イモを海水で洗って食べる「文化ザル」の群れが生息する宮崎県串間市の幸島で、ボスザルが交代したとみられることが26日、京都大野生動物研究センターの調査で分かった。今年2月から干潮時に本土と陸続きになる現象が起きていたが、8月の台風で砂の道が消え、元のボスザルが本土に取り残されている可能性が高いとみられる。

 研究センターによると、幸島は本土から約200メートル沖合にあり、ニホンザル約90匹が生息。北風で本土との間に堆積した砂を台風の南風が押し流していた。しかし昨年の台風はコースが異なり、砂の道が出現。その後、雄のボスザル「ケイ」が、市の監視員の目をかいくぐって行き来するようになり、本土で木の実を食べる姿も度々目撃された。

 今年8月の台風5号の影響で砂の道がなくなった後、幸島でケイの姿が見えなくなり、ナンバー2の雄の「シカ」がボスザルの座に就いたという。

 現場で観察している研究センターの鈴村崇文さんは「ケイは好奇心が旺盛だったのだろう。今後泳いで島に帰ってくる可能性もある。シカは暫定的にボスザルになっている様子で、経緯を見守るしかない」と話す。(共同)