有名なIT企業が参加するも……
第67回フランクフルトモーターショーが2017年9月24日に閉幕した。
今回の入場者数は約81万人。前回2015年の93万1700人からすると、12万人も減ったことになる。主催者は「依然ドイツ最大の来場者数を数えるトレードショー」と結んでいるが、81万人は2015年の東京モーターショーと同規模。今後のあり方が問われるのは必至だろう。
前編で記したように、今回は数々の主要ブランドが欠席を決めた。その印象を薄める意図がどこまであったかは知らないが、代わりに主催者が開幕前から強調したのは「IT系企業の出展」だった。
実際にパビリオンを訪ねてみる。「フェイスブック」は傘下の企業「オキュラス」によるアウディのためのAR(Augmented Reality:拡張現実)ゴーグルを用いた仮想ショールームを展開。クルマとは直接関係ないものの、高齢者をデジタルデバイスに親しませるためのプログラムもアピールしていた。
「グーグル」は提携先であるドイツのソフトウエア企業「SAP」とともにブースを設けていた。両社のクラウドを連携させることによる、クルマと家庭、モバイルデバイスをつなぐシステム構築を提案していた。
ほかにも、「セグウェイ」や中国の自転車シェアリング企業「ofo」の姿も見られた。スタートアップ企業の中には、話題の「空飛ぶクルマ」を展示するものも複数目に付いた。また、スイスの山間部で使用する郵便配達デバイスといった、「自動運転時代の第一歩は、こうした形から」と確信させる、興味深い展示もあった。
しかしながらこうした出展者のブースが、主催者が期待する盛り上がりとは裏腹に、全体的に精彩を欠く、取って付けた感のある内容に終わってしまったのは惜しい。
大矢 アキオ
コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。
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