかぶせるようにオッサンは続けます。
『ワタシの家は京都の福知山にあるんです。〇〇駅から電車に乗って帰らなあかんのですけど、怪しいもんじゃないです…』
サイフのようなものから身分証や健康保険証、運転免許証(あ、ゴールド)などを取り出して私に見せながらまくし立ててきました。降り注ぐ雨の中、立ち止まって彼の話を聞いているうちに、どういう訳か私は急激にイライラしてきました。
ああ、要するに私に金を貸して欲しいのだ。
『交番へ行ったらエエと思うよ。』
それだけ言って私は踵を返しました。去り際、おっさんの『行ってアカンかったから言ってるのに…』という湿った声が追いかけてきましたが、もう振り返ることはありません。私の知ったことでは無いのです。
それにしても、何でこんなにイラついたんだろう?というのを少し考えてみました。前にパチンコ屋の前で見知らぬオッサンにカネを貸したときは、もちろん良い気分ではありませんでしたけど、イラつきはしませんでした。
悪徳商法の手口とトーク法
そのおっさんは、色々言ってきましたけど、結局『金を貸してくれ』とは言わず、自分がどれだけ困った状況にあるのかという話を懇々としてきたのです。見え透いたことなのに、妙にもったいを付けられている感じがしたのは確かです。
もし、呼び止められてすぐに『〇〇円貸してくださいお願いします』と言われてたら、結果は違っていたかもしれません。
ただ、これって返ってくるはずの無い、返す当てもない借金ですから、千日にとって何のメリットも無いことですよね。
こういう、相手にとってメリットの無い要求を飲ませる心理テクニックというのはあるらしいです。悪徳商法でよく利用されている手口です。
ローボール・テクニック(承認先取要請法)
あえて悪い条件は言わず、まず好条件を出して『イエス』と言わせてから、不利な条件を付け加えるという要請方法。日本語では承諾先取要請法とも呼ばれています。
取りやすいローボール(低い球だからとりやすい)を最初に投げ、好条件だと思わせて承諾を得た後にその好条件を取り払ってしまうという、コスいやり方ですね。
前にサウナでこのケースに遭遇しました。入口のところに佇むホームレス風のおっさんがそこのサウナの500円割引券を差し出して「兄ちゃんこれやる」と言ってきたんですよ。で、「あ、ありがとう」といって受け取ろうとすると「500えん」と、手を出してきた(笑)。
シカトしてスルーし、フロントにチクりました。500円の割引券を500円で売る亜空間の値付けセンスです。せめて300円くらいにしないと。
フット・イン・ザ・ドア(段階的要請法)
まず小さな頼みごとを受けてもらってから、(本来の目的の)大きな頼みごとも受けてもらうというテクニック。日本語では段階的要請法とも呼ばれています。
企業やセールスマンもよく使う方法なので、普段の生活でも気づかないうちに体験してる人が多いと思います。
このオッサンのパターンはこれに近いですね。小狡いんですよ、やる事が。だからイライラしたんですね。分かって少しスッキリしました。
むかしカネを貸したおっさんとの違い、脅迫にならない脅し
2年前のおっさんは、開口一番で『ゴメン兄ちゃん、百円貸してくれへんかなぁ』でした。少なくともそのおっさんからは小狡さという不快感は無かった。
ただ、別のイヤーなモノを背負ってましたけどね。
今日、私が見捨てたおっさんがどうなろうと知った事では無いですが、他の誰かを見つけるのでしょう。
おっさんにアドバイスするとすれば、最初から本題の「金を貸してくれ」と頼み、相手から「何でお金が必要なのか?」と聞かせるような展開に持っていく方が借りられる確率は上がるでしょうね。
丁度雨が降ってましたから、雨に濡れながら頭を下げるとなお良いでしょう。相手の気が弱ければ、少額ならさっさと金を貸して終わらせたい、という展開になるかもしれませんし、その方法なら脅迫にもなりません。
妙なもったいをつけて「幾ら必要なの?」なんて聞いてくれるのを待つような手法ではダメです。
今まで、そうやって何とかなってきたのかもしれませんが。
ああ、もう雨が止みました。
まとめ
こういう手口は、結構わたしたちの身の回りにあって、メジャーな信用ある企業でもやってます。例えばマンションのチラシに書いてる『月々7万円で新築3LDKに(変動金利)』なんて言うのもそうです。
変動金利は金利上昇リスクがありますし、家を買うには家の値段の1割くらいの手数料がかかりますし、マンションを維持するには管理費、修繕費、固定資産税がかかります。
ちょっと知ってる人には見え透いたローボール・テクニックですが、メジャーな財閥系のデベロッパーでもそんな広告を打ってます。一度それで「家が欲しい」と思うと弾みがついちゃってなかなかストップが効かないんですよ。
このおっさんにしろ、サウナの割引券のおっさんにしろ、まだ カワイイものです。ホントに悪いヤツって、そういう事を言われずに稼いでるんですよね。不動産や住宅ローンのサイトって特にその手のサイトが多いです。
たぶん、私はそういうのにカチンと来るのだと思います。今回、千日に見捨てられたおっさんはそのとばっちりという事になるのでしょうか。
以上、千日のブログでした。
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《あとがき》
どうでしょうね、イライラしなかったらお金を貸してしまってたんでしょうか。
いや、あのおっさんには、無いかな。
2017年10月3日
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