「新国立」工事で社員自殺 違法な長時間労働で是正勧告

「新国立」工事で社員自殺 違法な長時間労働で是正勧告
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ことし3月、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の建設現場で働いていた男性が自殺した問題で、労働基準監督署は違法な長時間労働をさせていたとして男性が働いていた都内の建設会社に是正勧告を行いました。また、元請けの大手建設会社大成建設の現場の事業所に対して、労働者の健康を確保するよう行政指導しました。
ことし3月、新国立競技場の地盤改良工事の下請けに入っている都内の建設会社の新入社員だった23歳の男性が自殺し、遺族は過重労働が原因だとして労災を申請していました。

遺族の弁護士によりますと、建築資材の品質管理などにあたっていた男性は自殺直前の1か月間の時間外の労働時間がおよそ200時間に上っていたほか、計画の見直しによる工期の遅れを取り戻そうと精神的に追い詰められた結果、自殺したということです。

厚生労働省が男性の会社を調べた結果複数の従業員に違法な長時間労働をさせていたことがわかったということで、労働基準監督署はきのう、この会社に対して是正勧告を行いました。

また、この会社のほかに新国立競技場の建設に携わる761の事業所を調査した結果、80の事業所でも違法な長時間労働などの違反が見つかったということです。

労働基準監督署は、新国立競技場建設の元請けとなっている大成建設の現場事業所に対して、現場の入退場の記録を下請けに提供し下請けが労働時間を適正に把握して労働者の健康を確保するよう行政指導にあたる「指導票」と呼ばれる文書を交付しました。

また、大成建設に対しては現場での建設に関わる社員の賃金規定などを届け出ていなかったとして、労働基準法違反で是正勧告を行いました。

是正勧告受けた企業は

是正勧告を受けた建設会社は「真摯(しんし)に受け止め、こうしたことが2度と起こらないよう対策を講じていきます」とコメントしています。

また、大成建設は「是正勧告等の内容を真摯に受け止め、すみやかに再発防止策を含めた是正措置を講じてまいります。また、元請として専門工事業者に対し、今後も労働法令を含む法令順守の徹底について指導し、専門工事業者とともに過重労働の発生の防止に努めてまいります」とコメントしています。

新国立競技場の整備計画とは

「新国立競技場」は3年後の東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとして東京・新宿区で建設が進められています。

JSC=日本スポーツ振興センターによりますと、地上5階、地下2階、座席数は6万席になる計画で、工事の進捗(しんちょく)状況を示す出来高率は現在11%、地下工事をほぼ終えて現在はスタンドの建設が始まっています。

「新国立競技場」は、おととし7月に決まった当初の整備計画では、この年の10月に着工し、再来年5月の完成予定となっていました。
しかし、総工費2520億円という高額な建設費に批判が相次いだことから直後に計画は白紙撤回され、5か月後のおととし12月、総工費を1489億円に抑えた現在の計画に見直されました。

見直された計画では、着工は当初に比べ1年2か月遅れの去年12月で、工期は当初の計画より8か月短い36か月、そして完成予定は半年遅れの再来年の11月となっています。

自殺した男性が送ったメールと遺書

男性がみずから命を絶つ1週間ほど前のことし2月24日の午前1時すぎ、母親に送った携帯電話のメールには「電車で行きます4時15分に起きます」と書き込まれていました。

遺族の弁護士によりますと、男性は亡くなる1か月前には睡眠時間が1日に2、3時間程度で過労を理由に車での通勤をやめてほとんど電車で通っていたということです。

男性の当時の状況について遺族は「息子は帰宅するのは深夜で朝起きるのがとてもつらそうでした」と話していたということです。

また、男性のメモ帳には遺書も残されていて、「突然このような形をとってしまいもうしわけございません。身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした。私をどうかお許しください」などと記されていたということです。

「新国立」工事で社員自殺 違法な長時間労働で是正勧告

ことし3月、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の建設現場で働いていた男性が自殺した問題で、労働基準監督署は違法な長時間労働をさせていたとして男性が働いていた都内の建設会社に是正勧告を行いました。また、元請けの大手建設会社大成建設の現場の事業所に対して、労働者の健康を確保するよう行政指導しました。

ことし3月、新国立競技場の地盤改良工事の下請けに入っている都内の建設会社の新入社員だった23歳の男性が自殺し、遺族は過重労働が原因だとして労災を申請していました。

遺族の弁護士によりますと、建築資材の品質管理などにあたっていた男性は自殺直前の1か月間の時間外の労働時間がおよそ200時間に上っていたほか、計画の見直しによる工期の遅れを取り戻そうと精神的に追い詰められた結果、自殺したということです。

厚生労働省が男性の会社を調べた結果複数の従業員に違法な長時間労働をさせていたことがわかったということで、労働基準監督署はきのう、この会社に対して是正勧告を行いました。

また、この会社のほかに新国立競技場の建設に携わる761の事業所を調査した結果、80の事業所でも違法な長時間労働などの違反が見つかったということです。

労働基準監督署は、新国立競技場建設の元請けとなっている大成建設の現場事業所に対して、現場の入退場の記録を下請けに提供し下請けが労働時間を適正に把握して労働者の健康を確保するよう行政指導にあたる「指導票」と呼ばれる文書を交付しました。

また、大成建設に対しては現場での建設に関わる社員の賃金規定などを届け出ていなかったとして、労働基準法違反で是正勧告を行いました。

是正勧告受けた企業は

是正勧告を受けた建設会社は「真摯(しんし)に受け止め、こうしたことが2度と起こらないよう対策を講じていきます」とコメントしています。

また、大成建設は「是正勧告等の内容を真摯に受け止め、すみやかに再発防止策を含めた是正措置を講じてまいります。また、元請として専門工事業者に対し、今後も労働法令を含む法令順守の徹底について指導し、専門工事業者とともに過重労働の発生の防止に努めてまいります」とコメントしています。

新国立競技場の整備計画とは

「新国立競技場」は3年後の東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとして東京・新宿区で建設が進められています。

JSC=日本スポーツ振興センターによりますと、地上5階、地下2階、座席数は6万席になる計画で、工事の進捗(しんちょく)状況を示す出来高率は現在11%、地下工事をほぼ終えて現在はスタンドの建設が始まっています。

「新国立競技場」は、おととし7月に決まった当初の整備計画では、この年の10月に着工し、再来年5月の完成予定となっていました。
しかし、総工費2520億円という高額な建設費に批判が相次いだことから直後に計画は白紙撤回され、5か月後のおととし12月、総工費を1489億円に抑えた現在の計画に見直されました。

見直された計画では、着工は当初に比べ1年2か月遅れの去年12月で、工期は当初の計画より8か月短い36か月、そして完成予定は半年遅れの再来年の11月となっています。

自殺した男性が送ったメールと遺書

男性がみずから命を絶つ1週間ほど前のことし2月24日の午前1時すぎ、母親に送った携帯電話のメールには「電車で行きます4時15分に起きます」と書き込まれていました。

遺族の弁護士によりますと、男性は亡くなる1か月前には睡眠時間が1日に2、3時間程度で過労を理由に車での通勤をやめてほとんど電車で通っていたということです。

男性の当時の状況について遺族は「息子は帰宅するのは深夜で朝起きるのがとてもつらそうでした」と話していたということです。

また、男性のメモ帳には遺書も残されていて、「突然このような形をとってしまいもうしわけございません。身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした。私をどうかお許しください」などと記されていたということです。