「働き方改革」をブームと思う会社は衰退する

もはや「護送船団」で要求されるレベルに

強制力のある施策を実施している会社は、それなりの効果が出ています(撮影:梅谷秀司)

働き方改革に向けた取り組みを行っていますか? そう尋ねたとき、60%の会社は「はい」と回答しています。ただし、取り組んでいないと回答した会社の大半は中小企業。つまり、大企業では相当に高い比率で働き方改革の取り組みがされていることがわかります。

「働き方改革」という言葉が注目されるようになって1年以上が経過しました。メディアなどで企業の取り組み事例を見ることが増えたと感じる方も多いでしょう。筆者もHR業界のイベントでファシリテーターをするなど、先進事例に接する機会が増えています。

働き方改革が目指すゴール

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働き方改革が目指すゴールは? 一言で言うと、生産性の向上です。短い時間で高い成果を出すために残業など長すぎる勤務時間を削減しつつ、処遇改善やビジネスモデルの再構築を進めていき、ゴール=生産性の向上を実現することを目指しています。

当然ながら「生産性向上」はそう簡単にいく話ではなく、実現までにはそれなりのステップが必要となります。働き方改革でゴールまで至り、多大な成果を出している会社はまだほとんどないといっていいでしょう。あくまでゴールへ向かう第一歩として「勤務時間の削減」で成果が出つつあるというのが実情です。

それでも第一歩を踏み出す会社が増えていることは、望ましいことです。これまでの長時間労働で働く意欲をそがれていた人、あるいは環境的に残業ができない人にとって、働く意欲が高まるきっかけとなるからです。

ちなみに第一歩の取り組みがうまくいっている会社はトップが強い意志をもっていることに加えて、もう一つ特徴があります。それは《強制力のある施策》を行い、大きく勤務時間を削りにいっているということ。

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  • NO NAME4a0cb5222f2b
    本来管理職とはスペシャリスト(専門職)であって、総合職に居た人が年功序列で専門知識もないのに管理職にされてきた。

    まずは「管理職」からリセットせにゃぁならんでしょうね。
    up19
    down1
    2017/10/2 10:28
  • NO NAME97b5748fc8e3
    長期レンジで成果を出す人より、1日・1時間当たりの目先の仕事が早い人が評価されることが懸念されます。
    業務の効率化を、個々人の目先の処理速度向上だけに求めないような施策が必要と感じます。
    up9
    down0
    2017/10/2 12:08
  • NO NAME516643e33ed9
    >「働き方改革」の目的は何でしょう?企業は従業員をコストとしか考えていないのか?働いている側から見ると残業カットはコストカットそのもの

    というコメントがありますが、一時的にはおっしゃる通りですよ。ただ、経営側から考えてみて欲しい。企業が稼いだお金から従業員の給与に割り振れる限度は決まっている(例えば利益の5%)。そこには残業代が見込まれて、それに応じて基本給が設定され、予算が組まれる。その残業代は欧米企業だと限りなく0に近い形で予算に組み込まれるため、基本給が高い。
    残業代の基本給への転換に時間はかかるとは思いますが、残業カット+成果の維持、つまり生産性の向上は、長期的に見たら従業員の待遇向上に繋がると思いますよ。年金問題でも何でもそうですが、痛みを伴う改革が必要な時期に差し掛かっていると個人的には考えます。
    up9
    down1
    2017/10/2 12:24
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