楽天・全米株式インデックス・ファンドの登場
楽天・全米株式インデックス・ファンドが楽天・バンガード・ファンドシリーズとしてリリースされます。これが非常に良い商品ですので紹介します。
まず、楽天・全米株式インデックス・ファンドはVTIを円貨で買えることを意味します。バンガードのVTIは信託報酬が最低水準の0.04%です。買付対象は米国市場ほとんどすべて、およそ4000株を対象にしています。つまり、米国経済を丸ごと買うようなものです。
楽天・全米株式インデックス・ファンドの信託報酬は0.157%です。
VTI相当の廉価な投資信託は今までなかったのですが、いよいよ登場ということになりました。北米一本に投資する投信は急速に充実、ここにきて大きく事情が変わり始めています。
北米一本、しかも安い投信となると運用会社・販売会社のメリット、つまり利益が薄いので今まで各社ともそのような商品開発に消極的でした。より付加価値の高い、つまり利幅の大きいバランスファンドなどの開発に血道をあげていたのが日本の投信だったのです。
正直、投資信託のメリットは手間がかからず積み立てができる、ということぐらいでした。それがここにきて低コストでリターンも望める良い商品が出始めています。弊ブログでは米国ETFの直接買い付けのほうがリターンが大きいと確信していました。
そのため、単体で投信を取り上げることはほとんどありませんでした。しかし、このような投信が今後もリリースされてくるならば、単体で取り上げていく必要があると思っています。
「つみたてNISA」からの金融改革はここにきて具体化しつつあると言ってよいでしょう。行政が動くと業界が変わる。これはどの業界においても日本においては非常に顕著ですね。
楽天・全米株式インデックス・ファンドのベンチマークと仕組み
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楽天・全米株式インデックス・ファンドのベンチマークはCRSP US トータル・マーケット・インデックスです。これに連動するバンガードの低コストETFであるVTIを買い付けていくことになります。
これは平たく言うと、弊ブログでもよく取り上げてきたVTIが投信、つまり円貨で買えることを意味します。
私たちが直接買うのはここでいうベビーファンドです。ベビーファンドは私たちのお金をマザーファンドに集約し、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)を買い付けます。そして、VTIはベンチマークに沿って米国個別株を買います。
このような仕組みをファミリーファンド方式と言います。ファミリーファンド方式は、マザーファンドで資金を大きく管理することによる効率化を狙ったものです。具体的にはスケールメリットや売買するときのコストの削減が得られます。
似たような方式に、ファンドオブファンズがあります。これは、複数のマザーファンドを買い付ける、まさにファンドの集合体のようなものです。自社だけではなく、他社のファンドも買うというところが大きな違いになります。
楽天・全米株式インデックス・ファンドは為替ヘッジが無い
楽天・全米株式インデックス・ファンドは為替ヘッジがありません。為替ヘッジとは為替変動によるリスクを低減するものです。
ちょっとややこしいですが、先渡し取引つまり、決められた時点・価格・数量で商品を取引することをある時点で決めておく契約を結んでおくということです。つまり、将来的な為替を予約してリスクをヘッジするということです。
これは円高においては効果がありますが、反面外貨高での利益も得られないことになります。つまり、円安時に得られるメリットも消すことになります。
また、手間の分、為替ヘッジを持たせた商品は付加価値が乗りますのでコスト高になります。ドル円との関係において、為替ヘッジはいらないでしょう。ざっくりと非常に乱暴な言い方をしますが、ドル円相場は長期的に緩やかな円安に向かうからです。
為替は長期的には国同士の経済的な信用の相互作用によって形成されますから、米国と日本の将来にわたる経済的な差異がどのように作用するかを考えればシンプルだと思います。
そういう意味では、ドル円との関係において為替ヘッジ商品ではないということは第一の条件になりますが、楽天・全米株式インデックス・ファンドはその条件を第一に満たしているということになります。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドも同時にリリースされる
楽天・全世界株式インデックス・ファンドも同時にリリースされます。こちらはVTと同じベンチマークです。つまり、円貨で買えるVTということになります。新興国も加味した、全世界への投資を志向するならばこちらということになります。
なお、VTは日本人には非常に人気がありますが、ETFランキングではさほどではありません。北米一本のVTIやS&P500連動ETF、あるいはNasdaq100連動のQQQのほうが人気があります。
いずれにせよ、バンガードの旗艦ETFであるVTI、それから全世界対象のVTが積み立てて自動で買えるわけです。
さて、つい熱が入って長くなりましたが、ここでご質問を紹介します。
楽天・全米株式インデックス・ファンドとVTIはどちらが良いのか
ご質問1
初めまして30代の会社員です。いつもブログを楽しく読ませて頂いております。
現在、国内株に200万円程投資していますが、たぱぞうさんのブログに影響されまして今後は米国株への投資を検討しております。
たぱぞうさんがおススメされている、VTIへの投資を検討しているのですが、楽天証券でVTIをひたすら購入していく投信信託「楽天・全米株式インデックス・ファンド」が2017年10月より販売されることを知りました。
VTIとどちらを買うべきか迷っています。
楽天・全米株式インデックス・ファンドについてたぱぞうさんのお考えをお聞かせ頂けないでしょうか。
【メリット】
①購入する際の手数料がゼロ
②円建てなので為替手数料もゼロ
→米国株投資をするならば、ドル建てで運用するべきでしょうか?
③少額(100円から)の購入が可能
【デメリット】
VTIに比べると信託報酬が高い(0.157%)
尚、私が投資に使える金額は毎月3~5万円程度しかありません。
宜しくお願い致します。
ご質問2
こんにちは。 いつも楽しく見ています。
9/29から楽天投信より楽天全米株式インデックスファンドというVTIに投資する投資信託が設定されるみたいですね。
これによって海外ETFへ簡単にアクセスできるようになりそうですが、たぱぞうさんはこのファンドをどう思いますか。ぜひたぱぞうさんの考えを聞いたいです。
楽天・全米株式インデックス・ファンドは最適解の1つ
お2人ともご質問ありがとうございます。やはりみなさん気になりますよね。
結論から言うと、どちらを買っても良いと思います。ただ、外国税額控除、自動積立などを考えると手間がかからないのは楽天・全米株式インデックス・ファンドでしょう。
また、楽天・全米株式インデックス・ファンドの場合はおっしゃるように信託報酬こそややVTIより高いです。しかし、分配金を出しませんので、そのまま国内分の税金を先送りする効果があります。
そうすると、この信託報酬の差というはほとんど気にならないレベルになると思われます。ifreeのS&P500連動投信と楽天・全米株式インデックス・ファンドというのは、弊ブログでも一押しと言えます。
米国株投資というのも今までとは違った景色になってきましたね。ご質問ありがとうございました。
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ベンチマークが違えば、こちらが好み、ということは言えます。ただ、楽天・全米株式インデックス・ファンドとVTIのように同じベンチマークでここまで信託報酬が下がればほとんど差異は無くなりますね。非常に良い時代になったと思います。
金融庁による改革がなければこのような流れは無かったでしょう。日本の投信は長らく投資に値するものはほとんどありませんでしたが、2017年は投信改革元年として記憶されそうです。
弊ブログ開設の動機の1つになったVTIが楽天・全米株式インデックス・ファンドのような形で広く世間に膾炙していくのは感慨深いものがあります。日本国内株の商品でこういう確信の持てるものがあると本当にうれしいのですが、厳しいでしょうね。経済事情もさることながら、株主・株式に対する考え方が違いすぎます。