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緊急地震速報10年 浸透もさらに周知必要
導入当初、一般への周知が大きな課題となっていて、気象庁が発表開始直前の平成19年5月に全国の2000人を対象にインターネットで行った調査では、緊急地震速報の内容を「知っている」と答えた人は33%にとどまりました。
しかし、その7年後の平成26年1月に1万1000人を対象にインターネットで行った調査では、「知っている」と答えた人は70%とおよそ2倍になり、気象庁は、テレビやラジオ、それに携帯電話のメールを通じて多くの人が受け取るようになったことなどから、認知度が上がったとしています。
一方、一連の熊本地震のうち、去年4月14日に起きたマグニチュード6.5の地震で発表された緊急地震速報について、専門家が、熊本県と大分県、それに福岡県の150人に行ったアンケートで、速報を受け取ったあとどう思ったか聞いたところ、「強い地震が来ると思った」と答えた人が35%に達した一方、「本当に強い地震が来るのか信じられなかった」が33%、「何の知らせなのかわからなかった」が18%いて、とっさに行動できなかった人が多くいたこともわかりました。
調査を行った、日本大学の中森広道教授は、「緊急地震速報を知っている人は増えてきたが、地震に対する心構えができていなければ、どんなに早く速報が出てもうまく活用できない」と述べ、10年を節目にさらに周知や地震対策を進める必要があると指摘しています。
列車を安全に止める手段として活用
東京の品川と羽田空港や神奈川県の三浦半島を結ぶ「京急電鉄」では、一般への情報提供が始まる前年の平成18年8月から緊急地震速報のシステムを導入しました。列車の運行を管理する総合司令所が緊急地震速報を専用端末で受信すると、走行中の各列車に自動的に地震発生の情報が伝わります。
運転席には「地震発生。すみやかに安全な箇所に停止せよ」と自動音声で速報が伝えられ、その後、運転士が手動でブレーキをかけ、すみやかに列車を停止させます。さらに総合司令所の端末には、予測震度が大きい順に駅名が示されるうえ、駅に揺れが到達するまでの時間も表示されます。
システムの導入以降、これまでに震度5弱以上の揺れが予測されるという速報を13回受け取りましたが、いずれも混乱なく列車を停止させることができたほか、けが人もいなかったということです。
京急電鉄広報部の渡辺栄一さんは、「緊急地震速報は実際に揺れが到達するまでに時間の猶予があれば、安全に停止できる可能性が高くなるので有効だ。運転士に速報がさらにわかりやすく伝わるようシステムを改良していきたい」と話していました。
来年3月から「続報」発表
緊急地震速報は、地震発生直後に出る小さな揺れ「P波」を捉え、震源や地震の規模を推定して震度5弱以上の強い揺れが予測される地域に警報を発表し警戒を呼びかけます。
しかし、地震の規模が大きくなると、それだけ断層が割れるのに時間がかかるため、「P波」だけを使って短い時間に地震の規模などを正確に予測するのは難しいという課題が見えてきました。
6年前、東日本大震災の被害を引き起こした東北沖の巨大地震の際には、関東など震源から離れた地域でも震度5弱以上の揺れが観測されたにもかかわらず、緊急地震速報の警報は発表されませんでした。
こうした課題を受けて、気象庁は、来年3月下旬から緊急地震速報に新たな予測方法を導入します。
「P波」だけを使っていたこれまでの方法では、震度5弱以上の揺れを予測する警報の発表は基本的に一度だけでしたが、新たな方法では、その後に到達する「S波」などの大きな揺れの観測データも使い、観測点から最大30キロ離れた地域の揺れの大きさを予測して「続報」を発表します。
この新たな方法を使うとどう変わるのか、気象庁が4年前の平成25年2月2日に発生し、北海道で最大震度5強を観測したマグニチュード6.5の地震を例にシミュレーションしました。
この地震では、「P波」を地震計が検知してから7.3秒後に北海道の広い範囲に緊急地震速報の警報が発表されましたが、実際に震度5強や5弱の揺れを観測した根室地方の南部や中部などには警報は出ませんでした。
一方、新たな方法を使った場合は警報の発表からおよそ25秒後に根室地方の南部や中部などに「続報」が発表されることがわかりました。
ただ、病院や企業などに設置されている端末によっては、「続報」が受信できない場合もあることから、気象庁は、新しい方法の開始までにメーカーなどに確認してほしいとしています。
緊急地震速報10年 浸透もさらに周知必要
