英国人が好きな高級車「マセラティ」に物申す-最新セダンに改善余地
英国人は高級車ブランド「マセラティ」が好きだ。少なくとも、私がロサンゼルスで夕食を共にした2人の英国人はそうだった。
2人は私が試乗していた最新モデルのマセラティを見たいがために、食事後に私が駐車場から車を出す間も外に出て歩道で待っており、ただ座席に座るだけでも興奮していたぐらいだ。
2人の熱意は1914年に誕生したマセラティの伝説と伝統を物語っている。1960年代のクーペ「ギブリ」や「3500 GT」のようなヒットモデルは、生涯にわたる愛好者を生み出してきた。現在の大型セダン「クアトロポルテ」も、こうしたブランドを象徴する車に匹敵するレベルであってほしいと私は思っている。
だが、残念ながら、少なくとも当面は苦労して稼いだ金を使うのにもっとふさわしい車は他に幾つかある(「BMW7シリーズ」や「ポルシェ・パナメーラ」など)。最新の「クアトロポルテ」は、外観のスタイルや娯楽情報システムの刷新およびエンジン性能の強化など、昨年より大幅に改善されているものの、完璧からは程遠い。
マセラティがクアトロポルテを改善するために変えなければならない点を以下に指摘したい。
トランスミッションを修正する
私がロサンゼルスなどカリフォルニア州中部で試乗した11万600ドル(約1250万円)の「クアトロポルテS Q4」は、出力404馬力のフェラーリ製V型6気筒ツインターボエンジンを搭載している。最高速度は時速176マイル(約283キロ)、ゼロから時速60マイルまでの加速時間は4.8秒だ。だが、アクセルを何度踏んでもZF8速オートマチックトランスミッションや電子制御ショックアブソーバーの反応は遅れがちで、速度は実際にはもっと遅い可能性もある。
もっと快適さを追求する
黒の大型セダンにオプションを含め12万ドル以上を支払った場合、ヘッドアップ表示装置や大型サンルーフなどが付属されているべきだと私は考える。だが、私が運転したクアトロポルテにはどちらも付いていなかった。確かに8.4インチの高解像度のタッチスクリーンを含む新しい娯楽情報システムが搭載されているが、これらはすでに時代遅れになっているように感じられる。
燃費を改善する
マセラティの公式発表では、「クアトロポルテS Q4」の市街地と高速道路を合わせた燃費は1ガロン当たり18マイル。だが、4日間乗り回した私の記録によれば、1日平均で1ガロン当たり14マイルだった。あらゆるブランドが米連邦政府の燃費規制を順守するため、より小型のターボチャージエンジンやハイブリッド車(HV)にシフトしている時代に、この数字は全く十分とは言えない。
こうした数字の乖離(かいり)はより幅広い問題があることを示唆しており、マセラティはこれをすでに把握し、解決に取り組んでいると私は信じている(結局のところ、こうしたことには時間がかかる)。技術やエンジニアリング、デザインに対してマセラティは本気で取り組む必要がある。
原題:Eight Things Maserati Has to Do to Make the Quattroporte Better(抜粋)