高速道 外国人は乗り放題!不公平?

高速道 外国人は乗り放題!不公平?
10月から特定のレンタカー会社を利用する外国人旅行者を対象に、各地の高速道路が乗り放題になる定額のパスが販売されます。これに対しネット上では、「外国人だけ不公平」という不満や「事故が増える」という不安の声など、どちらかというと批判的な反応が目立ちました。どんなサービスか狙いは何か、取材しました。(ネットワーク報道部記者 戸田有紀 角田舞)
注目が集まったのは26日に国土交通省や高速道路会社が発表した新しいサービス。外国人旅行者が特定のレンタカー会社を利用する場合、7日間で2万円、14日間では3万4000円で、高速道路が乗り放題になるというものです。
ただし今回のサービスで対象外の地域もあります。首都高速道路や阪神高速道路は都市部の混雑などを考慮して対象外。北海道は陸続きではなく、レンタカーを借りてもほかの地域での乗り捨てができないなど、現実的に利用者の利便性が高くないと判断したため対象外。本州と四国を結ぶ本州四国連絡高速道路なども同様に対象外です。それでも、全国でおよそ1万キロの高速道路のうち、90%近くカバーしているということです。

全国の高速道路ノリホーダイ?

注目が集まったのは26日に国土交通省や高速道路会社が発表した新しいサービス。外国人旅行者が特定のレンタカー会社を利用する場合、7日間で2万円、14日間では3万4000円で、高速道路が乗り放題になるというものです。
ただし今回のサービスで対象外の地域もあります。首都高速道路や阪神高速道路は都市部の混雑などを考慮して対象外。北海道は陸続きではなく、レンタカーを借りてもほかの地域での乗り捨てができないなど、現実的に利用者の利便性が高くないと判断したため対象外。本州と四国を結ぶ本州四国連絡高速道路なども同様に対象外です。それでも、全国でおよそ1万キロの高速道路のうち、90%近くカバーしているということです。

目立つ批判的な声

これに対してネット上では「平日の高速道路、特に北東北は利用が少ないのでよいかも」とか、「行動の幅が広がって有名観光地以外も行ってくれるって考えるとよいね」などの声が上がりました。

でも目立ったのは批判的な意見。「外国人だけずるい!」「レンタカー借りるくらいの外国人旅行者は金持ってるんだから愚策だよ。そのぶん若いファミリーの週末レジャー需要を無償化してやったほうがいい」「財源はどこから出るの?どうして国民に税金を使ってくれないの?」と不公平を指摘する意見が相次ぎました。

さらには「レンタカーの外国人を増やすと事故が増えるだけ」「不慣れな右ハンドル左側通行で、『車線が狭い、トンネル暗い、アップダウンがキツい、カーブも多い』日本の高速道路をぶっつけ本番で走るわけですよ。外国人も日本人ドライバーもお互いが困惑するだけです」などと事故の増加を懸念する声も多数出ています。

なぜ導入?聞いてみた

なぜ、新たなサービスを導入することにしたのか。全国の高速道路を管轄する国土交通省に聞いてみました。するときっかけのひとつとなったのが外国人旅行者によるレンタカー利用の急増だそうです。

国土交通省によると、平成23年に17万9000人だったレンタカーを利用した外国人は、おととし(平成27年)には70万5000人と5年間でおよそ4倍に急増。これだけ多いなら「もっと高速道路も利用して日本全国をくまなく訪れてもらおう」と考えたと言います。

さらに「外国人だけがずるい」「そんな財源あるなら値下げしろ」という意見については「定額パスも一定の料金を支払ってもらうため、料金の一部補助などと違って財源は必要ない。外国人旅行者の利用を掘り起こすことで新たな収入につながる」と説明しています。

価格については、鉄道や高速バスなどで同じように外国人旅行者向けに導入されている周遊パスを参考に高速道路会社の協議で決まったということです。今回の新サービスの発想は、外国人優遇というより新幹線などのライバルを向こうに高速道路に乗ってもらい新たな収入源を確保することにありそうです。

事故対策は?

もう一つの不安は事故を懸念する声です。

交通事故総合分析センターによりますと去年、全国で起きたレンタカーでの死傷事故6150件のうち外国人による事故は81件で全体の1.3%となっています。実際はどうなのかレンタカー会社を取材しました。

ニッポンレンタカーの担当者は、「左右のハンドル、走行車線の違いによるものなど、外国人旅行者に起きやすい事故というのはあるが、外国人に事故が目立って多いわけではない」と話しています。そのうえで外国人に多いトラブルとしては、右ハンドルに慣れない外国人が車の左側を壁や縁石にこするケースや、ガソリンと軽油を間違えて給油してしまうミスなどが起きているということです。

また、車に傷がついていて事故を起こしたとみられるのに「これくらいは事故ではない」と言って警察に申告しないケースもあるということです。
いずれにしても会社としては外国人の利用をビジネスチャンスととらえ事故防止対策にも取り組んでいて日本の道路標識や燃料の入れ方、さらには保険の内容などを説明した小冊子を英語、中国語、韓国語の3カ国語で準備して、手渡しています。また、各地の店舗の窓口で24時間、英語、中国語、韓国語、タイ語などの通訳に電話で対応してもらえるサービスも整えたということです。

使いやすい高速を目指して

事故防止については国や高速道路会社も対策を進めようとしています。
国土交通省は外国人によるレンタカー利用が多い沖縄や北海道など空港近くの5つの地域を選定。この秋からレンタカーに装着した機器で急ブレーキをかけた場所などのデータなどを集め、外国人が事故を起こしやすい場所を把握して対策を検討することにしています。高速道路会社では外国人でもわかりやすい標識にしようと路線をアルファベットと数字で表す「ナンバリング」を導入、2020年までに案内標識の整備を目指しています。外国人にも積極的に高速道路を利用してもらおうという今回の新サービス。誰もが使いやすい道路整備に結びついて欲しいと感じました。
高速道 外国人は乗り放題!不公平?