気象庁の緊急地震速報の発表が始まってから1日で10年になります。テレビや携帯電話のメールなどを通じて多くの人が受け取るようになり気象庁は認知度は上がったとしていますが、専門家の調査では、速報を受け取ってもとっさに行動できなかった人がいることもわかり、さらに周知が必要だと指摘しています。
緊急地震速報は、地震発生直後の小さな揺れをとらえ、あとから伝わる強い揺れが予想される地域を、気象庁が推定し速報するシステムで、この10年間に合わせて188回発表されています。
導入当初、一般への周知が大きな課題となっていて、気象庁が発表開始直前の平成19年5月に全国の2000人を対象にインターネットで行った調査では、緊急地震速報の内容を「知っている」と答えた人は33%にとどまりました。
しかし、その7年後の平成26年1月に1万1000人を対象にインターネットで行った調査では、「知っている」と答えた人は70%とおよそ2倍になり、気象庁は、テレビやラジオ、それに携帯電話のメールを通じて多くの人が受け取るようになったことなどから、認知度が上がったとしています。
一方、一連の熊本地震のうち、去年4月14日に起きたマグニチュード6.5の地震で発表された緊急地震速報について、専門家が、熊本県と大分県、それに福岡県の150人に行ったアンケートで、速報を受け取ったあとどう思ったか聞いたところ、「強い地震が来ると思った」と答えた人が35%に達した一方、「本当に強い地震が来るのか信じられなかった」が33%、「何の知らせなのかわからなかった」が18%いて、とっさに行動できなかった人が多くいたこともわかりました。
調査を行った、日本大学の中森広道教授は、「緊急地震速報を知っている人は増えてきたが、地震に対する心構えができていなければ、どんなに早く速報が出てもうまく活用できない」と述べ、10年を節目にさらに周知や地震対策を進める必要があると指摘しています。
列車を安全に止める手段として活用
東京の品川と羽田空港や神奈川県の三浦半島を結ぶ「京急電鉄」では、一般への情報提供が始まる前年の平成18年8月から緊急地震速報のシステムを導入しました。列車の運行を管理する総合司令所が緊急地震速報を専用端末で受信すると、走行中の各列車に自動的に地震発生の情報が伝わります。
運転席には「地震発生。すみやかに安全な箇所に停止せよ」と自動音声で速報が伝えられ、その後、運転士が手動でブレーキをかけ、すみやかに列車を停止させます。さらに総合司令所の端末には、予測震度が大きい順に駅名が示されるうえ、駅に揺れが到達するまでの時間も表示されます。
システムの導入以降、これまでに震度5弱以上の揺れが予測されるという速報を13回受け取りましたが、いずれも混乱なく列車を停止させることができたほか、けが人もいなかったということです。
京急電鉄広報部の渡辺栄一さんは、「緊急地震速報は実際に揺れが到達するまでに時間の猶予があれば、安全に停止できる可能性が高くなるので有効だ。運転士に速報がさらにわかりやすく伝わるようシステムを改良していきたい」と話していました。
来年3月から「続報」発表
緊急地震速報は、地震発生直後に出る小さな揺れ「P波」を捉え、震源や地震の規模を推定して震度5弱以上の強い揺れが予測される地域に警報を発表し警戒を呼びかけます。
しかし、地震の規模が大きくなると、それだけ断層が割れるのに時間がかかるため、「P波」だけを使って短い時間に地震の規模などを正確に予測するのは難しいという課題が見えてきました。
6年前、東日本大震災の被害を引き起こした東北沖の巨大地震の際には、関東など震源から離れた地域でも震度5弱以上の揺れが観測されたにもかかわらず、緊急地震速報の警報は発表されませんでした。
こうした課題を受けて、気象庁は、来年3月下旬から緊急地震速報に新たな予測方法を導入します。
「P波」だけを使っていたこれまでの方法では、震度5弱以上の揺れを予測する警報の発表は基本的に一度だけでしたが、新たな方法では、その後に到達する「S波」などの大きな揺れの観測データも使い、観測点から最大30キロ離れた地域の揺れの大きさを予測して「続報」を発表します。
この新たな方法を使うとどう変わるのか、気象庁が4年前の平成25年2月2日に発生し、北海道で最大震度5強を観測したマグニチュード6.5の地震を例にシミュレーションしました。
この地震では、「P波」を地震計が検知してから7.3秒後に北海道の広い範囲に緊急地震速報の警報が発表されましたが、実際に震度5強や5弱の揺れを観測した根室地方の南部や中部などには警報は出ませんでした。
一方、新たな方法を使った場合は警報の発表からおよそ25秒後に根室地方の南部や中部などに「続報」が発表されることがわかりました。
ただ、病院や企業などに設置されている端末によっては、「続報」が受信できない場合もあることから、気象庁は、新しい方法の開始までにメーカーなどに確認してほしいとしています。