男の俺がこのマンガ紹介していいのかすご~く悩むけど
「逆に男の俺が読んでも読みやすかったし、ためになったし、気持ちよく納得して読める内容だったからこそ、このマンガは紹介した方がいい」
と感じたから、紹介する。
たまたまKindleのセール情報を見てたら見つけてしまい、絵柄とタイトルが好きだったから購入。
概要
内容は「不妊治療→出産準備→出産→子どもの卒乳」までの一連の流れを1冊のエッセイマンガにおさめてある作品。
実用的な知識を書いたものと言うよりは、一連の流れと、その心情の変化にスポットライトに当てて描かれた作品。
それこそ、妊活のマンガなので、筆者及び夫婦の下ネタへの感覚がズレていくところから
作者が元々、恋愛や下ネタに強い方の人じゃない。
だから、言ったあとの罪悪感とか、逆に妊活にどっぷり浸かった後の変貌っぷりが「素直に」出ているため、はたから見てるとかわいらしく見える仕上がりに…。
不妊治療中の葛藤や開き直る様子。
色んなことを考えたり、気になったりして乗り越えていく様子が載っていて、その言葉には体験者ならではの芯の強さがこもっています。
そこから、紆余曲折を経て無事出産。
同一人物とは思えないほどの豹変ぶりですが…同一人物です。
で、子育ての話(特に授乳・卒乳の話が多め)にあって…、子ども生むと多くの人が通る、こんなこともやってる。
「これ、やってる本人どう思ってるんだろう?」
とずっと気になってたことを書いてくれているので、育児1つも作者が読者の気になることをきちっと掘り下げて描いてくれてとても気持ちよく読めた。
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怨念渦巻く女性と家庭の秘密を、明るく楽しく紹介してくれる作品
このマンガは読みやすいからサクサク読めたが、僕は女性特有の悩みや、それについて書いたものが苦手だ。
というのも、恋愛や育児や女性の生理的な悩みの話には、暗い人・攻撃的な人が多い。
特にインターネット上では炎上させたくてそういうことを意図的に書くようなメディア・ライターが多いから
・こういう男はダメ
・夫が協力的じゃない
・子ども産んだら人生変わる。
・生理や出産の辛さは男にはわからない
…こういう憎まれ口とセットで女性の悩みの話をされるから、聞く前に避けたくなる。
そういう本が多いジャンルだからこそ、知りたいこと、悩んだこと、そういう状況だからこそ・言える・やれるユニークなことをキチッと、淡々と描いているさまが僕には読みやすかった。
「どうあるべき」
みたいなことを押し付けてくる本ではなく、むしろ
「正解がわかんないし、むしろ疲れ果ててどうでもいいけど、自分はこんなふうに試行錯誤して生きてます」
という本だったから、素直に妊活や子育てをしている筆者を応援したくなる本だった。
知りたいことを的確に書いてくれている本だからこそ、読みやすい
保健体育の授業に興味がわかないのは、生物学的な理解ばかりを推し進めていて
「じゃあ、実際には何をしたらいいんですか?」
ということがさっぱり分からないから何です。
似たようなことが東日本大震災の原発報道にも言えて
「原子力発電所を輪切りにするとこうなってます」
とか言われても「博物館じゃねーんだぞ!」「その図を見て、福島原発から20キロ圏内の人がどうしたらいいのか言ってみろ!!」としか言えないわけです。
もちろん知識は知識で大事だけど、求めてるモノを説明してない人を見ると
「じゃあ、なんで前に出てきたんだ?」
というヤキモキした気持ちになるのです!!
一方で、要点を抑えて、自分達にできること、疑問に思っていて知りたかったことを抑えている作品や、お話、プレゼンテーションはとても魅力的。
そして、この本の魅力は「シンプルだけど、かゆいところに手が届く」ところにこそある。
「妊活をするとこんなことが起きます。」
「出産すると女性はこんなことを考え、夫のしてくれたこういうことが嬉しかったです。」
「子育てをすると、あれだけ準備してきたことがここはうまく行って、ここはあんまりうまく行かなくて、気持ちはこう変わりました。」
特に男性の場合、女性の苦労を変わってあげられるわけじゃないから
「わかってほしい」
と言われてもそれらしく調子を合わせることしかできない。
だからつい「どうしたいの?」「どうしてほしいの?」「何がどうなってそうなったの?」としか言えない部分があるため、こういう風に1から説明してくれる本は男が読む分には嬉しかったし、読みやすかった。
また、人間の血の通ったレポートだからこそ、参考にもなるし、応援もしたくなる。
マンガ的なかわいさ・面白さはもちろん、要点をきちっと抑えた上で読者にも旦那にも配慮や愛情のあるバランスの良い仕上がりの作品だから、素直に楽しく、学びながら読ませていただきました。