image credit:Hopkins, et al.
地球上に生命が誕生して以来、5回の大量絶滅があった。
最初に起きたオルドビス紀末、その次のデボン紀後期にほぼ絶滅しかけていたが何とか乗り切ったものの、古生代後期のペルム紀末にとどめを刺されるかたちで絶滅してしまった三葉虫だが、その存在は多数の化石に残されている。
だがこれまで発掘された化石には腹部がわかるようなものがなかった。ところが新しく発見された化石によって、三葉虫のお腹は想像以上に複雑であることが判明したそうだ。
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三葉虫はおよそ3億年前の海にうじゃうじゃ存在していたが、2億5,200万年前のペルム紀末に絶滅した。
その化石は多数発見されていたものの、内臓まで観察できるような化石は希少である。『PLOS ONE』に掲載された論文によれば、今回、中国で発見された標本には鉄で赤みを帯びた腸が保存されていたという。
カンブリア紀の海にはいたるところに三葉虫がいた。写真はPalaeolenus lantenoisiの化石で、矢印は素嚢を示す。
image credit:Hopkins, et al.
化石からは、初期の三葉虫には、これまで後の時代になって進化したと考えられてきた素嚢(食べたものを消化前に一時的に貯蔵しておく器官)があったことが判明した。
三葉虫の仲間の中には、比較的単純な消化腺に沿うように素嚢を1つ持つものがおり、三葉虫系統の消化器が複雑に発達してきたことが窺える。
image credit:youtube
三葉虫は複雑な腸を持っていた
これまで専門家は三葉虫には2種類いると考えてきた。素嚢を持つ種と持たない種だ。後者は口から肛門にかけて長い管を有しており、それに沿って消化を助ける液を分泌する消化腺が並んでいる。対照的に、前者は食べたものを分解する胃のような袋があるが、それを補う消化腺はない。
ところが2012年に調査された標本は両方を持っているらしいことが判明した。しかし、その標本は子供だったため、大人になってもそのような消化器系を有しているのかどうかはっきりしたことは分からなかった。むしろ、素嚢を持つ種は管を持つ種よりも新しい化石から多く見つかっていることから、それは後の時代になって進化したものと推測されていた。
最新の研究はその推測が正しくない可能性を示唆している。アメリカ自然史博物館、中国の西北大学、成都地質鉱産研究所の研究者によって、中国南部の関山動物群と呼ばれる岩石層からRedilchia mansuyiとPalaeolenus lantenoisiの化石が発掘され、後者は素嚢と消化腺を持つことが確認されたのである。
中国南部で発見された化石には鉄で赤みを帯びた腸が保存されていた。5億1,400万年前の化石で、この一帯の三葉虫はその進化の初期段階から洗練された消化器系を有していたことを明らかにしている。
image credit:Hopkins, et al.
三葉虫の食事
こうした素嚢を持つ三葉虫は5億1,400万年前に生息していた。その時期はカンブリア紀初期にあたり、三葉虫の進化がまだ初期段階にあった頃だ。
「複数の標本に基づく非常に確かな研究です。三葉虫の生物学と進化について学説を変えねばならないことを示しています」と研究リーダーのメラニー・ホプキンズ(Melanie Hopkins)氏。
三葉虫はおそらく海底を吸い込み、堆積物と有機物をすくい取っては、有機物のみを消化し、堆積物は排泄していたようだ。というのも、その腸にアルミニウム、ケイ素、マグネシウムといった砂や土壌の成分が高い濃度で含まれていたからだ。中にはそのいくつもある足で海中のワームと戦う、狡猾なハンターもいたかもしれない。
via:Rare Fossils of Ancient Trilobites
via:sciencedaily / journals./ translated by hiroching / edited by parumo
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