特集 PR

SKY-HI、激動の2017年を総括。政治的意見を発する意義も語る

SKY-HI、激動の2017年を総括。政治的意見を発する意義も語る

SKY-HI『SKY-HI Tour 2017 Final "WELIVE" in BUDOKAN』『Marble』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:矢島由佳子、久野剛士
2017/09/26
  • 2243
  • 40

2017年という年は、SKY-HIの活動がネクストフェイズに突入したことを明確に示す年となっている。年明けにアルバム『OLIVE』を発表し、それに伴う全国ツアーのファイナルでは初の日本武道館公演をいきなり2デイズで敢行。6月には、切れ味の鋭いリリックと、YouTubeのプライベートアカウントにて突然公開したことが大きな話題を呼んだ“キョウボウザイ”でその名をさらに知らしめ、ビートジャックの手法で自殺について言及した“0570-064-556”も同様に話題となった。その一方で、ロックフェスへの出演や、バンドとのコラボレーションを積極的に行い、ロックシーンのなかでの新たなポジションを徐々に構築。もちろん、AAAとしての活動も行っているわけで、そのバイタリティーには心底恐れ入る。

そして、欧米・アジア公演を含む10月からのツアーを前に発表されるのが、新曲“Marble”だ。多様性を愛し、調和の美しさを説くこの曲は、これまで数々の分断を乗り越えてきたSKY-HIが歌うからこそ意味のある、新たな代表曲となり得る一曲だと思う。いつものようにジョークを交えつつも、エネルギッシュに、真摯に、2017年のこれまでを振り返る、SKY-HIの最新語録をお届けする。

ライブの最後に世界平和の話をするというのを武道館でやれたのは、意義深いことだった。

―今日は2017年のここまでの活動を振り返ってもらいたいと思うのですが、まずは5月に行われた初の日本武道館公演の手応えから話していただけますか?

SKY-HI:武道館は特別な場所だと思うし、特別なライブにもなりました。ただ、「あの瞬間に充実感が」というよりは、「積み上げてきてよかったな」って感じですね。自分、バンド、ダンサー、スタッフ全員の意識と、それを求めてくれるお客さんの意識、全部が同じ方向を向いた状態で武道館までやって来られたこと自体が素晴らしかったなと思います。「あのライブは武道館に見合ってた」っていう、それに尽きるかもしれない。

SKY-HI
SKY-HI

―もともとSKY-HIは武道館公演を「スタート」と捉えていたわけですが(参考記事:SKY-HIが語る、スターとしての覚悟「聴き手の人生に責任を持つ」)、『OLIVE』というアルバムが鳴らしていた「愛」や「人生」といった大きなメッセージを打ち出していく、そのスタートに間違いなくなっていたように思います。

SKY-HI:確かに、それはあるかも。狙ってそうしたわけではなくて、「導かれてそうなった」としか言いようがないんですけど、「LIVE」と「I LOVE」のメッセージを持った状態で、あの会場にいられたのはすごくよかったなって思います。

人間は多面的だから、『カタルシス』(2016年発売、2ndアルバム)みたいに「生きる」を歌うために「死にたい」という感情に寄り添うべきときもあると思うし、無責任にポジティブなことだけを言う人には絶対になりたくない。そんな俺が「LIVE」と「I LOVE」をもってしてタイトルをつけた『OLIVE』を引っ下げて、ライブの最後に世界平和の話をするというのを武道館でやれたのは意義深いことだったなって、今になってそう思いますね。

音楽は学校の先生以上に人生に影響を与える可能性があると思うんです。だから、インスタントなものは作りたくない。

―6月には“キョウボウザイ”をYouTubeのプライベートアカウントで発表して、大きな話題を呼びました。発表後のリアクションも踏まえて、あれをやったことの意味や意義を現在どのように感じていますか?

