【厚切りジェイソン氏特別インタビュー】「人は大勢になるとバカになるけど、個々で考えれば賢い思考ができる」-今求められる個人の価値とは-
- 水落絵理香
- 2017年9月27日
- ニュース
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ferret 副編集長/ライター
前職はCMS制作会社でWebコンサルティングに従事。ferretでは記事作成、SNS運用を担当。「読めば誰でもWebマーケターになれるようなメディアを目指します!^^」
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AIやオートメーションツールなど、デジタルテクノロジーが急速に進化し、様々な業種で大きな変化が起きています。
変化のスピードが増している今、自分の将来に不安を感じる方は多いのではないでしょうか。
これまで人が行ってきたあらゆる仕事が自動化され、身につけたスキルが急に不要になる事態が起きています。
いわゆる肉体労働、知的労働関係なく自動化が進んでおり、ほとんどの方にとって決して他人事ではありません。
AIに取って代わられないためには、これまで以上に個人の価値を高める必要があります。
では、実際に個人の価値を高めていくにはどうしたらいいのでしょうか。
お笑い芸人であり、IT企業の役員でもある厚切りジェイソン氏は、日本の働き方に疑問を投げかけ、個人の価値を高めるべきだと提唱し続けてきました。
いよいよ個人の価値が重視され始めた今、世相をどのように見ているのでしょうか。
今回は、厚切りジェイソン氏に直撃インタビューを敢行し「そもそも個人の価値とはなんなのか」「どのように価値を高めていけばいいのか」を伺いました。
厚切りジェイソン氏プロフィール
【プロフィール】
1986年アメリカ ミシガン州生まれ。イリノイ大学アバナシャンペーン校卒業。
2011年に来日し、IT企業の役員として働きながらお笑い芸人としてもデビュー。2015年2016年R-1ぐらんぷり決勝進出。
今やお笑いにとどまらず、情報番組や講演など様々な方面で活躍中。
<著書>
『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』(ぴあ書籍)
『ジェイソン式英語トレーニング 覚えない英英単語400』(主婦と生活社)
厚切りジェイソン氏が投資する価値を感じるポイントは?
ferret:昨年、株式会社ウィルゲート(コンテンツマーケティング事業、メディア事業を行うベンチャー企業)に投資されていましたね。投資の決め手はどこにあったのでしょう?
厚切りジェイソン氏:
小島代表の態度と生き方ですね。
今やっていることがもしうまくいかなくても、うまい方向に転換できる力が彼にはある。
彼はこれまでに何回も失敗してきて、そこから毎回成功に転換してきてましたからね。
だから、今の事業だけを見て投資しているわけではないです。
思考のプロセスと、それを実行できる人かどうかを見ています。
小島さんてすごく苦労されてるんですよね。
それでも諦めずに、色々試して、いろんな事業を1から立ち上げている。
ダメなところは捨てて、うまくいったところには投資する。
僕の考え方と一致していたので投資を決めました。
個人の価値はどう決まる?
ferret:VALUやタイムバンクなど、個人の価値を可視化するサービスが増えてきています。個人の力を上げることを推奨されてきたジェイソンさんは、それらのサービスに対して率直にどのように感じていますか?
厚切りジェイソン氏:
個人の価値を上げようとしているのはとても良いことだと思いますね。
アメリカや中国でも個人経済が台頭してきていますから。
ただ、自分でプロジェクトをやって結果を出せば自分の価値は上がるわけで。
個人がコンサルサービス提供するのとあまり変わらないかなとは思います。
自分の価値を周りからの評判やシステムのスコアだけで決めるのはどうなんでしょう。
「僕はこれを売っています。買いますか?買いませんか?」というシンプルな話で済むと思います。
自分の価値は、どれだけ世の中の役に立っているかで決まると思っています。
周りがどう思っているかだけで自分の価値を決めるというのは、もったいないと思いますね。
基本的に、人は大勢集まった時は馬鹿になります。
でも、個人個人で落ち着いて考えれば、賢い思考ができる可能性がある。
大勢の流れにただ乗ってしまうだけでは、どんどん馬鹿な方向にいってしまう。
周りばかり気にしていてはダメで、自分がどうしたいのか、どうなりたいのかを考え続けた方がいい。
国や人種関係なく、どこに行っても文句ばかり言って何もしない人はいる
ferret:では、自分の価値を高めるためには何をすればいいでしょう?
厚切りジェイソン氏:
とにかく、いろんなことを幅広くやった方がいいですね。
やりたいことがあればまずやってみる。
取り組んでみた上で、これは時間とお金をかけるべきか、もしくはやめるべきかを考える。
そうやって実践と検証を繰り返していくうちに、自分の得意分野がわかってくるようになります。
僕もそうしてきましたし、先ほどお話ししたウィルゲートの小島代表も同じですね。
ferret:日本には、やりたいこともなく行動もできない若い人がたくさんいますよね。そういう人たちは・・・
厚切りジェイソン氏:
正直、どうでもいいですね。
やりたいことを見つけるために動けばいいのに、ただ文句ばかり言ってる人たちになぜ構わないといけないんですか?
成功する人は色々動いた結果成功している。それだけです。
あと、それって別に日本だからとかは関係ないですよ。
僕は、日本人もアメリカ人も基本的には変わらないと思っています。
どっちも、良い人もいれば悪い人もいる。
国に関係なく文句ばっかり言ってる人はたくさんいます。
そういう人たちとは一緒にいたくないですね。
自分のレベルが下がってしまうから。
ferret:人の性質は、国に関係ないと。メディアに出られている印象からすると予想外の答えでした。
厚切りジェイソン氏:
正直な話、みんな「日本人は〜」とか「アメリカ人は〜」という聞き方をするから、そこがフォーカスされるだけです。
「Why Japanese People」を言わせたいというのがあるのでしょう。
「日本人はなぜこうなんだ」「逆にアメリカ人はこうだ」という論調に聞こえるのは、そういう聞き方をされるから。
「日本人」「アメリカ人」という括りで良く言うのも悪く言うのも、言ってしまえば人種差別ですよね。
先にも話した通り、僕はどんな人種でも基本的には変わらないと思っています。
結局は「自分の人生で何をやりたいのか」を意識した方がいい。基本はそういうことです。
強みを作るには「1位をとる」か「複数のスキルを掛け合わせる」か
ferret:ジェイソンさんは、日本のどのようなところが好きで住み続けているんでしょうか。
厚切りジェイソン氏:
秩序があるし、綺麗だし、自由にできるところですかね。
自由なのは日本もアメリカも変わらないですけど。
僕は日本語ができるし、専門技術もあるから、日本であれば上の役職にいける。アメリカだと同じレベルの専門技術を持っている人はたくさんいますからね。
日本で働くことで強みを発揮できていると思います。
ferret:強みは複数のスキルの組み合わせでうまれるんですね。
厚切りジェイソン氏:
他にもいろいろやり方はありますよ。
例えば、特定の分野で1位になるとかね。
でも、それってほんの一握りの人間しか到達できない。
1位が難しいなら、複数のスキルを掛け合わせることで、自分だけが勝てる分野を作り出すことができます。
どのような強みを身につけるにしろ、まずは動いてみないことには始まりませんね。
僕はGEヘルスケアに勤めながらにコンピューターサイエンスの修士号を取ったし、日本語能力検定1級も取得しました。
仕事が忙しくても、ちょっとした隙間時間で勉強すればいいんです。
時間がないからできないというのは、言い訳でしょうね。そんなに本気じゃないんだと思いますよ。