2016年3月に所属していたキングレコードを離れ、同年8月にMAGES.系列のプロダクション・アミュレートに所属したゆかりん。今年の春には自身のレーベル・Cana aria(カナリア)を発足し、11月15日にはレーベル第1弾作品となる新作ミニアルバム「Princess ▽ Limited」の発売が決定している。6月のファンクラブ限定イベントと、8月のアニメソングイベント「Animelo Summer Live 2017 -THE CARD-」でもひさびさのライブパフォーマンスを披露したゆかりんだが、正式なワンマンライブは2015年のライブツアー「田村ゆかり LOVE ▽ LIVE *Sunny side Lily*」以来およそ2年3カ月ぶり。また今回は彼女のデビュー20周年を祝したライブということもあり、デビュー曲から未発売の新曲まで幅広いレパートリーが披露された。
新曲「Hello Again」でライブをスタートさせたゆかりんは、会場をピンクに染め上げたペンライトと王国民(田村ゆかりファンの総称)の割れんばかりの声援に思わず涙。目を覆って声を詰まらせるゆかりんの姿が場内のスクリーンに大写しにされた。しかしその後はいつも通りで、冒頭の挨拶では「ひさしぶりすぎて何がなんだかわからないね。最初なんて言ったらいいんだっけ? こんばんは、たっ、田村ゆかりです。ここで公演タイトルとか言ってたはずなんだけど……(タイトルを書いた)紙がない」とひさびさのライブに戸惑いを見せたり、男性客に「ウーパールーパー」、女性客に「エリマキトカゲ」と叫ばせるなどマイペースなやりとりを繰り広げた。
MCを挟んでの4曲目「Luminous Party」ではミラーボールが激しく旋回する中、ゆかりんやバックダンサーの桃色メイツを乗せたステージの一部が上昇し、そのままアリーナ中央の王国民の頭上を通ってステージごと客席後方へと移動。メインステージへと戻ったあとの「エキセントリック・ラヴァー」ではゆかりんの早着替えや火柱が上がる演出も見られた。また場面転換時に流れる撮り下ろし映像もゆかりんライブの魅力の1つ。今回は「もしもゆかりんがクレープ屋さんだったら」「もしもゆかりんが隣に引っ越してきたら」といったシチュエーション映像、ゆかりんが閉じ込められた部屋から脱出を試みる「あ、SAW ~ゆかりんのリアル脱出ゲーム~」などが上映された。
1つ目の幕間映像を挟んでの中盤戦は、文化放送「田村ゆかりの乙女心▽症候群」のエンディングテーマとして流れている新曲「Lost Sequence」などのバラードが披露されたほか、デビュー曲「勇気をください」がアコースティック編成で歌われる場面も。さらに「ゆかりおねいさんとゆかり姫」名義による音頭「めろ~ん音頭~Festival of Kingdom~」、架空の昭和アイドル・神楽坂ゆかによるパフォーマンスとバリエーションに富んだステージが続く。中盤には新作「Princess ▽ Limited」からもう1曲、ドリーミーなサウンドに乗せてさまざまな表情を持つ自分自身を歌う新機軸ナンバー「ゆかりはゆかり▽」が初披露された。
MCはいつも通り、最近ハマっているというコンビニ売りのもずく3パックの魅力を熱弁したり、会場物販で販売されたオリジナル人形焼「ゆかり王国に行ってきました!」を欲しがったりとマイペース。リハーサル後、食事を摂る間もなく本番に挑んだゆかりんは本当に空腹だった模様で、「人形焼あるよ!」と名乗り出たスタンド席の王国民から人形焼を受け取って本当に食べることに。人形焼を受け取ったゆかりんは、桃色男爵のメンバーと一緒に人形焼を頬張り、王国民へのお返しにと箱にサインをしようと考えるが、ステージ上にはペンがない。ゆかりんが「誰かペン持ってる?」と尋ねると別の王国民が名乗りを挙げる。しかしペンを貸してくれた王国民にはお礼ができないからと、今度は「誰か紙持ってない?」とサイン用の紙を要求。これもまた王国民の協力により解決し、最終的に人形焼全3種、ペン、紙をくれた王国民それぞれにサインや食べかけの人形焼が贈られた。
人形焼でエネルギーを充填したゆかりんは、ここから怒涛のライブ後半戦へと突入。「ラブラブベイビーハッピースター」「You & Me」などライブで人気のアッパーチューンが連発され、「fancy baby doll」ではおなじみのコール「世界一かわいいよ!」が場内にこだました。ラストは「W:Wonder tale」で締めくくられた。この時点でライブは3時間を経過していたが、王国民のアンコールの声は鳴り止まず、ゆかりんは再度ステージへ。「チェルシーガール」「この指とまれ」「Super Special Smiling Shy girl」の3曲が歌われ、バンドメンバーやダンサーたちを見送ったゆかりんはトロッコに乗り込むと、アリーナをゆっくりと1周しながらすべての王国民たちに届くよう笑顔で手を振った。