フランス中央部から西部にかけて、「死者のランタン」と呼ばれる小さな塔が各所に建っている。上部には窓がついており、内側に灯りがともされるのだ。
まるで小型の灯台だが、海の側に建っているというというわけではない。一般的には、墓地の場所を示していると考えられている。しかし、付近に墓地など全くない場所にも建っているのである。
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「死者のランタン」とはどんなもの?
塔には様々な形や大きさのものがあるが、一般的には、柱、もしくは小塔のような形状をしており、天辺には円錐形の屋根と十字架がついている。下部には小さな入り口があり、日暮れにあわせ、滑車を使ってランプを掲げられるようになっている。
セルフルワンの「死者のランタン」
imege credit: Jack ma / Wikimedia Commons [CC BY-SA 3.0]
最もよい例は、シャラント県セルフルワンのコミューンにある。この塔は、台座から8本の半円形のシャフトを束ねたような柱が立ち上がっており、松ぼっくりのような装飾の円錐形の屋根がついているのだ。明かりを見せるための窓は表街道に向いている。
また、「死者のランタン」の大半はフランス国内にあるが、周辺の国々、イギリス、オーストリア、ドイツ、ポーランドなどにもいくつか存在している。
オーストリア、リーディングの「死者のランタン」と納骨堂
imege credit: Johann Jaritz / Wikimedia Commons [CC BY-SA 3.0]
塔の用途はやはり灯台だった。ただし、陸上交通のための。
塔の起源と用途については学者の間でも議論がある。
主流となっている説は、「死者のランタン」は元々は「荒野のランタン」であったというものだ。フランス語では、「荒野」を表す "maures" という単語と「死者」を表す "morts" という単語の発音が似ているため、長い歴史のどこかで取り違えられたのだという。
この説は最も理に適っているのである。塔の位置を地図上に記していくと、必ず旧い街道、特に巡礼者の通る街道の近くにあるのだ。従って、「死者の塔」は単純に古の旅人のための道案内の灯りだったのだと考えるのが妥当だろう。
シロンの「死者のランタン」
imege credit: Daniel Jolivet / flickr [CC BY-SA 2.0]
サン=ジュヌーの「死者のランタン」の内部
imege credit: Daniel Jolivet / flickr [CC BY-SA 2.0]
十字軍とも関係がある
学者たちはまた、この塔の建設は十字軍とも関係があったという証拠を発見している。
例えば、フランス南部、ドルドーニュ県のサルラ=ラ=カネダの塔は、クレルヴォーのベルナールが1147年に町を訪れた後、おそらくはテンプル騎士団によって建てられたと言われているのだ。聖ベルナールは、教皇の依頼により第2回十字軍の勧誘において活躍した人物である。
サルラ=ラ=カネダの「死者のランタン」
imege credit: Jebulon / Wikimedia Commons (public domain)
全ての謎が解明されたわけではない?
また、田園地方に散らばった「死者のランタン」の多くには、それぞれ小さな謎が残されている。
例えば、南フランスのヴェルジェーズの塔は、クリミア半島にあるクリミア・タタール人の宮殿、「ハンサライ(ハンの宮殿)」に似ている。その名も "Saracen chimney"、「サラセン人(十字軍時代のムスリム・アラブ人)の煙突」というのだ。
しかし、この両者は陸路で3千km、直線距離でも2,300km以上は隔たっているのである。はるばる意匠をもたらした何者かがいるのか、それとも単なる偶然だろうか?
ハンサライ(ハンの宮殿)
imege credit: By Chapultepec / Wikimedia Commons (public domain)
via: Amusing Planet / Wikipedia など / translated by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
明かりがともってる様子が見てみたいなあ
2.
3.