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10月から特定のレンタカー会社を利用する外国人旅行者を対象に、各地の高速道路が乗り放題になる定額のパスが販売されます。これに対しネット上では、「外国人だけ不公平」という不満や「事故が増える」という不安の声など、どちらかというと批判的な反応が目立ちました。どんなサービスか狙いは何か、取材しました。(ネットワーク報道部記者 戸田有紀 角田舞)

全国の高速道路ノリホーダイ?

全国の高速道路ノリホーダイ?
注目が集まったのは26日に国土交通省や高速道路会社が発表した新しいサービス。外国人旅行者が特定のレンタカー会社を利用する場合、7日間で2万円、14日間では3万4000円で、高速道路が乗り放題になるというものです。
ただし今回のサービスで対象外の地域もあります。首都高速道路や阪神高速道路は都市部の混雑などを考慮して対象外。北海道は陸続きではなく、レンタカーを借りてもほかの地域での乗り捨てができないなど、現実的に利用者の利便性が高くないと判断したため対象外。本州と四国を結ぶ本州四国連絡高速道路なども同様に対象外です。それでも、全国でおよそ1万キロの高速道路のうち、90%近くカバーしているということです。

目立つ批判的な声

これに対してネット上では「平日の高速道路、特に北東北は利用が少ないのでよいかも」とか、「行動の幅が広がって有名観光地以外も行ってくれるって考えるとよいね」などの声が上がりました。

でも目立ったのは批判的な意見。「外国人だけずるい!」「レンタカー借りるくらいの外国人旅行者は金持ってるんだから愚策だよ。そのぶん若いファミリーの週末レジャー需要を無償化してやったほうがいい」「財源はどこから出るの?どうして国民に税金を使ってくれないの?」と不公平を指摘する意見が相次ぎました。

さらには「レンタカーの外国人を増やすと事故が増えるだけ」「不慣れな右ハンドル左側通行で、『車線が狭い、トンネル暗い、アップダウンがキツい、カーブも多い』日本の高速道路をぶっつけ本番で走るわけですよ。外国人も日本人ドライバーもお互いが困惑するだけです」などと事故の増加を懸念する声も多数出ています。

なぜ導入?聞いてみた

なぜ導入?聞いてみた
なぜ、新たなサービスを導入することにしたのか。全国の高速道路を管轄する国土交通省に聞いてみました。するときっかけのひとつとなったのが外国人旅行者によるレンタカー利用の急増だそうです。

国土交通省によると、平成23年に17万9000人だったレンタカーを利用した外国人は、おととし(平成27年)には70万5000人と5年間でおよそ4倍に急増。これだけ多いなら「もっと高速道路も利用して日本全国をくまなく訪れてもらおう」と考えたと言います。

さらに「外国人だけがずるい」「そんな財源あるなら値下げしろ」という意見については「定額パスも一定の料金を支払ってもらうため、料金の一部補助などと違って財源は必要ない。外国人旅行者の利用を掘り起こすことで新たな収入につながる」と説明しています。

価格については、鉄道や高速バスなどで同じように外国人旅行者向けに導入されている周遊パスを参考に高速道路会社の協議で決まったということです。今回の新サービスの発想は、外国人優遇というより新幹線などのライバルを向こうに高速道路に乗ってもらい新たな収入源を確保することにありそうです。

事故対策は?

もう一つの不安は事故を懸念する声です。

交通事故総合分析センターによりますと去年、全国で起きたレンタカーでの死傷事故6150件のうち外国人による事故は81件で全体の1.3%となっています。実際はどうなのかレンタカー会社を取材しました。

ニッポンレンタカーの担当者は、「左右のハンドル、走行車線の違いによるものなど、外国人旅行者に起きやすい事故というのはあるが、外国人に事故が目立って多いわけではない」と話しています。そのうえで外国人に多いトラブルとしては、右ハンドルに慣れない外国人が車の左側を壁や縁石にこするケースや、ガソリンと軽油を間違えて給油してしまうミスなどが起きているということです。

また、車に傷がついていて事故を起こしたとみられるのに「これくらいは事故ではない」と言って警察に申告しないケースもあるということです。
事故対策は?
いずれにしても会社としては外国人の利用をビジネスチャンスととらえ事故防止対策にも取り組んでいて日本の道路標識や燃料の入れ方、さらには保険の内容などを説明した小冊子を英語、中国語、韓国語の3カ国語で準備して、手渡しています。また、各地の店舗の窓口で24時間、英語、中国語、韓国語、タイ語などの通訳に電話で対応してもらえるサービスも整えたということです。

使いやすい高速を目指して

使いやすい高速を目指して
事故防止については国や高速道路会社も対策を進めようとしています。
国土交通省は外国人によるレンタカー利用が多い沖縄や北海道など空港近くの5つの地域を選定。この秋からレンタカーに装着した機器で急ブレーキをかけた場所などのデータなどを集め、外国人が事故を起こしやすい場所を把握して対策を検討することにしています。高速道路会社では外国人でもわかりやすい標識にしようと路線をアルファベットと数字で表す「ナンバリング」を導入、2020年までに案内標識の整備を目指しています。外国人にも積極的に高速道路を利用してもらおうという今回の新サービス。誰もが使いやすい道路整備に結びついて欲しいと感じました。