A-note

移転しました→ http://dekubar.blogspot.com/

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

北米でリリースされたスクウェア系サントラの話

2007年08月02日 15時45分19秒 | Game Music
先日、CoverDownloaderMABを使って手持ちのCDのカバーアートを検索していたら
Amazon.comでちょっと珍しいCDを見つけました。



それぞれ、クロノクロスとデュープリズム(海外版タイトルThreads of Fate)のプロモーション用CD。
収録内容は本家サントラから数曲セレクトしただけなので、音源的な価値は無いものの
日本では手に入らない非売品CDですし、デュープリズムはタイトルロゴからして
日本版とは別モノなので、そういう意味では貴重なCDです。
(元は非売品とはいえ、普通にAmazonのUsed枠で売られているのプレミアは付いてなさそう)

スクウェアは一時期、北米版タイトルのプロモーション用として
サントラを配布したり特典としてサントラを付属することをしていたらしく
聖剣伝説 LOM、PS版フロントミッション1st、PS版FF5&FF6にもプロモ用CDが制作されています。





※ココからが本題
上のカバーアートを探すついでに、北米のみで発売された
スクウェア系サントラのレビュー記事とかをチェックして回ってたんですが、そうして見ていくと
結構な数のサントラが北米独自のデザインやパッケージで発売されているようです。
以下にスクウェアが北米でリリースしたサントラ情報をまとめたので
ここから先は日本盤と北米盤の違いを検証していくとしましょう。





・Secret of Mana (聖剣伝説2:1993)
・Final Fantasy III Kefka's Domain (FF6:1994)
(多分)初めて日本以外で発売されたスクウェア系サントラ。
収録曲は国内版の聖剣2・FF6サントラと全く同じですが
当時は(今も?)ゲームのサウンドトラックを買うというのが海外では一般的では無かった為、
流通枚数に極端に少なく、今となっては非常に入手が困難なCDになっているそうです。



Final Fantasy VIII Music Collection
SFC時代からだいぶ経って、2000年に発売されたFF8のサウンドトラック。
こちらも収録曲は日本版と同じで、Liberi Fatali(元はラテン語)やEyes on Meの英語詞や
植松氏インタビューの英訳も収録されているとのこと。
ちなみにこのCDは当時のスクウェアとEAとの合弁会社 Square Electronic Arts から発売されたので
「EASQUARE-0001」というカタログNo.が付けられています。



上記3枚のサントラは米国スクウェアへ直接注文するという販売形式だったために
一般のCDショップへ並ばず、非常に限られたファンしか購入できないという問題がありました。
この問題を解消するため、当時のスクウェアがパートナーとして選んだのが
アニメショップや一般CDショップへの流通経路を持っていた
Tokyopopという、北米でアニメ・マンガの翻訳・刊行を行っている出版社です。

ここ数年、日本でも新聞・雑誌等の「世界へ広がる日本アニメ!」みたいなしゃらくせー特集で
取り上げられることの多くなったTokyopopですが
当時はまだ前身であるMixx Entertainmentの1レーベルだったようです。


Mixxが立ち上げたTokyopop Soundtraxは、
2000~2002年の間、日本で発売されたスクウェア関連CDを精力的にリリースしていたんですが
その際に、元々複数枚組みだったサントラを一枚組みにしたり、
その為に曲のカットや編集を行うなど収録内容の大幅な修正を行いました。

これらの修正は、一般のCDショップに流通させるため、
そして、ゲームサウンドトラックという北米では未開拓の商材を売るためには仕方の無い行為だったとはいえ
北米のゲームミュージックファンにとっては納得できないものだったようで、
各サイトのレビューもかなり辛辣な内容になっています。




・Chrono Trigger Official Soundtrack
PS版クロノトリガーOSTと同じ内容
・Final Fantasy IV Official Soundtrack
PS版FFIVの発売に合わせ、2001年になってようやく北米でリリースされたFFIVサントラ
FFIV OSTの全曲+『愛のテーマ』のアレンジバージョンを収録
・The Bouncer Original Video Game Soundtrack
元々2枚組みだったのを1枚のディスクに収めたため、10曲程度未収録曲があるものの
日本盤に入っていないボーナストラックもあり。どちらを重視するかで評価が分かれる
・Final Fantasy IX Uematsu's Best Selection
1枚組みで未収録&1ループ化が酷いCD
日本盤には無いボーナストラック『FU-RU-SA-TO Original Version』を収録
・Final Fantasy X Official Soundtrack
日本盤OST(4枚組み)を1枚に収束し、その1枚のCDに17曲しか入ってないというやる気のなさっぷり。選曲自体は良好。

Tokyopop系のサントラレビューには「未収録曲が多すぎ!」とか「日本盤に比べて音質悪いぞ」とか
「1ループとかマジ勘弁、せめて2ループ欲しい」というTokyopopの改悪に対する不満の声が数多く見受けられます。
とはいえ、クロノトリガーのCDは日本でも未収録曲の多さからあまり評判のよろしくないOSTだし(買うならOSVというのが定説)
FFIVが全曲1ループなのも元からなので、その辺を指摘するのは気の毒な気もします。

