株の下落はツイッターから
ニコニコ動画を運営しているのはカドカワ <9468> だ。14年に出版大手のKADOKAWAとニコニコ動画を運営するドワンゴが経営統合して出来た会社である。ニコニコ動画は、YouTube、AbemaTVなどとともにネットの動画やコンテンツで人気がある。
株式市場には、PTS取引という東証以外で相対にて取引できる私設市場がある。PTSの夜間市場は17時から23時59分まで開いており、口座さえ持っていれば誰でも夜間に商いが出来る。もっとも、PTSは相対取引で出来高も少ないためあくまで本市場の参考価格であり、決算後などにオーバーシュートしてしまうこともよくある。
たつき氏がツイッターしたのが25日の20時。「たつきショック」はネットを駆け巡り、カドカワの収益への影響が出るとの懸念が拡がり、20時36分にはPTSでカドカワの株価は1300円をつけた。同日の東証での引け値が1371円だったので、71円(5.2%)安まで下げた。「たつきショック」がかなりのペースでリツイートされた影響が直撃したのだろう。
翌日26日にカドカワ株は売り気配ではじまった。前日のPTSでつけた1300円まではいかなかったが、一時1326円の45円(3.3%)安まで売られた。もっとも、午前中の1326円を底に当日引け値は1352円まで戻った。27日、28日もカドカワの株価は続伸して28日引け値は1373円まで戻してしまった。
けものフレンズのカドカワへの影響はまだ判らない。しかし、SNSでの情報がどのように拡散され、どのように株価へ影響を与えたか今回の流れでよく判るのではないだろうか。SNSの情報は瞬く間にネット上を駆け巡る。
今回のように、会社の開示などの正式情報でなく、関係者のSNSで株価が大きく振れることもよくある。特に、ネット社会は、アニメ、ゲームと言ったおたく文化には強い人が多いので、かなり先端でかなり精度の高い話も流れている。
ただ、眉唾のような話や、すでにポジションを取った人がポジショントークをして株価を煽るような話もない訳ではない。SNSを使って情報収集するという行為自体はもう後戻りは出来ない。玉石混交の情報の中で光る情報を見極める力をつけるようにしたい。
平田和生
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。
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