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日本を「リセット」するのに「保守」? “改革保守”小池百合子の言語矛盾 信用できない人」たちだらけの今週の珍言・暴言総ざらい - 大山 くまお

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小池百合子 東京都知事、希望の党代表
「日本をリセットするために希望の党を立ち上げる」
NHK NEWS WEB 9月27日

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。衆院の解散が発表された今週、主役として日本の政界をひっくり返したのは、解散をぶち上げた安倍晋三首相ではなく、小池百合子東京都知事だった。

 9月25日、小池氏は記者会見を行い、新党「希望の党」を立ち上げることを発表した。先行して小池氏に近い若狭勝氏と民進党を離党した細野豪志氏が新党設立を進めていたが、小池氏は会見で「リセットして私自身が立ち上げる。直接絡んでいきたい」と述べている(ハフィントンポスト日本版 9月25日)。堂々、党首として新党の舵取りを行うという宣言だ。

 27日午前にも記者会見を開いた小池氏は、冒頭で「しがらみのない政治、そして大胆な改革を築いていく新しいステージ。まさに日本をリセットするため、この希望の党を立ち上げます」とあらためて宣言(ハフィントンポスト日本版 9月27日)。ここでも「リセット」という言葉を用いてみせた。

 7月に「都民ファーストの会」の代表の座から降りたときは「知事に専念する」と断言しており(日本経済新聞 7月3日)、9月中旬にも「国政はやらないわよ」と語っていた(『週刊文春』10月5日号)。

まさしく前言撤回。22日の段階で、新党への関与について「(知事の仕事と)矛盾するものとは考えていない」と意欲を示していたが(時事ドットコムニュース 9月22日)、ここまで堂々と小池氏自らが中心になって国政に進出すると予測していた人は少なかっただろう。

 小池氏の代表就任に関しては、自分一人で決断を下したという。日本経済新聞のインタビューでは、「いわゆる(私の頭の中で決める)AI(人工知能)だ」と答えている(9月25日)。やっぱりAIなのか……。細野氏も、既に新党の届け出が出されたことを記者団に知らされ、「もう出したの?!」と逆質問する始末だった(『週刊文春』10月5日号)。いずれにせよ、新党が小池氏の独裁体制なのは間違いない。

 記者会見では「国政進出で知事が二足のわらじをはくことで、東京都の改革のスピードが落ちる」と懸念を示されたが、小池氏は「その懸念はまったく当たらない」と菅義偉官房長官ばりに一蹴(毎日新聞 9月25日)。自らが国政に関与することが「都政にとってもプラス」と言い切ってみせた(ハフィントンポスト日本版 9月25日)。いったいどんな根拠があるのだろう? 都知事としての実績も、まだほとんど無に等しいというのに。

 27日の記者会見でのスピーチでは「しがらみのない政治」と「改革する保守」を強調。会見で配布された「希望の党」の綱領にも「寛容な改革保守政党を目指す」と書かれていたが、「改革保守」が一体何のことかさっぱりわからない。そもそも、日本を「リセット」するのだから「保守」ではない。言葉そのものが矛盾だらけだ。政治ジャーナリストの黒瀬徹一氏は、「『改革保守』とか『しがらみ脱却』やら、抽象的なキャッチコピーではなく、具体的な政策議論がほしい」と疑問を呈している(ダイヤモンド・オンライン 9月29日)。


結党会見で「希望の党」党首として舵取りを行うことを高らかに宣言 ©時事通信社

 小池氏率いる「希望の党」は、憲法改正への積極姿勢や現実的な安全保障政策を打ち出しているが、それでは安倍首相の掲げる政策と差異が乏しい。そこで今回の選挙で訴えているのが「消費増税凍結」と「原発ゼロ」だ。

 安倍首相は2019年10月に消費税を10%に引き上げることを宣言している。一方、小池氏は「実感の伴う景気回復を確保するまで消費増税は立ち止まる」と言い切った(日本経済新聞 9月25日)。

また、安倍政権が原発を「重要なベースロード電源(季節や時間帯に関わらず安定的に発電する電源)」と位置づけているのに対して、小池氏は「30年の原発ゼロに向けて工程表を作る」と明言(毎日新聞 9月28日)。小池氏は会見後、原発ゼロを訴えている小泉純一郎元首相と面会するなど、「原発ゼロ」支持者である子育て世代の女性層を取り込むアピールに余念がない(ホウドウキョク 9月26日)。

