Tokyo Centre › ニュースルーム › 起業活動は回復している-OECDデータより
2017年9月28日
起業活動は金融危機から回復しつつあるようで、ほとんどのOECD諸国で新規開業数が増加していることが、新しいデータから明らかになっています。
それと同時に、調査対象となったほとんどの国々で、倒産数は金融危機以前の水準まで下落しています。事業の失敗の水準が依然として2007年を上回っているアイスランド、イタリア、スペインでも、最新の2017年の四半期データでは改善していることがわかります。
最新の「図表で見る起業活動 (Entrepreneurship at a Glance)」で、OECDは、最新のデータ(2017年第1四半期)があるOECD加盟14カ国のうち、9カ国で開業数が上向きになっていることを明らかにしています(オーストラリア、ベルギー、フランス、ハンガリー、アイスランド、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、米国)。こうした肯定的な兆候は、法人企業だけを見ても明らかで、データが入手可能な12カ国中10カ国でも、開業数が増加傾向にあります(オーストラリア、ベルギー、フランス、イタリア、オランダ、ニュージーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、英国)。
本報告書によると、パートタイムの自営業者は近年急増していますが、それはフルタイムの雇用を補完または代替する柔軟な働き方が特徴の「非正規雇用者が多い経済(gig economy)」の台頭が一因となっています。しかし、非正規労働者が多いことと起業活動との関係は決して明白ではないとも述べています。多くの非正規労働者は、小規模な起業家かもしれませんが、従来の雇用者と似た契約形態で自身のサービスを提供しているようにも見えます。 | |
OECDのデータによると、多くの新企業は1年以内に失敗していますが、国ごとに大きな違いがあります。2013年に開業した新企業の1年生存率は、スウェーデン、米国、ルクセンブルク、リトアニア、英国では90%を上回っており、チェコ、ポーランドでは60~70%ですが、スロバキアでは55%を下回っています。
2014年の新企業(開業2年未満の企業)は、ほとんどの国で企業全体の約20%を占めており、英国、ハンガリー、ブラジル、イスラエル、ポーランドでは30%を超えています。それでも、新企業が企業の雇用に占める割合は、ほとんどのOECD諸国で10%未満です。
本報告書には、最新の「ビジネスの将来に関する調査(Future of Business Survey)」月次データの結果も収録しています。これは、OECD、世界銀行、Facebookが共同で行っているもので、それによると、国際貿易に従事する企業は自社の事業の現状と将来性により自信を持っており、雇用創出にも肯定的な見方をしています。
この調査の結果は、国際貿易という観点からの男女格差も指摘しています。輸出が個人消費者を狙っている分野で、男性が経営する企業の方が、女性経営者のそれよりも国際貿易に携わる例が多く、他の企業への輸出にも携わっています。
起業に関するOECDの研究について、詳しくは下記までお問い合わせください。
OECD Media Office (E-mail: news.contact@oecd.org)
関連ウェブサイト:www.oecd.org/industry
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