方向音痴向けの徒歩案内
日本語 | 英語
Yahoo! MAPリニューアル後のルート・徒歩案内のUIUXを担当しました杉浦です。
どのように徒歩案内が作られたかお話しようと思います。
1.方向音痴向けの徒歩案内を作る
以前Yahoo!地図アプリではルート機能の月平均世代性別利用比率が地図TOPと比較して、10代女性が40代男性の約3倍もありました。
この数字は男性の30~50代が多いユーザーの中で突出した数字でした。
この結果がルートの機能を求めるユーザーは地図TOPの機能を求めるユーザーとニーズや特性に違う部分があるのではないかと推測した切っ掛けになりました。
次に徒歩案内を使う人の特徴を考えました。
徒歩案内はルートと違いオンタイムでの案内です、ルート機能は確認のために準備段階で使うことができますが、徒歩案内は基本現在進行形で目的地に向かう時に道案内をするために使います。
逆を言えばルートだけの案内では満足できないユーザーが徒歩案内を使い、目的地到達までの最終手段として使います。
徒歩案内を使う人はルートだけでは目的地に到着するのが難しい人、地図が苦手で方向音痴の人ではないかと推測しました。
そこで、方向音痴の人向に向けた徒歩案内を作ろう!と思いました。
2.方向音痴の5つの特徴
次に方向音痴の人の特徴を調査しました。 始めに、リニューアル前のYahoo!地図で機能別にユーザーの動向情報をまとめました。 次に、社内外で方向音痴の方を募集しインタビューを行いました。また、リニューアル前の徒歩案内や他サービスのナビを使って屋外で調査をしました。 募集した方向音痴の方々に、テスト段階のモックを使用してもらい屋外で実施テストも行いました。
以上のように定量定性両面から推測し、他サービスとも比較しながらユーザーが本当に必要としている情報や特性を割り出していきました。 分かった特徴は以下の5つです。
◆視認できるものを目印にする
コンビニエンスストアや銀行の看板は目印として認識しますが道路の形、道路名、交差点名は目印にすることは少ないです。
実際に見えている視界
方向音痴の人が目印にするもの
◆地図を見ているエリアが狭い
以下はGooglemapのルート画面です。
方向音痴のユーザーがどのエリアを見ているかというとルートのライン、現在地アイコン周辺を注視します。
意識外の目印は目印の役割を果たしません。
注視エリアと意識外の目印
◆地図の切り替わりに弱い
以下はGooglemapのナビのナイトモードです。
ナイトモードへの切り替えの際、もともと見ていた明るい地図と印象が違うので、地図が分からなくなることがあります。
以下はApplemapの建物を3Dにした地図画面です。
建物が3Dで表現される地図になると、見つけた店舗などの目印が消えるので現在地が分からなくなります。
◆東西南北指示は混乱の元
曲がる方向が変わりやすい徒歩の案内で東西南北指示は混乱の原因です。
◆進行方向を画面の上にしたい
進行方向を上にするため地図やスマホを回します。地図を見る向きが変わるので迷う原因です。
方向音痴にも複数の原因があり複合的に組み合わさっています。もっと簡単に理解できる徒歩案内を作ろうと思いました。
3.解決へ向けてのアプローチ
調べた方向音痴の特性を踏まえ、リニューアル後の徒歩案内ではどういったアプローチをしたかお話していきます。
◆視認できる目印がすぐ見つかる地図にする
コンビニエンスストアや銀行などすぐに見つかる目印を優先度高く表示します。
◆目印を起点に道案内する
目印となる店舗や施設を起点にふきだしで方向や行動を指示します。目印を起点に左右の方向を指示するので迷いません。
吹き出しに 『エネオスの先の横断歩道をわたる』と書かれています。目印を起点に方向や行動を指示しています。
◆進行方向を画面上にしたい
現在地がルートの上に乗った時、ある程度の長さの道は進行方向が上になるよう自動で地図を回転します。
曲がり角、『左にまがる』と吹き出しに書いてありますが、地図が回転して進行方向を上に表示します。
以上大分略しましたがリニューアル後の方向音痴の方向けの徒歩案内のアプローチでした。
4.まとめ
今回の徒歩案内のリニューアルで、ターゲットユーザーを知ることの大切さと、ユーザーへの理解が欲しいと思えるサービスを生むという基本を再確認しました。
また、いろいろな専門家の協力無くして正確なサービスやプロジェクトは成り立たず、協力の大切さを認識しました。
誰のためのデザインか、これからも意識して作っていきたいと思います。