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景況感10年ぶり高水準…大企業製造業

大企業の業況判断DIの推移

 日銀が2日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業でプラス22(前回6月調査はプラス17)となり、4四半期連続で改善した。2007年9月(プラス23)以来の高水準だった。好調な世界経済や雇用の改善を背景に、国内景気の拡大が続いていることを裏付けた。人手不足感を示す指数はバブル期直後の1992年2月以来の水準だった。【宮川裕章】

     DIは、景気が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。前提となる17年度の想定為替レートは1ドル=109円29銭と、6月調査から98銭円安方向に修正された。

     大企業・製造業のDIはスマートフォンや自動車関連の部品の需要が拡大したことなどを反映し、16業種中、10業種で改善した。半導体電子部品の需要が増加している「電気機械」は11ポイント改善のプラス27。「自動車」は新車投入で自動車市場が回復する一方、原材料費の上昇などから2ポイントプラスの18だった。半導体製造装置や建設機械の需要が強い「生産用機械」は13ポイント改善のプラス36だった。

     大企業・非製造業の景況感は6月調査と同じプラス23だった。12業種中4業種で改善した。好調な都市再開発、20年東京五輪・パラリンピック関連の需要が見込まれる「建設」は前回と同じ48。企業の情報化の進展などから、「情報サービス」も3ポイント改善し27だった。一方、競争の激化や天候不順などから「小売り」は2ポイント悪化のプラス8。携帯電話の販売競争が激化している「通信」は6ポイント悪化しプラス19だった。

     中小企業・製造業のDIは、大企業の業績改善の波及などで3ポイント上昇のプラス10。非製造業も1ポイント上昇しプラス8だった。改善はともに5四半期連続となる。

     3カ月後の先行きDIは、大企業・製造業で3ポイントの悪化、大企業・非製造業で4ポイントの悪化を見込む。

     雇用人員判断では「過剰」から「不足」を差し引いたDIが、全企業・全産業で前回6月より3ポイント下落のマイナス28となり、バブル期直後の92年2月(マイナス31)以来の水準を記録。人手不足感が強まっていることを示した。

    解説 「出口」戦略 考える時

     9月の日銀短観で大企業・製造業の業況判断指数(DI)が10年ぶりの水準まで改善したことは、日本経済が2008年のリーマン・ショック後の停滞から完全に脱したことを意味する。日銀は物価上昇率が目標に達しないことを理由に大規模金融緩和を続けているが、景気過熱を避けるためにも危機モードからの「出口」を真剣に考えるべき時に来ている。

     大企業・製造業のDIは前回6月調査比5ポイント改善となり、小幅改善を見込んでいた市場にとっては前向きのサプライズとなった。スマートフォンやデータセンター向けの電子部品や製造装置が絶好調で、あらゆる機器がインターネットでつながるIoT(モノのインターネット化)の世界的追い風を、技術力の高い日本の電機産業が受ける構造が鮮明になっている。

     一方で、今年に入って改善が続いていた大企業・非製造業は、運輸や小売り、宿泊・飲食といった業種の苦戦が響いて横ばいとなった。夏場の天候不順が響いたとはいえ、人手不足による人件費上昇が重荷になっているのは明らかで、世界経済の回復による恩恵を、内需の好循環に十分生かし切れない構図がのぞく。

     収益見通しの前提となる想定為替レートは1ドル=109円台と足元の水準に近く、海外金融市場が不安定化して円高が進めば、輸出企業の収益が急悪化するリスクも残る。好景気の中でも、人手不足に対応した労働市場改革や、円高に負けない企業の構造改革が引き続き求められている。【坂井隆之】

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