昨日に引き続いて日本の政局についてのコラムです。
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前回書いたとおり、わたしが予想する衆院選後の日本の行く末は、
「極右二大政党制 → 極右大連立 → 極右的政策が次々に実現/改憲」
です。
具体的には、
- 憲法9条の改正
- 社会福祉の大幅削減
- 親族間の相互扶助の義務化
- 愛国教育の強化
- 労働者の権利の大幅な制限
- 「ニート」や無職の徴農
- 表現規制
などが次々に実現していくのではないかと考えています。
しかし日本人の国民性を考えると、国民の大多数は政府に反抗することなくそれを受け入れ、経済的に苦しくなるなか、ひたすら休みなく働いて高齢者を支えるだけの人生を送って一生を終えるのではないでしょうか。
日本の「リベラル」の皆さんは歯ぎしりしたくなるような末路だとは思いますが、わたしは今後の日本の極右化の一因として「リベラルの自滅」があると思います。
日本の左翼は、「憲法改正反対!」だとか「共謀罪反対!」だとか「秘密保護法反対!」だとかは一生懸命やるのですが、もっともっと大事で、多くのふつうの日本国民が求めていること、
「もっと景気を良くしてほしい」
「賃金を上げてほしい」
「日本を経済的にもっと豊かな国にしてほしい」
といった要望には、まったく応えてくれません。話すら聞いてくれません。
「日々カツカツの生活をしていて、けれども子どもに服を買ってあげなければならない、苦しい家計の中で学費のために貯金をしなければならない。うちは長時間労働の共働きで子どもの面倒もちゃんと見られない。これではもう限界だ。政府はもっと国民のことを考えてほしい」
という人たちに
「そんなことより日本国憲法を守りましょう!!戦争反対!!」
とか力説しても、そりゃ相手にしてもらえないんじゃないですかね。
みんな自分の生活で精一杯だし、時間的にも忙しいんですよ。「日本国憲法の第何条が…」とか、そんな暮らしになんの関係もないことをのんきに考えている暇がないんです。そんなことより景気を良くして給料を上げてほしいんです。
欧米にはあって日本にはない政治勢力に、「左翼ポピュリスト」があります。アメリカのバーニー・サンダースとかイギリスのジェレミー・コービンとか、スペインのポデモスもそうでしょう。
彼らの提唱する政策は、
「積極財政」
「社会的不平等の是正(再分配重視)」
「社会福祉の充実」
といった、社会民主主義の王道的な政策です。で、彼らはそれらの実現性はとりあえず置いておいて、気前のいいことをバーンと言っちゃうことでそれなりに大衆の人気を集めちゃうわけです。
日本にはこの「左翼ポピュリスト」勢力が存在しなかったのが非常に痛かったと思うんですよ。小池百合子みたいな極右ポピュリストに対抗できるのは、大盤振る舞いで気前がいいことを言っちゃう左翼ポピュリストだけだったんじゃないですかね。
もちろん実現性を無視した大衆迎合も考えものです。しかし確信犯的なポピュリズムと言わずとも、せめて「憲法や反戦の話だけでなくて、国民の生活のことをきちんと考えてくれるリベラル」が必要だったんじゃないでしょうか。そういった勢力がついに出てこなかったことが、今回の「リベラルの無残な自滅」に至った理由だと思います。