解散総選挙後に予想される「4つのシナリオ」

「北朝鮮リスク」が急速に高まるのは12月か

先手を打って解散、のはずが強烈なカウンターを浴びた格好になっている安倍首相(右)。選挙後の4つのシナリオとは?(写真:日刊現代/アフロ)

今年5月、ジョン・アイケンベリー教授(米国プリンストン大学)は外交専門誌”Foreign Affairs”に寄稿して、「国際秩序を守る試みは、日本の安倍晋三とドイツのアンゲラ・メルケルという2人の指導者の肩に懸っている」と喝破した。ドナルド・トランプ大統領の暴虐によって、自由な国際秩序は危機に瀕している。リベラル派の良心と呼ばれる国際政治学者は、そのことを憂えて日本とドイツの両首相にラブコールを送ったのである。

「小池」「前原」から返し技を食らった安倍首相

ところがその日本とドイツの政治が今月、相次いでトラブルに見舞われている。

9月24日に行われたドイツの総選挙は、メルケル首相率いるCDU・CSUが順当に勝利した。しかしよく見れば得票率は4年前よりも減っているし、さらに大きく減らした社会民主党は早々に連立からの離脱を宣言した。しかも極右政党「ドイツのための選択」が大躍進しているので、今後の連立工作には思い切り苦労しそうである。

そして日本では安倍晋三首相が、9月28日に招集した臨時国会で「冒頭解散」という技を繰り出したところ、小池百合子都知事から「『希望の党』の立ち上げ」、前原誠司代表から「民進党の解党・合流」という返し技を食らってしまった。いわば「大義なき解散」が、「大義なき国政進出」と「大義なき解党・合流」というツープラトンの逆襲を受けた形である。

なにより「安全勝ち」を目指した安倍首相の一手が裏目に出て、かえって尻に火がついているからショックは深い。今春、英国のテリーザ・メイ首相が「ブレグジットに対する国民の信を問う」と訴えて、自信満々で解散に打って出てものの、保守党が見事に過半数割れしてしまったことと微妙に重なって見える。

海外の投資家の中には、これまで「日本市場はリターンが低いが、政治が安定しているから買える」と考えていた向きが少なくない。日本市場は海外経済や地政学リスクなどの外的要因には左右されやすいが、国内的な不透明性は低い。つまり「安定した安倍政権の下でこれからもアベノミクスが継続され、円安と株高がまだまだ続く」というシナリオを描くことができたわけである。

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  • ftnr36047956f672
    最後の競馬の話は何やねん??
    up17
    down2
    2017/9/30 11:41
  • NO NAMEd3a7e934fba5
    小沢・小泉・小池、この20年間で良くも悪くも名を残した、残しそうな面々。お気づきの様に、名前に小の字が付いた大物政治家達だ。その評価は後年下されることだろう。いや、ほぼ評価が固まりつつある人も居るが。ところで、今注目は、当然3人目の方。米のトランプ大統領宜しくメディア効果を十二分に活用し旋風を巻き起こし中である。昨年から今年にかけて襲来し都政に国政に強風を投げつけている。しかし、一番心配するのは強風が去った後だ。樹木も家もなぎ倒されて復旧に数年も掛かると言う被害にならない事を祈る。
    up6
    down0
    2017/9/30 14:29
  • NO NAMEe3602c573c3b
    3と4は無いね。
    いくら何でも維新が民進とくっつくのは無理があり過ぎる、だから4は無い。
    3にするくらいなら自公維連立のが現実的。
    このまま民進崩れが大量に希望になだれ込むと1が最有力になる。
    殆ど締め出して民進色排除すれば2になりそう。
    少なくとも今回は公明票は無いし、共産は完全に敵対モード、民進の地方組織は見捨てられて置き去りだから希望に組織票は無い。
    かなり厳しい戦いだと思うがね。
    up6
    down3
    2017/9/30 12:23
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