「こんなにつまらないダンス、見たことねーよ!」
始まりの合図
いつも、新しい作品をつくる時、
POLARIX(ポラリックス)の最初の関門・・・それはカミナリ親父
みんなのタイへの遠征が、一刻一刻と迫ってきています。
今日も、みんな夜まで練習しています。
ダンスショーを作る時、POLARIX(ポラリックス)のみんなは
まず最初にコンセプトを決め、音楽を決め、大枠の動きを決めて、
カミナリ親父の前で発表します。
そして、必ずこう言われるのです。
「こんなにつまらないダンス、見たことねーよ!」
カミナリ親父は、ガックリ肩を落として、私のところへやって来ます。
「アイツら、本当にガッカリだよ!何も成長してない!
過去最高につまらないダンスだ!!」
私はそれを黙って聞きながら、こう思っているのです。
毎回、そう言ってるけどね・・・と
そして、カミナリ親父がガックリ肩を落としている頃、
POLARIX(ポラリックス)のみんなは水を得た魚のように
生き生きと「自分らしさ」を見つけて舞い始めます。
そして、こうなる
「アイツら、俺にあんな酷いこと言われて、よくあんなに元気に頑張れるなぁ
いつも予想を越えてくるよ、ウワハハハハハハ
っていうか、出来るんなら、俺に言われる前にやれっつうんだよ」
頼れるエース・Juvie Lin(リン)そして リーダー・Van Norith(ノリ)を筆頭に
ああでもない、こうでもないと、意見を出し合ってショーを作っています。
そして、最近、ガラにもなく頑張っているのがKing(キン)です。
リンも
「今日はキンがたくさん、アイディアを出してきたんだ。ビックリでしょ」
と報告して来るほど!
何しろ、キンの代名詞はLazy(怠け者)
キンといえばLazy、Lazyといえばキン
誰もが震え上がるカミナリ親父に「起きろ!」と起こされても
「俺は眠い!!」と言い放って起きないという
カミナリ親父に「Lazyはお前の個性」と認めさせるほどの
ミスター・Lazy
そして、今日はキンがこんな事を言ってきた
「レナさん、聞いてくれよ
俺、今日、夢でたくさんダンスの構成のアイディアが思い浮かんだんだ!
でも、朝起きたら、ぜーーーんぶ忘れちまったんだよ、ちっきしょー!
まぁ、いっかー!!」
天国にいるキンのお母さんへ
お母さん、キン太郎くんは、キン太郎くん自身でも自慢気に言っていましたが
step by stepで成長しています。
ゆーっくり、ゆーーーーーーーーっくり、でも確実に
キン太郎くんは成長しています。
何にも染まらず、彼らしく成長しています。
あなたの息子さんに、私とカミナリ親父、そしてPOLARIX(ポラリックス)の兄弟たちは
時々、何か大きな幸せをもらっているように思います。
キン太郎くんを生んでくださって、本当にありがとうございます。
これからも、見守っていてください
で、もう一つビックリする事がありまして
今、POLARIX(ポラリックス)のみんなは
カミナリ親父から「宿題」を出されています。
宿題の内容は、それぞれ違います。
・リン→毎日、自分のカメラで自分の記録ビデオを撮って、編集して、公開すること
コレです
・ノリ→パソコンで音楽ソフトを使って、ピッチ調整が出来るように勉強すること
・Kong Jubi(コン)、T(ティー) 、キン→
カミナリ親父から学んだカメラの知識を、クメール語で毎日SNSに投稿すること
これは、カンボジアでは「カメラのことが知りたい」と思ってもクメール語で調べられるページが無いので、
カミナリ親父はこの3人にそういうページを作るパイオニア的な存在になって 欲しいと思ったことに始まりました。
そして、ダンスだけではなく、様々な知識を持っていれば
どんな状況になっても手に職を持っていれば、ちゃんと一人で生きていけると
カミナリ親父は考えたのです。
ファッションの記事を、SNSに毎日投稿すること
(ロイは、何故だかわかりませんが、ファッションセンスが優れていることにカミナリ親父が目をつけました。)
ちなみに、末っ子K.A(ケーエー)は
「とりあえずホームシック克服」です(笑)
カミナリ親父は、この宿題を頑張っているかどうかで
タイ遠征の時の「お小遣い」の度合いを決めようとしています(笑)
で、現在の各々の宿題状況ですが
リン、ノリ→パーフェクト!カミナリ親父「文句なし」
で、その次に頑張っているのが、ビックリ仰天・キンです!
毎晩、カミナリ親父にキンから報告が上がってきます。
“今日の俺の記事”みたいなのが・・・
「ど、どうしたんだ、アイツ・・・」
カミナリ親父、宿題を頑張るキンに、本気で恐れおののく
ティーとロイは、時々、思い出したように宿題をやっています。
「アイツら、小遣い削減だな」
そして・・・一抹の不安がここにあります。
コンです。
何度言っても、宿題をやらない
何度言っても・・・
最近、寝坊や遅刻も多くて(同じ家に住んでいるのに)
それを素直に謝ることもできず
そして、タイのダンスバトルの練習も身体が痛いのか、休みがちに
タイのダンスバトルに出ることを、誰より喜んでいるように見えたのだけど・・・
どうしたんだろうか
他のみんなも心配して、何度もコンに
「宿題やったほうが良い事あるぜ」
と励ましているそうなのですが・・・
身体が痛いのは仕方ない、ダンスはみんな力を合わせるしかない
POLARIX(ポラリックス)の最古株であり、最初のリーダーである彼が
なぜ、時間はあるのに“宿題”をやらないのか
深夜のミュージックビデオ撮影は、あんなに調子よく元気で、
キンからカメラを奪おうとするような場面すらあったのに
なぜ“宿題”を避けるのか・・・
毎日、毎日、私たちはコンのことを心配しています。
パフォーマーとしての道に猛反対しているお母さんから
思い切って自分の道を選んでプノンペンに戻って来たのに
世の中の、お父さん、お母さん、学校の先生はきっと、私たちなんかよりずっとたくさん
こうして「どうしてなんだろう」と毎日、悩むことはありますよね
どうやって、解決していけば良いんだろう
どうやって、向き合っていくのが良いんだろう・・・
コン、逃げないで
教えて欲しい
コンも、キンも
何も無いところから一緒にやって来てくれた、私たちの恩人
そんな事、もう関係ない やれる奴だけやれば良いと言う人もいるかもしれないけど
人間、最後は 最後に繋ぐものは
信頼関係と人情だから、絶対に。