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中村勇吾の日誌

さまようダミ

昨日ラジオでたまたまSZAという歌手を知って以来、俺の中のダミ声大好きスイッチが久しぶりに起動しているので、冷めないうちに書いておきたいと思う。

 

男女問わずダミ声のボーカルが好きだ。そして、そのダミ声歌手がそのダミを存分に生かして唄う楽曲に無条件に惹かれる。ドラマチックなメロディや派手なトラックなどは余計だ。素材としての「ダミ」をシンプルに素直に味わう、寿司屋のまかない飯のような楽曲が望ましい。

 

以下、私のベスト・ダミ・セレクションを挙げておく。

 

SZA


SZA - Love Galore (Official Video) ft. Travis Scott

何処に行くあてもなく、そのへんでうろうろと彷徨っているようなメロディラインがダミ声音楽の王道だと思う。派手なサビやコーラスなどがあったら台無しだ。ずっとこのまま同じ調子で永遠に歌っててくださいませと、いう感じ。以下これを「さまようダミ」と呼ぶこととする。

 

Speech (Arrested Development)


Arrested Development - Tennessee

Hiphopにおける「さまようダミ」の元祖。Speechって唄とラップの中間領域をかなりドバッと開拓したパイオニアの1人だと思うんだけどHiphop史的にちゃんと評価されてるのか不安になる。余計なお世話か。

 

 

T-Boz (TLC)


TLC - Ain't 2 Proud 2 Beg

女性ダミ界のエリート生。声質としてはまさに理想的、全ての歌手へのお手本になるような美しいダミ。ただ、楽曲に「さまよい性」が乏しいのが惜しい。変なサビとか全部カットして欲しいと思う。俺が知っているTLCの曲の中で「さまようダミ」に一番近いのは「Creep」なんだけど、ビデオが面白いからこっちを貼っておく。

 

Larry Blackmon (Cameo)

 
Cameo - Word Up

ラリーブラックモンは、あからさまにダミを自分の個性として売りに出している。これが好き嫌いの分かれ道だ。まあ俺は好きだが、見ようによってはダミ芸人かのごとく軽く扱われてしまう恐れがある。ダミ界のスキャットマンジョン的なカテゴリだ。
シングルカットされないアルバム曲のほうがラリー等身大のダミと向き合うことが出来る。

 

Omar


Omar - There's Nothing Like This

スムースなダミ。上に挙げた人々よりはダミは薄いが、そうはいってもオマー独特の魅力はダミにある。本筋とずれるが、この曲のYoutubeのコメントに「one of the best bass line of the nineties....」と書いてあったがほんとにそう思う。ファーストアルバムは本当に大好きで、ちょっとコーネリアスっぽい抜け感のあるスカスカのトラックにラップやアカペラなど多様なダミを鑑賞することができる。

 

Prince
Forever In My Life

Forever In My Life

  • プリンス
  • R&B/ソウル
  • ¥250

楽曲によってさまざまな声質を使い分けるプリンスは、当然ダミ部門もしっかりカバーしていた。私が「さまようダミ」と最初に出会ったのはこの曲だと思う。Youtubeに探しても見つからなかったのでiTuneを貼っておく。死してなおYouTube管理はしっかりしているプリンス。

 
Sade


Sade - Lover's Rock

シャーデーをダミの範疇に入れるかどうかは微妙なところだ。これを入れてしまうと一体どこからどこまでがダミなのか、というダミの定義が揺らいでしまう。これはダミではなく「ハスキーボイス」なのだといってしまえばそれまでなのだが、ただのハスキーボイス歌手とシャーデーが一線を画しているのは、ハスキーの中に10%ぐらい微妙に混入しているダミなのではないだろうか。

 

(追記)

Q-TIP ( A Tribe Called Quest


A Tribe Called Quest - The Low End Theory [Full Album]

ダミ界の巨人のことを、巨人過ぎて忘れていた。説明不要のダミの代名詞。ただ、ソロになってから色々と足し算をやりだしたのはダミ的には良ろしくないと思う。ダミは引き算の中でこそ光るのではないか。あと、ラップの途中で時々歌い出したのだけど意外なことにQ-Tipが歌うとダミが大きく損なわれる感じがする。余計なエモーション汁が出ちゃう感じ。もっと自分のダミとじっくり向き合って欲しいなと思う。本当に大きなお世話だと思う。

 

 

・・・以上、私のベスト・セレクション・オブ・ダミをリストアップしてみたが、いかんせん90-00年代の古い曲ばかりだ。ここ10年ほどあまり色んな音楽を聴いてなかったこともあり、悲しいかな最近のダミについては疎いのだ。

 

だが、街やラジオでなんとなく聴いている感触では、ダミは確実に、どんどん増え続けている、ダミの時代がいよいよ本格的に到来していると感じる。

 

SZAを知ってから現代のダミをもっと掘っていきたいと思った。しかしあいにくiTuneもSpotifyも「ダミ」というカテゴリを作ってくれてない。なんとかならないものだろうか。

 

P.S.
そして、俺たちダミ好き人間は「人工のダミ」ことボコーダー音楽も勿論大好きだ。これについてはまた今度書くことにしよう。