SKY-HI:リアクションに関しては、思っていた以上にロックカルチャーからのリアクションが大きかったんですよね。別に自分の宣伝のために作った曲ではないんだけど、期せずしてキャリアを勝手に一個押し進めてくれたなって感じています。

―そもそも、ポリティカルな題材に対して楽曲でスピーディーに反応するということをやった背景には、どんな想いがあったのでしょう?

SKY-HI:「あ、みんなやらないんだ?」って思ったんですよね。ラッパーがこれだけ増えてるのに、誰も声を上げないことに違和感があった。でも、どうやらそれを感じていたのは俺だけじゃなくて。『ROCKIN'ON JAPAN』の山崎(洋一郎)編集長はブログで褒めてくれたのと同時に、「いまこれをやるロックミュージシャンがいないのが悲しい」って書いてたんです。

―SKY-HIと欅坂46について言及したコラムですよね。

SKY-HI:そうそう。昔の自分だったらこういうアプローチをしても世間に届かなかったかもしれないけど、外から見て商業的に成功してる状況であれをやったことが、カウンターに見えたのかもしれない。そういう諸々含めて、いままで届いてなかったところに届いた手応えはあったけど、だからこそ、次にリリースする作品にはいろんな意味でプレッシャーがかかったんですよね。

SKY-HI

―新曲“Marble”の話は追ってじっくり聞きたいんですけど、先ほどおっしゃったように「他にやる人がいなかった」という状況については、どのような感想を持っていますか?

SKY-HI:YouTubeのプライベートアカウントを開いて、久しぶりに昔の曲を聴いたら、2010年くらいから政治的な題材を歌ってたんですよね。まあ、Mos Def(アメリカのラッパー。社会問題や政治への批評家としても活動)とかTalib Kweli(アメリカのラッパー。Mos Defとともに、ヒップホップユニット・Black Starとして活動)とかを聴いて育ってるから、そういう内容になるというのもあると思うんですけど。

―ポリティカルな題材を楽曲に入れるのは、自然なことだと。

SKY-HI:そうですね。やっぱり、音楽は学校の先生以上に人生に影響を与える可能性があると思うんです。自分の感覚としてもそうで、俺は教科書がヒップホップのアルバムだった時期があった。

だから、インスタントなものは作りたくないんです。時間を割いてもらって、お金も払ってもらって、作品を聴いてもらう立場というのを、俺は軽く捉えていない。本当の意味でリスナーに対して責任を持って、愛を持って接しようと思ったら、いま生きてる日々の話になるのは当たり前だと思うんですよね。

Page 1
次へ

リリース情報

SKY-HI『SKY-HI Tour 2017 Final“WELIVE”in BUDOKAN』初回生産限定盤
SKY-HI
『SKY-HI Tour 2017 Final“WELIVE”in BUDOKAN』初回生産限定盤(2DVD+2CD)

2017年9月27日(水)発売
価格:10,800円(税込)
AVB1-92580~1/B~C
※mu-moショップ、AAA Party、AAA mobile限定の販売

[DVD1]
1. Double Down
2. Ms.Liberty
3. BIG PARADE
4. Stray Cat
5. 十七歳
6. 明日晴れたら
7. Blanket
8. Limo
9. Count Down
10. TOKYO SPOTLIGHT
11. Turn Up
12. Dungeon Survivors
13. As A Sugar
14. Welcome To The Dungeon
15. Enter The Dungeon
16. Tyrant Island
17. 運命論
18. Walking on Water
19. Over the Moon
20. ナナイロホリデー
[DVD2] 1. センテンス -家出少年-
2. アドベンチャー
3. How Much??
4. Seaside Bound
5. 創始創愛
6. アイリスライト
7. スマイルドロップ
8. Silly Game
9. LUCE
10. クロノグラフ
11. ~LIVE, I LOVE, OLIVE~(Theme of“WELIVE”)
12. カミツレベルベット
13. リインカーネーション
※特典映像:「DOCUMENTARY OF SKY-HI Tour 2017 Final“WELIVE”in BUDOKAN」
※副音声 : SKY-HI & Kensuke(SUPER FLYERS)によるLIVE解説(ダベり)
[CD1] 1. Double Down
2. Ms.Liberty
3. BIG PARADE
4. Stray Cat
5. 十七歳
6. 明日晴れたら
7. Blanket
8. Limo
9. Count Down
10. TOKYO SPOTLIGHT
11. Turn Up
12. Dungeon Survivors
13. As A Sugar
14. Welcome To The Dungeon
15. Enter The Dungeon
16. Tyrant Island
17. 運命論
18. Walking on Water
19. Over the Moon
20. ナナイロホリデー
[CD2]
1. センテンス -家出少年-
2. アドベンチャー
3. How Much??
4. Seaside Bound
5. 創始創愛
6. アイリスライト
7. スマイルドロップ
8. Silly Game
9. LUCE
10. クロノグラフ
11. ~LIVE, I LOVE, OLIVE~(Theme of“WELIVE”)
12. カミツレベルベット
13. リインカーネーション

