正体はシャア・アズナブル。
アクシズに身を寄せていた。
シャアは連邦の軍位を取得して、機を見て反地球連邦軍エゥーゴのブレックス准将と合流した。
クワトロが主導して作ったと思われる「γガンダム」と言われる、「リックディアス」をエゥーゴの最新機としてデビューさせた。
リックディアスはガンダムMk-Ⅱに劣らない性能をもつ機体だ。
当時ハイザックを主力としたティターンズにしたら、遥かに凌ぐ機動性である。
それらはクワトロが主導して行われた。
勿論エゥーゴの母体はアナハイムエレクトニクスのメラニー会長バックに率いる、スペースノイドの集団なのだが。
クワトロは仲間に正体を怪しまれて、
「ジオンのシャアが何故、反地球連邦軍に手を貸すのです?」と言った。
父ジオンの意思を継いで政治家になるより、戦いの中に身を置きたがっていたのだ。
だからクワトロ名乗るシャアは自己矛盾を抱えた自身と葛藤し続けた。
ゼータの最終回では、辛うじて生き残った百式のコックピットでカミーユの錯乱状態を目の当たりにする。
カミーユはシャアが見出したニュータイプ候補生であり、希望の光でもあった。
いくら希望を見出しても地球の重力に魂を引かれた者達のエゴに押し潰され、結局はこんな悲しみだけ繰り返されてゆく…
「僕もその希望を見つけます」と言ったカミーユの言葉を思い出し、ニュータイプの限界と危うさ、無力さを味わったのではないだろうか。
とりわけゼータでのシャアの情けなさと言ったらない。
後半戦エゥーゴを統括していたものの、カミーユの力に頼ったところが多かった。
あの1年戦争で恐れられた、赤い彗星のオーラはすっかり消えてしまい、とかくモビルスーツ戦でのシャアには歯痒さが拭えなかった。
▪オールドタイプに負けそうになる。
▪一点物のメガ・バズーカ・ランチャーを使用する
もことごとく外す。
▪カミーユに殴られる。
▪ヤザンに地球へ落とされ死にかける。
▪ハマーンに頭を下げさせられる。
▪レコアを撃破出来ず、互角の戦いを強いられる。
▪ 百式はカッコがいいが、
エゥーゴはモデルチェンジせず、強力なライバル
の新型に追い詰められ、百式はボロボロ。
アムロに対して君は何故宇宙へ来ないのだ?
「籠の中の鳥は鑑賞される道具でしかない」
と吐き捨てたシャアこそ自由なれど、自らも飛ぶ方向を見失っている鳥だった。
しかし、ゼータでのシャアの肝は、ダカール演説だ。
演説内容の要点をまとめる。
①自分はかつて、シャア・アズナブルと呼ばれていた男だ。
②ジオン・ダイクンの子として自分はザビ家とは違った志を受け継いでいる。
③ティターンズは地球を食い潰そうとしている。
④人類同士が戦い、地球を汚染してはならない。
⑤人類は地球という揺りかごから巣立ち、宇宙で自立すべき時が来た。
一番重要なところが⑤である。
地球人は地球を汚しているから、宇宙へ旅立てと言っている。
地球に住む人から言わせれば、ある種の過激主義ではないか?
これは完全にエゥーゴの道化の枠を越えた、
シャアの為の正義の宣言である。
だから正義の人は怖い。
ゼータで一瞬重なりあったアムロとの、二つの正義は違いを深め次なる激突 〜逆襲のシャア〜 へと移ることになる。
シャアの考察はまた後日にて…。