 しかし、小池氏が「原発ゼロ」に言及するのは今回が初めてだ。小池氏は2012年の衆院選での毎日新聞によるアンケートで「2030年代の原発稼働ゼロを目指す政府の目標について、支持しますか、しませんか」に「支持しない」と明確に回答している。東京電力福島第1原発事故直後にも「稼働中の原発は安全性を総点検した上で運転を続けていいと思います」と語っていた(『アエラ臨時増刊』2011年5月15日号)。

 また、過去には「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうる」(『VOICE』2003年3月号)とまで語っている。2003年11月に毎日新聞が行ったアンケートでも日本の核武装について「国際情勢によっては検討すべき」と回答していた。「原発ゼロ」からは最も遠い人物と言っていい。小池氏は新党旗揚げに際し、自身のオフィシャルサイトに掲載されていた『Voice』誌の記事を削除している。

 なお、小池氏は2012年の毎日新聞のアンケートで、「政権公約(マニフェスト)通りに政策を実行しないことをどう思いますか」という質問に対して「柔軟に対応すべきだ」と回答していた。別に公約なんか守らなくたって屁とも思わないのだろう。民進党の板橋区議会議員・中妻じょうた氏はブログで小池氏のことを「信用できない」と切り捨てた(9月28日)。そういえば、安倍政権の支持率が急落した理由も「信用できない」というものだった(朝日新聞 7月11日)。10月の衆院選は「信用できない」人が率いる「憲法改正」を目指す保守政党同士の対決ということなのかもしれない。

安倍晋三 首相
「国難突破解散だ」
共同通信47NEWS 9月25日

 9月25日、首相官邸で会見した安倍晋三首相は、28日の臨時国会の冒頭に衆議院の解散に踏み切ることを正式に表明。28日に解散が行われた。

「モリカケ隠し解散」「ミサイル解散」「自己保身解散」など、さまざまな呼び方がされていた今回の解散だが、25日の記者会見で安倍首相が語ったのは「国難突破解散」。いずれの呼び方をも遥かに凌駕する大げささに驚いた人も少なくない。ツイッターには瞬く間にハッシュタグ「おまえが国難」が出来上がった。

 安倍首相が挙げた「国難」とは、具体的に言うと「少子高齢化」と「北朝鮮」だ。前者については、「2020年度までに3~5歳の幼稚園・保育園費用の無償化」など、子育て世代への投資拡充に向けた消費税の使途の見直しについて「国民の信を問いたい」と述べた。後者については、「こういう時期にこそ選挙を行うことによって、北朝鮮問題への対応について国民に問いたい」と語っている(ハフィントンポスト日本版 9月25日)。


「国難突破解散だ」と気勢を上げる安倍首相ら。「国難」という言葉は戦前に多用されていた ©時事通信社

 ただ、どちらも解散の理由としては弱い。少子高齢化については通常の国会で議論できる。教育社会学者の本田由紀・東大教授は「ずっと前から『国難』ですよ。それを今さら解散の言い訳にしようというのはまるで茶番です」「『国難』は安倍政権5年間の的外れな政策の結果」と辛辣に批判している(毎日新聞 9月27日)。また、自民党の税制調査会は26日の会合で、安倍首相が会見で語った消費税の使いみちについては、衆院選後にあらためて議論することを確認した(NHK NEWS WEB 9月26日)。首相の言ったことがひっくり返った格好だ。じゃ、何について「国民の信」を問うの?

 北朝鮮についても同じだ。首相は会見で「民主主義の原点である選挙が北朝鮮の脅かしで左右されてはならない」と語ったが、何を言っているのかよくわからない。そもそも選挙をするのは安倍首相の判断であり、北朝鮮は一切かかわりがない。北朝鮮のミサイル発射や核実験は「国難」かもしれないが、こちらもずっと前から続いていることだ(毎日新聞 9月27日)。

「国難」という言葉は、戦前によく使われていたものだ。1931(昭和6)年に満州事変が始まり、33年に日本が国際連盟を脱退して孤立を深めた頃、さかんに「国難」が強調されたという(朝日新聞デジタル 9月27日)。近現代史研究家の辻田真佐憲氏は「国難突破」の4文字に、国威発揚を狙う戦前の国民歌を想起したという。「あえて使った首相に戦前回帰との批判もあるが、もっと意図的だと思います」「右寄りの支持者にも歓迎されると考えたのではないか」と指摘している(毎日新聞 9月27日)。

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