金正男氏殺害の初公判 容疑者2人は無罪主張

金正男氏殺害の初公判で、ベトナム人のドアン・ティ・フォン被告とインドネシア人のシティ・アイシャ被告は無罪を主張した Image copyright Reuters
Image caption 金正男氏殺害の初公判で、ベトナム人のドアン・ティ・フォン被告とインドネシア人のシティ・アイシャ被告は無罪を主張した。写真は今年2月にマレーシア王立警察がロイター通信に配布(2日)

北朝鮮の最高指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が今年2月に殺害された事件で、実行犯として殺人罪で起訴された女性人2人の初公判が2日、マレーシアの首都クアラルンプール郊外の裁判所で始まった。両被告は共に、無罪を主張した。

正男氏は2月13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で搭乗を待つ間に、猛毒の神経剤「VX」で殺害された。国連が大量破壊兵器に分類するほどの猛毒を衆人環視の中で使った白昼堂々の犯行は、世界に衝撃を走らせた。正男氏は空港係員に異変を訴え、空港内の診療所に運ばれたが、数分後に死亡した。

ベトナム人のドアン・ティ・フォン(29)とインドネシア人のシティ・アイシャ(25)の両被告が、VXの入った液体を正男氏の顔にこすりつけたとされている。

一方の2人は、北朝鮮の工作員にだまされ、テレビ番組のためのいたずらだと思っていたと主張した。

北朝鮮政府は一切の関与を否定しているが、マレーシアの捜査当局は、北朝鮮国籍の男4人が同じ日にマレーシアを出国したと指摘。この4人が北朝鮮の工作員で、殺害に関与したとみている。

北朝鮮とマレーシアは事件以前は友好関係を築いていたが、この事件を機に互いの大使を国外退去させるなど、関係に亀裂が走った。

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空港の防犯カメラ映像では、白い服の女性が男性に手を伸ばすのが見える

初公判の様子

8カ月前の事件について、殺人罪で起訴されたのは女性2人のみ。AFP通信によると、うなだれた両被告は手錠をはめられ、防弾チョッキを着けた状態で、クアラルンプール郊外シャーアラムの法廷前に集まった記者団の前を歩いて通り過ぎた。

インドネシア語とベトナム語の起訴状朗読の後、2人は通訳を通じて罪状認否で無罪を主張した。

有罪となれば2人は死刑判決を受ける可能性がある。弁護団は、2人はだまされたに過ぎず、真犯人は出国した北朝鮮工作員たちだと主張するものとみられる。

しかし、検察官は冒頭陳述で、逃亡した北朝鮮の男性4人だけでなく、この女性たちにも殺意があったと立証する方針を明らかにした。

正男氏は殺害時、満45歳。マレーシアで事実上の亡命生活を送り、中国政府と何らかのつながりがあるとみられていた。

異母弟の正恩氏に後継者争いで敗れたものの、依然として正恩氏の最高指導者の地位を脅かす存在だったため暗殺されたという説もあるが、多くの専門家はこれを否定している。

(英語記事 Kim Jong-nam murder: Women plead not guilty in Malaysia trial

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