年金には、自営業や学生の方が加入する第1号被保険者と会社員や公務員の方が加入する第2号被保険者があり、この第2号被保険者の配偶者にあたる主婦や主夫の方が第3号被保険者と呼ばれています。
年金保険料の納付は第1号被保険者の場合、納付書が送付され、第2号被保険者は給与天引きされます。
これに対して第3号被保険者の方はどのように年金保険料を支払うのか?また加入する種類が変わった場合に喪失手続きはどうすれば良いのか?など第3号被保険者の疑問を解説したいと思います。
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第3号被保険者とは?
第3号被保険者は先ほどお伝えしたように、第2号被保険者の配偶者で扶養されている主婦や主夫が加入する年金になります。
扶養されていることが条件になりますので、配偶者が会社員の場合は第2号被保険者となりますし、パートやアルバイトの場合でも年間の所得が130万円を超える場合は第1号被保険者となります。
- 年間の収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)
- 同居の方:収入が扶養者(被保険者)の半分未満
- 別居の方:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
第3号被保険者は年金保険料の支払いがない
第3号被保険者は第2被保険者の扶養家族のため、てっきり扶養者が年金保険料を支払っている。と思う方も多いと思いますが、実は第3号被保険者の方は年金保険料を支払う必要がないのです。
それでも、20歳から60歳までの40年間しっかりと年金保険料を扶養者の方が支払っていれば老齢基礎年金(国民年金)の満額を受給することが可能です。
国民年金の満額受給額は「平成29年度|国民年金(老齢基礎年金)の満額支給は年額77万9300円」をご参照ください。また年金の平均支給額を知りたい方は「2017年最新|年金支給額の平均は国民年金5.5万円・厚生年金14.7万円」にて解説しております。
第3号被保険者になった時の手続き方法と必要書類
結婚などによって第3号被保険者になった場合は、扶養者の会社に「被扶養者(異動)届」と「国民年金第3号被保険者該当(種別変更)届」を提出することになります。会社に提出すれば担当者の方が年金事務所まで提出をしてくれますので問題ないでしょう。
手続き自体は非常に簡単に済ませることが可能ですが、配偶者の方が扶養家族を抜ける場合も手続きが必要になります。この喪失手続きを行わないと後述しますが、記録不整合となり受給できる年金額の減少や年金が受け取れなくなることがありますので十分に注意が必要です。
第3号被保険者ではなくなった場合の喪失手続き
それでは、第3号被保険者の喪失手続きをお伝えします。
まず、扶養者が勤めている会社に健康保険被扶養者(異動)届と併せて、「被扶養配偶者非該当届」の提出を行います。その後、「第1号被保険者」の申請を市区町村役場に申請する流れとなります。
手続きは市区町村役場に年金手帳と本人確認書類を持参し必要書類を記入すれば完了です。
年金手帳の住所変更手続きは「結婚や離婚時に年金手帳の氏名・住所変更の手続きを解説」をご参照ください。
第3号被保険者ではなくなる場合
第3号被保険者ではなくなる時とは、どのような状態なのかを解説したいと思います。第3号被保険者の資格を喪失するケースは複数ありますが、今回は、第1号被保険者の手続きが必要になるケースをお伝えしたいと思います。
- 第2号被保険者が会社を退職し第1号被保険者となる場合
- 配偶者である第2号被保険者が亡くなった場合
- 配偶者が65歳になった場合
- 第3号被保険者の収入が130万円を超えた場合
- 配偶者である第2号被保険者と離婚した場合
上記の1〜5に該当する方は、市区町村役場にて第1号被保険者の手続きを行わないと記録不整合となりますので十分に注意が必要です。
所得が130万円を超えた時と離婚した時は会社に報告が必要
先ほどお伝えしている記録不整合問題が表面化し平成26年12月施行で法律の改正が行われました。
これによって上記の「4」と「5」に該当する、所得が一定額以上ある場合や離婚した場合は、第2号被保険者がお勤めの会社にも申告する必要がある。と改正されました。
上記の1〜3に関しては、日本年金機構にて事実確認ができますので申請は不要ですが、4と5に関してはその確認が出来ないため事業主を経由して国に報告する必要があるのです。
項目 | 前項の1から3のケース | 前項4・5のケース |
妻の状況 | 被扶養配偶者ではなくなった | 被扶養配偶者ではなくなった |
夫の状況 | 第2号被保険者の資格を喪失 | 第2号被保険者のまま |
第1号被保険者種別変更届 | 必要 | 必要 |
被扶養者配偶者非該当届 | 不要 | 必要 |
不整合記録問題の影響と対処方法
第3号被保険者が第1号被保険者となる場合に正しい手続きを行わないと、申告漏れとなり年金の減額や最悪な場合は受給ができないケースも出てくるでしょう。これを不整合記録問題と呼びます。
不整合記録が発覚した場合は、年金保険料の納付時効の2年分までは遡って支払いが可能ですが、2年を過ぎた分に関しては原則納付が出来なくなり年金支給額の減額となります。
このようなことを防ぐために法改正が行われ「特定期間該当届」を提出することで、「未納期間」を「受給資格期間」算入することが可能となりました。
特例追納で過去10年まで遡って納付が可能(平成30年3月末まで)
特定期間該当届を提出に加えて、現在は「特例追納」という制度が施行されております。
通常2年前までしか遡って納付が出来ない年金保険料を最大で10年前まで遡って納付することが可能になります。これは、平成27年4月から平成30年3月末までの時限措置となりますので納付漏れが無いように注意しましょう。
- 特例追納を行う時に既に60歳以上の場合
50歳から60歳までの期間を追納することが可能になります。
- 特例追納を行う時に60歳未満の場合
納付を行う時から最大で10年間遡ることが可能になります。
追納で2年以上前の納付を行う場合は加算金が発生しますので、平成29年に過去10年分を追納した場合の納付料を一覧で確認をしてみましょう。また、国民年金が未納の状態が続くと滞納者扱いとなり厳しい罰則もありますので注意しましょう。
詳しくは「年金(国民年金)未納は危険|延滞金・強制徴収などデメリットを解説」をご参照ください。
不整合記録問題のケーススタディ
基本的には上記のような申請漏れや追納を行わなくても良いようにしっかりと申請を行いたいものです。そこで上記のようなことが無いようによくあるケーススタディをお伝えしますので、ご自身が該当しているのか確認を行いましょう。
- 夫が第1号被保険者になったが、妻の手続きを行なっておらず第3号被保険者のままになっている
- 妻の収入が増え健康保険の扶養から外したが、第3号被保険者のままになっている
国民年金第3号被保険者のまとめ
国民年金第3号被保険者について解説を行いました。
加入手続き自体は必要書類を第2号被保険者がお勤めの会社に提出するのみですので簡単です。申請漏れはほぼ無いと言えるでしょう。
一方、第3号被保険者の喪失時は手続き漏れが頻繁に発生し記録不整合となってしまうケースがよくありますので、今一度過去の年金納付状況を振り返り納付漏れがないか確認を行いましょう。