SKY-HI『SKY-HI Tour 2017 Final“WELIVE”in BUDOKAN』初回生産限定盤
SKY-HI
『SKY-HI Tour 2017 Final“WELIVE”in BUDOKAN』初回生産限定盤(2Blu-ray+2CD)

2017年9月27日(水)発売
価格:10,800円(税込)
AVX1-92584/B~C
※mu-moショップ、AAA Party、AAA mobile限定の販売

More
SKY-HI『SKY-HI Tour 2017 Final“WELIVE”in BUDOKAN』通常盤
SKY-HI
『SKY-HI Tour 2017 Final“WELIVE”in BUDOKAN』通常盤(2DVD)

2017年9月27日(水)発売
価格:5,832円(税込)
AVBD-92582~3

More
SKY-HI『SKY-HI Tour 2017 Final“WELIVE”in BUDOKAN』通常盤
SKY-HI
『SKY-HI Tour 2017 Final“WELIVE”in BUDOKAN』通常盤(Blu-ray)

2017年9月27日(水)発売
価格:5,832円(税込)
AVXD-92585

More

イベント情報

『SKY-HI Round A Ground 2017』

2017年10月11日(水) 会場:北海道 帯広 MEGA STONE

2017年10月12日(木) 会場:北海道 札幌 PENNY LANE24

2017年10月20日(金) 会場:台湾 ATT SHOW BOX

More

プロフィール

SKY-HI
SKY-HI(すかいはい)

2005年AAAのメンバーとしてデビューし、その傍ら同時期からソロラッパーとして都内クラブ等でマイクを握り、SKY-HIとしての活動を始める。2012年に自身主宰のコラボレーション楽曲制作企画「FLOATIN' LAB」が話題となり、CD化してリリース。KREVA等多数アーティストの楽曲への客演や各地でのライブも経て、同年の「WOOFIN' AWARD 2012」のベストオブラッパー部門を受賞。2014年3月には1stアルバム『TRICKSTER』をリリース。同年6月、MTV VMAJ 2014 BEST HIP HOP VIDEO受賞。2017年1月に3rd Album『OLIVE』をリリース。同年3月からは全国13都市15公演の『SKY-HI HALL TOUR 2017-WELIVE-』を開催。5月2日3日に東京 日本武道館2Daysでファイナルを迎えた。2017年10月からは、アメリカ・フランス・UK公演を含むライブツアー『SKY-HI Round A Ground 2017』を開催。いま一番、上昇気流に乗っている、ラッパーであり、シンガーソングライターであり、エンターテイナーである。

関連チケット情報

2017年11月27日(月)
SKY-HI
会場:高松festhalle(香川県)

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

シャムキャッツ“Four O'clock Flower”

ただシャムキャッツの四人がフラットに存在して、音楽を鳴らしている。過剰な演出を排し、平熱の映像で、淡々とバンドの姿を切り取ったPVにとにかく痺れる。撮影は写真家の伊丹豪。友情や愛情のような「時が経っても色褪せない想い」を歌ったこの曲に、この映像というのはなんともニクい。(山元)