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【コラム】

筆洗

 夏目漱石の「永日小品」の中にこんな場面がある。亭主が古道具屋で一枚の西洋画を買ってくる。細君に見せると、「しばらく物も言わずに黄ばんだ女の顔を眺めていたが、やがて、気味の悪い顔です事ねえと云(い)った」。加えて、「この女は何をするかわからない人相だ」と口が悪い▼この絵、レオナルド・ダビンチの「モナリザ」の模写である。その名を聞けば、謎めいたほほ笑みをたたえる美女のイメージしかないが、先入観なく、この絵を初めて目にすれば、存外と、この明治期の女性と同じ感想を持つかもしれない▼「モナリザ」に関する新発見というべきか、それとも、新たな謎というべきか。パリ近郊の美術館が所蔵する木炭で描かれた、裸婦画「モナバンナ」(モナは「夫人」の意)。ダビンチの弟子による作品とこれまで考えられてきたが、調査の結果、ダビンチ自身が「モナリザ」の下絵として描いた可能性が出てきたそうだ▼事実とすれば、「裸のモナリザ」である。写真を見る限り、左腕に右腕を添えた独特の姿勢が「モナリザ」に確かに似ている▼ただ、お顔の方はほほ笑み方が少し違うか。顔に限れば、同じダビンチの作品でも「洗礼者ヨハネ」の方をなんとなく思い浮かべる人もいるだろう▼チームはさらに調査を続ける。成果を祈るが、衣を脱いだとて「モナリザ」の秘密は深まるばかりかもしれぬ。

 

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