僕の第一歌集を差し上げます。|木下龍也|
こんなツイートを見かけて、あっ、欲しい!と手を挙げた私。
いつかは私も何か一冊の本が出せたらいいなという、ぼんやりとした願望を昔から持っていました。
その何かが歌集になりつつあるこの頃。
応募したのは、歌集って何首あれば出せるの?装丁はどんな感じ?という興味からでした。
それにしても第一歌集という大切なものを、なぜ放出するのか?不可解だなぁと思いながら。
果たして歌集は本当に届くのかしら?応募が殺到して私には届かないかもね…ダメで元々。
そして、忘れかけていた8月30日に歌集は届きました。
木下さんに限らず、お若い方の歌集は今まで読んだことがありません。
ですが、木下龍也さんのお名前は存じ上げておりました。
以前、可愛らしい女子達と歌会をした時にも木下さんのお名前が挙がりました。
女子達は皆、木下さんが好きなのですね。
それもそのはずで、木下さんは「短歌界の貴公子」なのだとか。
私は新聞や雑誌に短歌の投稿をしていますが、木下さんの作品をよく見かけます。
私の歌が6月の毎日歌壇に載った日、木下さんのこんな歌がありました。
国土交通省へ行く国土交通省がまだ知らない交通手段で / 木下龍也
え?
えーっ??
ネオ短歌だな~
私などには詠みたくても到底詠めない、高度なテクニックの歌。
さて、歌集です。
表紙を開くと、私の名前と歌が直筆で書かれていました。
綺麗な筆跡。
本を発送するだけでも手間なのに、一人一人にこれをするのは大変だったと思います。
ひらけない
目と口をもつひまわりの
きいろではない
ぶぶんがこわい / 木下龍也
私も子供の頃、向日葵の真ん中が大きな顔のようで怖かったのを思い出しました。今は何でもないけれど。
大人になって何でもなくなった事により、私はこんな歌がもう詠めなくなったのですね…
つむじ風、ここにあります 菓子パンの袋がそっと教えてくれる
/ 木下龍也
歌集の中で好きな歌は、やはりタイトルにもなったこの歌でした。
私は田舎で育ったのですが、田舎だと学校の校庭がとてつもなく広いのです。
そこで特に秋冬、つむじ風が発生するのを見かけます。
銀杏の実や落ち葉なんかがグルグル回っていても、気にもしませんでした。
それが葉っぱでなくゴミの袋で、こんなにも素敵な歌が生まれる感性!
xとyの交わる点に咲くはずだったのとタンポポは言う / 木下龍也
これもお気に入りです。
交わる点に咲くはずだったタンポポは、どこで咲いたんだろう?
私も詠みかけのxとyの歌があるのだけれど、なかなか着地出来なくて…
瑞々しい、優しい歌ばかりかというとそんな事はなく、途方もない孤独感だとか隣り合わせの死とか、いろんな歌がありました。
今はどこにでも持ち歩いているので、木下さんと電車で会ったら声を掛けてくれる…はずです(笑)。
素敵な歌集を、ありがとうございました。