去年(2016年)、関東のある一家に子どもが誕生。
生まれた子どもに、「すべて、まじる、にごる」などの意味がある「渾」という字を含めた名前をつけ、出生届を自治体に提出しました。
しかし、「この漢字は名前には使えません」と言われたそうです。
戸籍法で人名に使える漢字に「渾」がなく受理されませんでした。
納得がいかない両親は不服申し立て、今年(2017年)1月に家庭裁判所が下した審判は?
「渾」の文字は社会通念上、明らかに常用平易な文字である。
という判決が下り、出生届の受理を命じました。
その後、自治体側が東京高裁に即時抗告するも、同年5月に高裁も家裁の判断を維持し確定しました。
実は、このように司法の判断を受けて人名に使えるようになった漢字は多いのです。
「悠」「琉」「獅」「駕」「毘」「瀧」
2009年 「祷」(いのる、とう)、「穹」(あめ、そら)
2015年 「巫」(みこ、かんなぎ)
使用したい漢字が認められなければ、とりあえず「ひらがな」で提出して、後に認められてから漢字に変更するというケースもあるそうです。
ちなみに、以下は、2004年の法制審議会で、追加案にあがるも不評で削除された漢字。
「糞(くそ)」「屍(しかばね)」「痔(じ)」「癌(がん)」「姦(かん)」「妾(めかけ、わらわ)」「呪(のろう)」「淫(いん、みだら)」「怨(えん、うらむ)」
名前に使うにはどうなのかと思われる漢字ばかりですが、
実はこのうちの「呪」「淫」「怨」の3つはその後、名前として使用可能になったということです。
追記
ここで余談ですが、大正時代に流行した男の子の名前がおもしろいです。
ランキング | 男の子 1位 |
---|---|
大正元年(1912年) | 正一 |
大正二年(1913年) | 正二 |
大正三年(1914年) | 正三 |
大正四年(1915年) | 清 |
流石に4年目ともなれば「正四」にはならなかったようです。