あとまあ、未収録曲とかループ処理にうるさいレビューを見ていると
「あぁ、ゲーム音楽ヲタがこだわる所は万国共通なんだなぁ・・・」と思ったり(笑)




・Final Fantasy N Generation Official Best Collection
・Final Fantasy S Generation Official Best Collection
Tokyopopがリリースした中でも比較的評価が高いのがこの2枚。
NSはそれぞれNintendo/Sonyを表しており、任天堂ハード時代のFF1~6、PS時代のFF7~9の中から
オリジナル・アレンジ問わず選曲したベストセレクション的なアルバムとしてリリースされました。
N Generationは日本で『Final Fantasy 1987-1994』として発売されたCDのパッケージを変えただけですが
S GenerationはTokyopopが独自に編纂したCDで、両アルバムとも
「選曲が良く、FFサントラの入門編として友人に聴かせるのにも最適」とレビューでも好印象だったようです。



CD売り上げが芳しくなかったのか(上記レビューを見る限り、幅広く受け入れられたとは考え難いですが)
それともENIXとの合併のおかげで、外部の出版社と提携する必要性が薄れた為か
Tokyopopからのスクウェア系サントラのリリースは2002年を最後に途絶えます。

ただ上辺だけを掬って読んでいるだけなので
Tokyopopとスクウェアの提携がどの程度の成果を上げたのかは判断できませんが、
「サントラCDの流通を改善する」という当初の目的は、
ゲームサントラ専門の通販サイトやeBayの登場で、
2002年ごろには殆ど解決されていたというのは確かなようです。

海外の主なゲームサントラ専門通販としてはCocoeBiz,GameMusic.com
欧州ではドイツのSynsoniq Records(Chris Huelsbeck氏の個人レーベル)があり
アジア系のPlay Asiaや、昨年ソニーに潰されたLik-sang(力生)もゲームサントラを取り扱っていました。
これらのサイトではドル建てで(Synsoniq Recordsはユーロ建てで)購入できるため欧米のファンにとっては敷居も低く
製造枚数の少ないTokyopopのCDより、なんだかんだで数多く製造されている
日本盤のサントラの方がこれらのサイトで容易に確保できるというのが、海外ゲームサントラ流通の実態らしいです。


今現在のTokyopopサイトにはSoundtraxのサの字も無いですが
最近でも、Play! A Video Game SymphonyやVideo Games Liveといったゲームコンサートの
協賛企業として、間接的にゲーム音楽との関わりは続いているようです。

崎元仁氏や下村陽子氏がゲストだった昨年のPlay!デトロイトコンサートでは
キングダムハーツの下村氏がゲストだということもあって
Tokyopopが北米で出版している、天野シロ作「Kingdom Hearts」の英訳コミックを
コンサート来場者に無料配布するというプロモーションを行ったりもしていました。




・Selections from Final Fantasy XII Original Soundtrack
Tokyopop撤退からしばらく空白期間があったスクウェア系サウンドトラックで
今のところ最新のタイトルが、トーフレコーズから昨年10月に発売されたこのFFXIIサントラ。

これもアルバムタイトルの通り、OSTからセレクトした曲を1枚のCDに収録したアルバムで
濃いファンが多いゲーム音楽系コミュニティでは殆ど話題にも上りませんでした。


※番外編:一応スクウェア関連ってことで



・Secret of Evermore Soundtrack
日本でもつい最近Xbox360版が発売された
『The Elder Scrolls IV: OBLIVION』のコンポーザー、Jeremy Soule氏のプロ作曲家デビュー作。
Secret of Evermoreはスクウェア米国スタジオが開発したSNESタイトルで、ゲーム本編もサントラも日本未発売。

・SQUARE DANCE Unlimited
Amazon.comを"Yasunori Mitsuda"で検索してたら引っかかった
KFSS Studiosのスクウェア系アレンジCD。
米Amazonでは同人CDも取り扱うのか!?とちょっとビックリしたんですが
KFSS StudiosのCDは適切に権利処理された「完全に合法的なファンアレンジCD」らしいので問題無いのかも知れません。




※最後に
紹介したカバーアートや各CDのレビュー、収録曲などの情報は
Square Enix Music OnlineChudah's CornerRPG Fan
それぞれのレビューページと、Chris Kohlerさんの著書
Power+Up ~米国オタクゲーマーの記したニッポンTVゲーム興隆の軌跡~を参考にしました。
特に北米盤サントラを取り巻く状況や、Tokyopopとスクウェアの提携のくだりは
『Power+Up』に詳しく書いてあるので、興味がある方は是非読んでみる事をオススメします。
Secret of EvermoreやKFSS Studiosについても本書で軽く触れられています。

// 日本版Wired(Wired Vision)が復活して、またChris Kohlerさんのコラムが日本語で読めるようになったので
// この機会に『Power+Up』をガッツリ紹介したいと思ってるんですが、これがなかなか・・・
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
« GametrailersでメトロイドとF... | トップ | EVOはここから始まった »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Game Music」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。

Original text