カムチャッカ半島「なぜ噴火多い?」日本への影響はあるのか
北海道のはるか北東に位置するカムチャッカ半島には、数百年ぶりに大噴火したカンバルニー山をはじめとする290近い火山が存在する火と氷のエリアだ。
日本の国土より広い47万㎢の面積を誇るカムチャッカ半島は、ご存知のようにロシア極東の領土の一部だが、日本とも浅からぬ歴史的関係がある場所。
歴史の表舞台にカムチャッカの名が現れるようになるのは、17世紀以降で、江戸時代に松前藩はカムチャッカ(勘察加)半島を藩の領土として幕府に報告している。当時のロシアは中国・清と領土争いを繰り返していた時代で、大陸南下を断念して、東に進んだ先にアイヌ民族が住むカムチャッカ半島があった。
米露の冷戦時代には、米国と最も近いソ連領として軍事地帯に指定されたため、外国人の立ち入りは1990年まで禁じられていたが、カムチャッカ半島の自然保護区や自然公園がユネスコの世界遺産に登録された1996年以降、少しずつ実態が明らかになってきた。
ロシア科学アカデミー火山地震研究所(IVS FEB RAS)によると、カムチャッカ半島には289の火山が存在し、そのうち地上には170、海底には112の火山が分布する。なかでも活動が活発な72火山は、環太平洋火山帯の15%近くを占め、地球上の火山噴出物の二割近くがカムチャッカ由来だという。
それだけ多くの火山は、噴火様式や地形、地質もさまざまで、「火山の博物館」の異名を持つほどだが、研究が進められているのは、活発な72火山の一部に過ぎず、ほとんどは実態解明が進んでいない。歴史的な噴火があったカンバルニー山についても、記録が少なく、放射性炭素測定法で670年前の1350年ごろが最後の噴火だと推定されているが、正確な情報は不明だ。
南北に伸びるカムチャッカ半島の中でも、活火山はほとんど東海岸沿いに集中している。最も活動的なのが、今月9日に同時噴火した半島一高いクリュチェフスカヤ山(標高4750m)とベズイミアニ山。クリュチェフスカヤ山周辺は、複数の火山が連山をなしていて、周辺はユネスコの世界遺産に登録されているクリュチェフスコイ自然公園だ。
半島の南端には、今回噴火したカンバルニー山がそびえ立つが、海峡を越えると、千島列島に沿うように20以上の海底火山が連なっている。この海域は、太平洋プレートが北米プレートに沈み込む千島海溝にも近いため、プレートの沈み込み帯で起きる地震と火山活動には関連性があるとみられている。
プレートの沈み込みによって浸み出した水は、地下のマントルを溶かしてマグマを生み出し、上昇したマグマが地表に達すると火山弧と呼ばれる火山の連なりを形成する。このところ、多くの火山が活発化しているニュースが連日当サイトを賑わせているが、日本国内だけでなく、海外にも目を向けて今後も新たな動きをお伝えしたい。
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